進行性核上性麻痺について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
進行性核上性麻痺(PSP)は、錐体外路系疾患の一つで、その特徴的な症状の一つに垂直方向の眼球運動障害があります。特に、初期には下方視の障害が目立ち、進行すると上方視も障害されます。これは、眼球運動を司る脳幹の中枢神経系の障害が原因であり、疾患名の「核上性」の由来ともなっています。
選択肢ごとの解説
- 1. 進行性核上性麻痺(PSP)では、脳幹の中でも特に中脳の萎縮が特徴的であり、延髄の萎縮は主要な特徴ではありません。正しくは:PSPでは、中脳の萎縮が特徴的に見られます。選びやすい理由:神経変性疾患では脳の萎縮を伴うことが多いため、具体的にどの部位が萎縮するかを正確に理解していないと選んでしまう可能性があります。混同注意:アルツハイマー病など大脳皮質が萎縮する疾患や、多系統萎縮症など他の部位が萎縮する疾患と混同する可能性があります。
- 2. 進行性核上性麻痺のパーキンソニズム症状は、L-Dopaに対する反応性が乏しい、または一時的であることが一般的で、著効することはありません。正しくは:L-Dopa治療に対する反応性は乏しいか、一時的であることが多いです。選びやすい理由:パーキンソン病と同じくパーキンソニズムを呈するため、L-Dopaが有効だと誤解しやすいです。混同注意:パーキンソン病と、L-Dopa反応性が乏しい非典型パーキンソン症候群(PSP、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症など)の鑑別を理解していないと混同します。
- 3. 進行性核上性麻痺では、頸部の後屈位(反り返った状態)や軸性ジストニアが見られることが特徴であり、前屈位になることは稀です。正しくは:頸部が後屈位になることや、軸性ジストニアが見られることがあります。選びやすい理由:多くの神経疾患で姿勢異常が見られるため、具体的な姿勢の特徴を覚えていないと、一般的な前屈位を選んでしまう可能性があります。混同注意:パーキンソン病の円背(前屈位)と混同しやすいです。
- 4. 正解。進行性核上性麻痺(PSP)の最も特徴的な症状の一つが、垂直方向の眼球運動障害、特に下方視の障害であり、病名(核上性)の由来ともなっています。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:眼球運動障害は神経疾患でよく見られるため、PSPの特徴的な障害方向(垂直方向)を覚えているかが重要です。混同注意:他の神経疾患でみられる水平方向の眼球運動障害や、特定の神経麻痺による眼球運動制限などと混同しないよう注意が必要です。
- 5. MIBG心筋シンチグラフィーでの心/縦隔比の低下は、パーキンソン病の鑑別に有用な所見であり、進行性核上性麻痺ではこの比率は低下しないか、軽度であることが多いです。正しくは:MIBG心筋シンチグラフィーでは心/縦隔比は低下しないか、軽度であることが多いです。選びやすい理由:パーキンソン病の鑑別診断として用いられる検査であり、PSPとパーキンソン病が混同されやすいことから、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:パーキンソン病の診断マーカーと、非典型パーキンソン症候群(PSPなど)の診断マーカーを混同しやすいです。
国試ポイント
進行性核上性麻痺の典型的な臨床症状(眼球運動障害、姿勢異常、L-Dopa不応性)と、パーキンソン病との鑑別点が繰り返し問われます。特に、特徴的な眼球運動障害や頸部後屈位、MIBG心筋シンチグラフィーの結果の違いを正確に理解しておく必要があります。
混同注意
パーキンソン病、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症といった他の非典型パーキンソン症候群との鑑別点(特に眼球運動障害、姿勢、L-Dopa反応性、画像所見など)が非常に混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、PSPの診断基準(MDS-PSP基準など)で挙げられている主要な臨床症状(特に垂直性眼球運動障害、姿勢不安定性、L-Dopa不応性、認知機能障害)が、どの選択肢として提示されるかに注意して判断する。また、他の非典型パーキンソン症候群との比較問題も想定されるため、鑑別点を明確に区別できるようにしておく。
関連知識
進行性核上性麻痺は、パーキンソン病に次いで頻度の高い非典型パーキンソン症候群です。特徴的な病理所見として、神経原線維変化(タウ蛋白の蓄積)が中脳や脳幹に認められます。臨床症状としては、パーキンソニズム(無動・固縮)、姿勢不安定性(転倒しやすい)、垂直性核上性眼球運動障害、構音障害、嚥下障害、認知機能障害などが挙げられます。治療は対症療法が中心で、L-Dopaは効果が乏しいことが多いです。