腎機能の評価に最も適した検査項目はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
eGFRは、腎臓の働きを総合的に示す糸球体濾過量を推定する指標であり、慢性腎臓病の診断基準や重症度分類に用いられる最も重要な項目です。他の選択肢はそれぞれ糖尿病、炎症・感染、血栓症、脂質代謝異常の指標であり、腎機能の直接的な評価には適しません。
選択肢ごとの解説
- 1. HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の平均を示す指標であり、主に糖尿病の診断や血糖コントロールの状態を評価するために用いられます。腎機能の直接的な評価項目ではありません。正しくは:糖尿病の診断や治療効果の判定に用いられます。選びやすい理由:糖尿病性腎症など、腎疾患と関連する疾患の指標であるため、間接的に腎臓と関わると思われやすいかもしれません。混同注意:クレアチニンやeGFRなど、直接的な腎機能指標と混同する可能性があります。
- 2. 白血球数は体内の炎症や感染症の有無、免疫機能の状態を評価するために用いられる項目です。腎機能そのものを直接的に評価する指標ではありません。正しくは:炎症や感染症の有無、免疫機能の評価に用いられます。選びやすい理由:尿路感染症などで白血球が増加することもあり、腎臓と関連する疾患と関連付けられる可能性があります。混同注意:尿中の白血球(膿尿)や血清中の炎症マーカー(CRPなど)と混同する可能性があります。
- 3. D-ダイマーは、体内で血栓が形成され、それが分解される際に生じる物質です。主に深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓性疾患の診断補助に用いられ、腎機能の評価項目ではありません。正しくは:血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症など)の診断補助に用いられます。選びやすい理由:血液検査項目の一つであり、全身状態を反映すると思われがちです。混同注意:腎臓病患者は心血管イベントのリスクが高いことから、間接的な関連があるが、直接的な腎機能指標ではない点と混同する可能性があります。
- 4. LDLコレステロールは悪玉コレステロールとして知られ、動脈硬化のリスクを評価する脂質代謝の指標です。腎機能そのものを直接的に評価する項目ではありません。正しくは:動脈硬化のリスク評価、脂質異常症の診断・治療に用いられます。選びやすい理由:腎疾患患者は脂質代謝異常を合併しやすいことから、関連性が高いと思われやすいかもしれません。混同注意:クレアチニンや尿素窒素など、直接的な腎機能指標と混同する可能性があります。
- 5. 正解。推算糸球体濾過量(eGFR)は、血清クレアチニン値や年齢、性別などを用いて計算される値で、腎臓が血液をろ過する能力(糸球体濾過量)の指標です。腎機能の最も重要な評価項目であり、慢性腎臓病(CKD)の診断や重症度分類に不可欠です。
国試ポイント
身体機能に関連する各検査項目の目的と、それが評価する機能・疾患を正確に理解しているかが問われます。特に腎機能については、クレアチニン、尿素窒素、eGFR、尿タンパクなどの主要な指標とその意義を把握しておくことが重要です。
混同注意
血清クレアチニンや尿素窒素(BUN)も腎機能の指標ですが、eGFRは年齢や性別を考慮して調整された「糸球体濾過量」そのものを推定するため、より総合的で正確な腎機能評価に適しています。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各検査項目がどの臓器のどの機能を評価するものか、あるいはどのような疾患の指標になるのかを判断できるかを確認します。特に腎機能においては、クレアチニン、BUN、eGFR、尿タンパクのそれぞれの特徴と限界を区別できれば、迷わず正答を選べるでしょう。
関連知識
クレアチニンクリアランスはより正確な糸球体濾過量を示しますが、24時間蓄尿が必要で測定が煩雑です。血清クレアチニンは筋肉量に影響されるため、高齢者や低栄養患者では腎機能を過大評価するリスクがあります。尿素窒素(BUN)は脱水や消化管出血、高タンパク食など腎外因子に影響されやすいです。尿タンパクは腎臓の障害部位(糸球体、尿細管)の特定や疾患活動性の評価に重要です。慢性腎臓病(CKD)はeGFR < 60 mL/min/1.73m^2 が3ヶ月以上持続するか、尿所見・画像診断・病理で異常が3ヶ月以上持続する場合に診断されます。