薬物の作用で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
コリンエステラーゼ阻害薬は、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きを抑えます。これにより、神経筋接合部などのシナプス間隙でアセチルコリンが分解されずに留まる時間が長くなり、その濃度が上昇します。この作用は、重症筋無力症の治療や、アルツハイマー型認知症における認知機能改善などに利用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗コリン薬はアセチルコリンの作用を遮断するため、気管支平滑筋の収縮を抑制し、気管支を拡張させる作用を持ちます。正しくは:抗コリン薬は気管支拡張を促進する。選びやすい理由:アセチルコリンの作用に関する知識が曖昧だと、効果を誤解しやすい。混同注意:アセチルコリン作動薬(収縮促進)と混同しやすい。
- 2. 利尿薬は腎臓からの水分の排泄を促す薬であり、再吸収を抑制することで尿量を増加させます。正しくは:利尿薬は腎臓の水分再吸収を抑制する。選びやすい理由:「利尿」という言葉から、水分が何らかの形で腎臓に関わることは理解できるため、作用機序を混同しやすい。混同注意:抗利尿ホルモン(ADH)の作用と混同しやすい。利尿薬が排泄促進であり、再吸収抑制であることを理解していないと誤る。
- 3. β遮断薬は主に心臓のβ1受容体を遮断することで心収縮力や心拍数を減少させ、骨格筋には直接的な収縮力増強作用はありません。骨格筋の収縮は神経伝達物質のアセチルコリンが主に関与します。正しくは:β遮断薬は骨格筋の収縮力に直接的な増強作用はない(むしろ疲労感などを起こすことがある)。選びやすい理由:薬が身体機能に影響を与えるという漠然とした理解から、特定の作用を想起しにくい。混同注意:交感神経系が活性化すると骨格筋のパフォーマンスが向上することと、β遮断薬の作用を混同する可能性。ただしβ遮断薬が骨格筋に直接作用して収縮力を増強することはない。
- 4. カルシウム拮抗薬は心筋の収縮力を抑制し、血管を拡張させることで、心拍出量を減少させるか、変化させない作用が一般的です。増やす作用はありません。正しくは:カルシウム拮抗薬は心拍出量を減少させるか、変化させない(または血管拡張作用により後負荷を軽減する)。選びやすい理由:心臓に関連する薬であるため、作用が心拍出量に良い影響を与えるものと誤解しやすい。混同注意:血管拡張作用が間接的に心臓の負担を減らすことと、心拍出量そのものを増やす作用とを混同しやすい。
- 5. 正解。コリンエステラーゼはアセチルコリンを分解する酵素です。この酵素を阻害することで、神経筋接合部やシナプス間隙におけるアセチルコリンの分解が抑制され、結果的にアセチルコリンの濃度が高まり、その作用が持続・増強されます。選びやすい理由:明確な正答であるため、他の選択肢が誤りと判断できれば容易に選べる。混同注意:特になし。薬物作用機序の基本的な理解があれば正答を導き出せる。
国試ポイント
薬物の作用機序に関する基本的な知識が問われています。特に、各薬物群がどの受容体や酵素に作用し、その結果どのような生理的変化が起こるかを正確に理解しているかが重要です。直接的な作用だけでなく、その薬物がもたらす生体への影響も関連付けて問われることがあります。
混同注意
コリン作動薬と抗コリン薬、β作動薬とβ遮断薬など、作用が拮抗する薬物の混同。また、薬物の名前と作用機序を結びつける知識が曖昧だと誤りやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、各薬物がどの受容体や酵素に作用し、その結果、身体のどの部分にどのような影響を与えるのか(収縮・弛緩、増加・減少など)を具体的に問う問題が出ると考えられます。薬物の分類とその代表的な薬理作用、副作用についても確認すること。
関連知識
自律神経系に作用する薬物(交感神経系・副交感神経系)、循環器系に作用する薬物、腎臓に作用する薬物の分類と主要な作用機序。特にアセチルコリン、ノルアドレナリン、カルシウムチャネル、ナトリウムチャネルなどの生体分子と薬物の相互作用。