5歳の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺である。背臥位で図のような姿勢を示す。影響しているのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
非対称性緊張性頸反射は、頭部をどちらかに回旋させると、顔が向いている側の上下肢が伸展し、反対側の上下肢が屈曲するという原始反射です。この反射が遺残あるいは亢進している場合、図に示されているような特徴的な左右非対称の姿勢(フェンシング肢位)が見られます。脳性麻痺の患者において、このような原始反射の統合不全や異常な亢進が姿勢異常の一因となることはよく知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. モロー反射は、乳児期に見られる原始反射で、急な体位変換や大きな音などの刺激により、腕を広げた後、抱きつくような動きを見せるものです。今回の図に示された持続的な姿勢異常とは直接関連しません。正しくは:図の姿勢は持続的なものであり、モロー反射のような一過性の反応ではありません。選びやすい理由:原始反射の一つではあるが、図の姿勢とは異なる。混同注意:反射の種類が多いため、それぞれの特徴を混同しやすい。
- 2. 陽性支持反射は、足底に刺激が加わると下肢が伸展し、体重を支持しようとする反射です。背臥位の図に示される姿勢異常とは直接関連しません。立位や荷重時の姿勢に影響します。正しくは:陽性支持反射は、主に下肢の荷重反応に関連する反射です。選びやすい理由:下肢の伸展に関わる反射であるため、一部の肢位で誤解を招く可能性がある。混同注意:原始反射と姿勢反射の区別が曖昧だと間違える可能性がある。
- 3. 緊張性迷路反射は、頭部の位置(特に前後屈)によって全身の筋緊張が変化する反射です。背臥位では伸展緊張、腹臥位では屈曲緊張が優位になります。図の姿勢は左右非対称であり、頭部の位置による全身の左右対称な緊張変化とは異なります。正しくは:緊張性迷路反射は頭部の位置と全身の対称的な伸展・屈曲緊張に関わる反射です。選びやすい理由:伸展位で影響を与えるため、背臥位の状況で誤認されやすい。混同注意:緊張性迷路反射と非対称性緊張性頸反射の作用機序や出現様式を混同しやすい。
- 4. 対称性緊張性頸反射は、頸部を屈曲させると上肢が屈曲し下肢が伸展し、頸部を伸展させると上肢が伸展し下肢が屈曲する反射です。図の姿勢は左右非対称であり、頸部の屈伸による左右対称な四肢の変化とは異なります。正しくは:対称性緊張性頸反射は頸部の屈伸と左右対称な四肢の反応に関連します。選びやすい理由:頸部の動きと四肢の緊張に関わるため、混同される可能性がある。混同注意:頸部と四肢の関連反射が複数あるため、区別がつきにくい。
- 5. 正解。非対称性緊張性頸反射は、頭部を左右どちらかに回旋させると、顔が向いている側の上下肢は伸展し、後頭部がある側の上下肢は屈曲するという反射です。図の姿勢は、男児が頭部を回旋させている方向に顔側の上下肢が伸展し、後頭部側の上下肢が屈曲しているように見え、この反射の遺残や亢進が影響している可能性が高いです。選びやすい理由:他の原始反射も脳性麻痺で遺残することがあるため、選択肢全体が紛らわしい。混同注意:緊張性迷路反射や対称性緊張性頸反射など、姿勢に影響する反射との区別が曖昧だと間違える。
国試ポイント
脳性麻痺における原始反射の遺残とその臨床症状、特に非対称性緊張性頸反射(ATNR)の特性と出現様式を理解しているかが問われます。原始反射と姿勢反射の区別、それぞれの反射が誘発される条件と具体的な身体反応を把握することが重要です。
混同注意
モロー反射、緊張性迷路反射、対称性緊張性頸反射など、他の原始反射や姿勢反射との混同。それぞれの反射の誘発方法と身体反応を正確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
この反射が持続することによる二次的な変形や運動機能への影響、およびそれらに対する理学療法介入の計画について判断する。
関連知識
原始反射(Moro反射、ATNR、STNRなど)、姿勢反射、脳性麻痺の種類と症状、発達における反射の統合と異常、理学療法評価と治療への応用。