30歳の男性。右腱板損傷の修復術後6か月。図に示す方法で等張性筋力増強運動を行っている。このトレーニングで対象となる筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
図に示された運動は、肘を90度屈曲位に保ちながら、前腕を外側へ動かす肩関節の外旋運動です。回旋腱板を構成する筋のうち、棘下筋は小円筋とともに肩関節の主要な外旋筋であり、このトレーニングの主な対象となります。腱板損傷の術後リハビリテーションにおいて、外旋筋群の強化は非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 烏口腕筋は肩関節の屈曲と内転に関与する筋肉であり、図に示された外旋位でのトレーニングでは主な対象とはなりません。正しくは:烏口腕筋は肩関節の屈曲と内転に関与する筋です。選びやすい理由:上腕の筋なので、肩関節周囲のトレーニングでは考慮されることもありますが、この運動の主動作筋ではありません。混同注意:上腕二頭筋短頭の起始と類似するため、混同しやすいですが、機能が異なります。
- 2. 正解。図に示されたトレーニングは、肩関節の肘を曲げた状態での外旋運動であり、これは主に棘下筋を対象とした等張性筋力増強運動です。棘下筋は回旋腱板を構成する筋の一つで、肩関節の外旋に最も強く作用します。正しくは:正しい選択肢です。このトレーニングは肩関節の外旋を促すため、主要な外旋筋である棘下筋が対象となります。選びやすい理由:他の回旋腱板筋と混同する可能性がありますが、外旋の主動筋として特に重要です。混同注意:小円筋も肩関節外旋筋ですが、棘下筋の方がより大きい筋であり、外旋運動の主動筋としての役割が大きいです。
- 3. 小胸筋は肩甲骨の下制、下方回旋、前傾に関与する筋肉であり、肩関節の外旋運動とは直接的な関連がありません。正しくは:小胸筋は肩甲骨の動きに関わる筋であり、肩関節の外旋には関与しません。選びやすい理由:胸部の筋肉であるため、肩関節周囲の安定性に関与すると考えるかもしれませんが、直接的な外旋作用はありません。混同注意:大胸筋と混同しやすいですが、小胸筋はより深層にあり、機能も異なります。
- 4. 前鋸筋は肩甲骨の外転(前方突出)や上方回旋に関与する筋肉であり、肩関節の外旋運動の主動筋ではありません。正しくは:前鋸筋は肩甲骨の安定化や動きに関与する筋であり、肩関節の外旋には直接関与しません。選びやすい理由:肩甲骨の安定に関わるため、間接的に上肢の運動に影響を与えますが、主動筋ではありません。混同注意:菱形筋や僧帽筋といった肩甲骨周囲筋と混同しやすいですが、それぞれ機能が異なります。
- 5. 大胸筋は肩関節の屈曲、内転、内旋に強く作用する筋肉であり、外旋運動とは拮抗する作用を持ちます。正しくは:大胸筋は肩関節の屈曲、内転、内旋に関与し、外旋の主動筋ではありません。選びやすい理由:胸部の大きな筋であるため、上肢の多くの運動に関与すると考えがちですが、外旋は主な作用ではありません。混同注意:広背筋など、肩関節の内旋に関わる他の大きな筋と混同しやすいです。
国試ポイント
肩関節の各筋の起始・停止・作用を正確に理解しているか、特に回旋腱板を構成する筋とその機能(内旋・外旋)を識別できるかが問われています。また、具体的な運動方法からターゲットとなる筋を特定する能力も必要です。
混同注意
小円筋も肩関節の外旋筋ですが、棘下筋の方が体積が大きく、外旋運動の主動筋としての寄与が大きいです。肩関節周囲の他の筋(例:三角筋中部線維、広背筋、大円筋など)の作用も正確に区別できる必要があります。
次に同じ論点が出たら
この患者さんの次のリハビリテーションでは、外旋筋力のさらなる強化に加え、外旋筋と内旋筋のバランス評価、日常生活動作(ADL)への応用、そして可動域訓練の継続が重要となります。また、腱板損傷の再発予防のための指導も必要です。
関連知識
回旋腱板(rotator cuff)は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋で構成され、肩関節の安定性と運動に重要な役割を果たします。棘上筋は外転、棘下筋と小円筋は外旋、肩甲下筋は内旋にそれぞれ主に関与します。