6歳8か月の女児。痙直型両麻痺。床上の座位は体幹が崩れるため座位保持ができない。立位保持や移乗にはいずれも介助が必要である。屋内は車輪付きの歩行器を使用して介助で10 mほど移動できる。学校や屋外移動は介助者による手動車椅子での移送、または電動車椅子を自立操作している。GMFCSによるレベルはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
GMFCS(Gross Motor Function Classification System)は、脳性麻痺児の粗大運動能力を5段階で評価するシステムです。設問の女児は、座位保持が自力でできず、立位・移乗には介助が必要、屋内では歩行器と介助で短距離移動が可能、学校や屋外では電動車椅子を自立操作または介助による手動車椅子を使用しています。これらの特徴は、GMFCSレベルⅣの定義「身体移動は重度に制限される。屋外や地域社会では電動車椅子や介助者による車椅子を使用する。歩行器を用いて短距離を介助歩行できる者もいる。」と完全に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. レベルⅠは、介助なしで自由に歩行でき、階段昇降も可能で、速い動きやバランスが必要な運動もできる状態を指します。設問の女児は座位保持も困難で介助が必要なため、このレベルには該当しません。正しくは:レベルⅠは、介助なしで歩行し、階段も昇降できるレベルである。選びやすい理由:GMFCSのレベルを正確に把握していない場合、軽い分類と誤解する可能性があります。混同注意:他のGMFCSレベルの定義、特に軽度なレベルと混同しやすいです。
- 2. レベルⅡは、室内や屋外で介助なしで歩行できるものの、長距離やバランスが求められる場面(階段、斜面、混雑した場所など)では限界がある状態を指します。設問の女児は座位保持も困難で歩行器を使用しても介助が必要なため、このレベルには該当しません。正しくは:レベルⅡは、介助なしで歩行できるが、長距離や不整地では困難があるレベルである。選びやすい理由:介助があれば歩行器で移動できる点に注目し、過大評価してしまう可能性があります。混同注意:介助歩行と自立歩行の区別、また車椅子使用の有無とGMFCSレベルの関係性について混同しやすいです。
- 3. レベルⅢは、手持ちの移動補助具(杖やクラッチなど)を使って歩行できるものの、屋外や地域社会では車椅子を使用することが多い状態を指します。設問の女児は座位保持も困難で、歩行器を使っても介助が必要なため、このレベルには該当しません。正しくは:レベルⅢは、手持ちの補助具で歩行し、屋外では車椅子を必要とすることが多いレベルである。選びやすい理由:歩行器を使用している点から、何らかの補助具を使って歩行できるレベルと誤解する可能性があります。混同注意:補助具の有無だけでなく、その補助具を使って「自立して」歩行できるかどうかの判断を誤りやすいです。
- 4. 正解。レベルⅣは、移動の手段として電動車椅子や介助者による手動車椅子に依存する状態を指します。短距離であれば限定的に歩行器を使用し介助歩行が可能な場合もありますが、座位や立位の安定性が低く、移動の主体は車椅子となります。設問の女児は座位保持が困難で介助が必要、歩行器使用時も介助が必要であり、屋外移動は車椅子に依存しているため、レベルⅣに該当します。選びやすい理由:歩行器でわずかに移動できる点から、もう少し高いレベル(Ⅲ)を考えてしまう可能性があります。しかし、介助が必要であることと、屋外での車椅子使用が主体である点が決め手となります。混同注意:レベルⅢ(補助具歩行)とレベルⅤ(身体移動が重度制限)との境界線で迷うことがあります。
- 5. レベルⅤは、身体の移動が極めて制限され、自立的な移動が不可能であり、ほとんどすべての状況で電動車椅子または介助者による手動車椅子を使用し、身体の支持も常に必要となる状態を指します。設問の女児は電動車椅子を自立操作できる点や、介助があれば歩行器で短距離移動できる点から、レベルⅤよりもやや能力が高いと判断できます。正しくは:レベルⅤは、自立した移動が極めて困難で、常に介助やサポートが必要なレベルである。選びやすい理由:座位保持が困難で多くの介助が必要な点から、最も重度なレベルと誤解する可能性があります。混同注意:レベルⅣとⅤの境界線、特に電動車椅子を「自立操作」できるかどうかの判断と混同しやすいです。
国試ポイント
GMFCSの各レベルの定義、特に各レベルにおける「移動手段(自力歩行、補助具歩行、車椅子)」と「介助の必要性」を正確に理解しているかが問われます。具体的な症例を提示し、その状況がどのレベルに相当するかを判断する形式が一般的です。
混同注意
GMFCSのレベルⅢ、Ⅳ、Ⅴの区別が最も混同しやすいです。レベルⅢは補助具による自立歩行が主で、屋外では車椅子を使うことがある。レベルⅣは車椅子が主な移動手段で、歩行器で介助歩行が可能な場合もある。レベルⅤはほぼ完全に介助依存で、電動車椅子を操作する能力も限定的、という違いを把握することが重要です。
次に同じ論点が出たら
GMFCSの具体的な事例問題が出題された際は、まず「自力歩行が可能か」「補助具を使用しているか」「車椅子をどの程度使用しているか」「介助の有無と程度」の4点に着目し、各レベルの定義と照らし合わせながら消去法で絞り込むと良いでしょう。特に屋外での移動手段が重要な判断基準となります。
関連知識
GMFCSは脳性麻痺児の粗大運動能力を評価する上で最も広く用いられる分類システムです。年齢によって期待される運動能力の記述が異なる点も理解しておく必要があります。また、GMFM(Gross Motor Function Measure)のような実際の運動機能を評価する尺度との違いも認識しておくと良いでしょう。