83歳の男性。大動脈弁狭窄症に対するTAVI術後。自転車エルゴメーターの運動療法で、連続して一定の負荷強度を加えると下肢疲労と血圧の上昇が顕著となるため、高強度負荷のペダル運動45秒と低強度でのペダル運動90秒を交互に組合せて実施した。この負荷様式で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
この患者は、連続した一定負荷で疲労や血圧上昇が見られるため、高強度運動と低強度運動(回復期)を交互に行っています。これは、心臓リハビリテーションなどでも用いられるインターバルトレーニングの典型的な実施方法です。インターバルトレーニングは、比較的高い運動強度を安全かつ効率的に導入し、持久力向上を図るのに適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ランプ負荷とは、運動負荷を時間とともに直線的または段階的に徐々に増加させていく方法を指します。問題文にあるような高強度と低強度を交互に繰り返す形式とは異なります。正しくは:運動負荷が時間とともに徐々に、かつ連続的に増加していく運動様式である。選びやすい理由:負荷が変化するという点で、運動負荷の調整方法の一つではあるため、誤って選択する可能性がありえます。混同注意:漸増負荷試験
- 2. 正解。インターバルトレーニングは、高い運動強度を短時間行い、その間に不完全な回復を目的とした低強度の運動や休憩を挟むことを繰り返す運動様式です。本ケースでは、高強度ペダル運動の後に低強度ペダル運動を挟んでおり、これはまさにインターバルトレーニングに該当します。
- 3. コンディショニングは、特定の目標達成のために身体能力を準備・調整する、または身体状態を整えるための広範なプロセスや活動を指す用語であり、特定の負荷様式を意味するものではありません。これは運動療法の『目的』や『全体像』を示す言葉に近いです。正しくは:身体能力を整え、特定の目標達成に備えるための包括的な活動である。選びやすい理由:運動療法全体を指す言葉として広い意味で捉え、誤って選択する可能性がありえます。混同注意:ウォーミングアップ、クールダウン
- 4. サーキットトレーニングは、複数の異なる運動種目を連続して行い、それらの間に短い休憩を挟む運動様式です。問題文では、自転車エルゴメーターという単一の運動を強弱を変えて行っているだけであり、複数の異なる運動種目を組み合わせているわけではありません。正しくは:複数の異なる運動ステーションを巡り、それぞれの運動を連続して行うトレーニング形式である。選びやすい理由:運動の種類が複数あると誤解したり、負荷と休憩の繰り返しという点だけに着目して選択する可能性がありえます。混同注意:複合運動
- 5. 多段階漸増負荷は、運動負荷を一定のステップで段階的に高めていく方法です。これは、ランプ負荷と同様に負荷を連続的に上げていく形式であり、高強度と低強度を交互に繰り返す問題文の状況とは異なります。正しくは:運動負荷を一定の段階で徐々に増加させていく運動様式である。選びやすい理由:負荷が変化するという点で、運動負荷の調整方法の一つではあるため、誤って選択する可能性がありえます。混同注意:ランプ負荷
国試ポイント
心臓リハビリテーションにおける運動療法の基本的な負荷方式とその特徴を理解しているか、また、具体的な症例に対して適切な負荷方式を判断できるかが問われています。特に、高齢者や心疾患患者における運動負荷の調整方法の知識が重要です。
混同注意
インターバルトレーニングと類似の負荷調整法(例:漸増負荷、ランプ負荷など)との違いを明確に理解していないと混同しやすいです。特に、負荷が『変化する』という点だけを見て、他の選択肢を選んでしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、患者の病態(高齢、心疾患)、症状(疲労、血圧上昇)、運動内容(高強度と低強度の交互実施)の3点に着目し、特に『交互に繰り返す』というキーワードから、その負荷方式が何を意味するのかを正確に判断することが求められます。
関連知識
心臓リハビリテーションにおける運動処方の原則(FITT-VP原則)、運動強度設定の指標(HRR法、最大酸素摂取量、RPEなど)、各種運動様式の生理学的効果と適応・禁忌。