NICUにおける低出生体重児の腹臥位での姿勢を図に示す。この児に対するポジショニングで適切な肢位はどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
低出生体重児のポジショニングでは、胎内環境に近い生理的屈曲位を保つことが非常に重要です。具体的には、頸部・体幹の軽度屈曲、四肢の屈曲、肩関節の内旋、股関節の内転が基本となります。これらの肢位を保つことで、関節拘縮や変形の予防、筋緊張の適切な発達促進、呼吸運動や消化機能のサポート、精神的な安定などが図られます。選択肢3と5は、この生理的屈曲位を構成する要素として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 低出生体重児では、頸部を過度に伸展させると気道閉塞のリスクが高まり、また未熟な脳への血流にも影響を与える可能性があります。解剖学的にも、快適で呼吸がしやすいのはやや屈曲した中間位です。正しくは:頸部は軽度屈曲位または中間位にする。選びやすい理由:成人の体位変換などでは頸部伸展位をとることがあるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:気道確保のための伸展位と、成長発達を促すためのポジショニングが混同されやすいです。
- 2. 低出生体重児は生理的屈曲位が弱く、未熟な筋緊張により体幹が伸展位になりやすい傾向があります。体幹が伸展しすぎると、腹筋群の働きが抑制され、呼吸運動や消化機能に悪影響を及ぼす可能性があります。また、過度な伸展は四肢の突出を促し、落ち着かない姿勢となります。正しくは:体幹は軽度屈曲位に保ち、Cカーブを維持する。選びやすい理由:より伸び伸びとした姿勢が良いというイメージから選びたくなるかもしれませんが、新生児にとっては不適切な姿勢です。混同注意:成人の臥位で脊柱をまっすぐ保つことと、新生児の生理的屈曲位が混同されやすいです。
- 3. 正解。胎内環境に近い生理的な屈曲・内旋位を保持することは、関節の拘縮予防や筋緊張の適切な発達を促します。特に腹臥位では、肩関節を内旋させることで、肩甲骨が安定し、胸郭の動きもスムーズになり、呼吸をサポートしやすくなります。選びやすい理由:過度な内旋は避けるべきですが、生理的屈曲位の一部として軽度の内旋は適切です。
- 4. 肩甲骨が挙上しすぎると、頸部や肩周囲に過度な緊張が生じ、不快感を与えたり、運動発達を阻害したりする可能性があります。また、肩甲骨が安定しないと呼吸運動にも影響が出ることがあります。正しくは:肩甲骨はわずかに外転・下方回旋位で安定させる(いわゆる肩をすくめない状態)。選びやすい理由:腕を体に引き寄せるようなイメージから肩甲骨挙上を連想しやすいかもしれませんが、これは緊張した姿勢です。混同注意:四肢の屈曲位を保つことと、肩甲骨の挙上が混同されやすいです。
- 5. 正解。低出生体重児の生理的屈曲位を維持するためには、股関節の屈曲と同時に内転位を保つことが重要です。これにより、股関節の安定性が増し、下肢の突出を防ぎ、体幹の安定化にも寄与します。オムツ交換時など一時的な開排位はありますが、基本的に内転位を保持します。選びやすい理由:股関節を開いた方がリラックスできるというイメージを持つかもしれませんが、新生児の発達上は不適切です。
国試ポイント
NICUにおける低出生体重児のポジショニングの基本原則、特に生理的屈曲位の維持が問われる問題です。各関節の適切な肢位を具体的に理解しているかどうかが鍵となります。成人や他の疾患におけるポジショニングと混同しないように注意が必要です。
混同注意
成人や小児(学童期以降)のポジショニングと、新生児(特に低出生体重児)のポジショニングは目的や注意点が大きく異なります。新生児では、生理的屈曲位の維持が最優先されることが多いです。また、気道確保のための緊急的な体位と、発達を促すための日常的なポジショニングも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の関節(肘関節、膝関節、足関節など)の適切な肢位や、仰臥位・側臥位におけるポジショニングの具体例が問われる可能性があります。また、ポジショニングに使用する物品(タオル、クッション、ネストなど)の適切な使用方法や、ポジショニングの禁忌事項についても確認しておくと良いでしょう。
関連知識
低出生体重児の生理的特徴(体温調節能力の低さ、呼吸器系の未熟性、筋緊張の未熟性、脳神経系の発達段階)、ポジショニングの目的(関節拘縮・変形予防、呼吸・循環・消化機能の改善、筋緊張・運動発達の促進、精神的安定)、様々な体位(腹臥位、側臥位、仰臥位)でのポジショニングの具体的方法。特に、腹臥位では、消化機能の促進や呼吸の安定化、姿勢の安定に寄与するとされています。