課題と記憶の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
選択肢3が正しい組み合わせです。ワーキングメモリー(作業記憶)は、情報を一時的に保持し、その情報を処理・操作する認知システムです。暗算を行う際には、計算途中の数字や操作内容を心の中で一時的に保持し、計算を進める必要があるため、ワーキングメモリーがその役割を担っています。
選択肢ごとの解説
- 1. 自転車に乗るという行為は、身体で覚える運動技能であり、手続き記憶に分類されます。エピソード記憶は、特定の時間・場所を伴う個人的な出来事の記憶です。正しくは:自転車に乗る手続き記憶選びやすい理由:自転車に乗った『経験』を思い出していると捉え、エピソード記憶と誤解しやすいかもしれません。混同注意:エピソード記憶は過去の具体的な出来事の記憶であり、身体で習得する技能である手続き記憶とは異なります。
- 2. 海外旅行の思い出を語ることは、過去の具体的な出来事を思い出す行為であり、エピソード記憶に該当します。展望記憶は、将来行うべきことを覚えておく記憶です。正しくは:海外旅行の思い出を語るエピソード記憶選びやすい理由:思い出を『語る』という行為を未来の行動と錯覚し、展望記憶と誤解する可能性があります。混同注意:展望記憶は『〜をするつもりだ』という未来の意図に関する記憶であり、過去の出来事の記憶であるエピソード記憶とは別物です。
- 3. 正解。暗算は、数字などの情報を一時的に心の中で保持し、それに計算という操作を加える能力を必要とします。これはまさにワーキングメモリー(作業記憶)の機能であり、一時的な情報処理と活用に特化しています。
- 4. 教師になったきっかけは、特定の時期や場所を伴う個人的な出来事の記憶であるため、エピソード記憶に分類されます。意味記憶は、事実や概念、一般的な知識の記憶です。正しくは:教師になったきっかけを説明するエピソード記憶選びやすい理由:『教師』という職業に関する一般的な知識と混同し、意味記憶と誤解しやすいかもしれません。混同注意:意味記憶は普遍的な知識や事実の記憶であり、個人的な経験や出来事の記憶であるエピソード記憶とは区別されます。
- 5. 建物の建築方法について説明することは、一般的な知識や概念を伝える行為であり、意味記憶に分類されます。手続き記憶は、身体的なスキルや習慣の記憶です。正しくは:建物の建築方法について説明する意味記憶選びやすい理由:『建築』という言葉から具体的な作業や手順を連想し、『手続き』記憶と誤解しやすいかもしれません。混同注意:手続き記憶は身体で覚える『やり方』の記憶であり、知識の内容を説明する意味記憶とは異なります。
国試ポイント
記憶の分類(特に長期記憶のサブタイプであるエピソード記憶、意味記憶、手続き記憶、そして展望記憶やワーキングメモリーなど)の定義と、それぞれの記憶がどのような課題や行動に結びつくのかを正確に理解しているかが問われます。具体的な例を通して、各記憶の機能を見極める能力が重要です。
混同注意
エピソード記憶と意味記憶(個人的経験か普遍的知識か)、意味記憶と手続き記憶(知識の内容か技能の実行か)、短期記憶とワーキングメモリー(単純な保持か、保持+操作か)、展望記憶とエピソード記憶(未来の意図か過去の出来事か)は特に混同しやすい概念です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、提示された課題が『いつ、どこで起こった個人の出来事か(エピソード記憶)』『一般的な事実や知識、概念か(意味記憶)』『身体で覚えた技能や習慣か(手続き記憶)』『将来行うべきことを覚えておくか(展望記憶)』『情報を一時的に保持し、同時に操作しているか(ワーキングメモリー)』のいずれに該当するかを判断して選択します。
関連知識
記憶の多重貯蔵モデル(感覚記憶、短期記憶、長期記憶)、長期記憶における宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非宣言的記憶(手続き記憶、プライミング、古典的条件づけなど)の分類、ワーキングメモリーの構成要素(音韻ループ、視空間スケッチパッド、中央実行系、エピソード的バッファ)。