短下肢装具で自立歩行が可能な二分脊椎児。該当する機能残存レベルの上限はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
二分脊椎児が短下肢装具を用いて自立歩行が可能となる機能残存レベルの上限はL4です。L4レベルでは、大腿四頭筋(膝伸展)と前脛骨筋(足関節背屈の一部)が機能するため、膝の安定性と足関節の背屈によるクリアランス確保が可能となり、短下肢装具(AFO)のサポートがあれば自立歩行が現実的に可能となります。L3以下では膝や足関節の機能が不十分で短下肢装具での自立歩行は難しく、L5以上では短下肢装具なしでも歩行可能な場合が増えるため、L4が上限として最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. L2レベルで機能が残存している場合、股関節屈筋(腸腰筋)が機能し、股関節屈曲が可能なため、通常は膝継手付きの長下肢装具が必要となり、短下肢装具での自立歩行は難しいと考えられます。正しくは:L2レベルでの機能残存では、長下肢装具(KAFO)が必要となることが多い。選びやすい理由:脊髄病変レベルと装具の選択は複雑であり、単純に高いレベルであれば軽い装具で済むと誤解しやすい。混同注意:各脊髄レベルで支配される主要筋と、それによって生じる関節運動の範囲が混同されやすい。
- 2. L3レベルで機能が残存している場合、膝伸展筋(大腿四頭筋)が機能するため、膝折れは防止できますが、足関節の背屈や底屈、内外反のコントロールが難しく、短下肢装具だけでは安定した自立歩行は困難なことが多いです。通常、膝継手なしの長下肢装具が必要となることがあります。正しくは:L3レベルでの機能残存では、膝折れは防げるものの、足関節のコントロールが難しいため、短下肢装具での自立歩行は困難なことが多い。選びやすい理由:L3で膝の安定が得られるため、短下肢装具で歩けると思い込みやすい。混同注意:膝の安定と足関節の安定が混同されやすい。
- 3. 正解。L4レベルで機能が残存している場合、膝伸展筋(大腿四頭筋)に加え、足関節背屈筋の一部(前脛骨筋)が機能し始めます。これにより、膝関節の安定性と足関節の背屈によるクリアランス確保が可能となり、足関節のわずかなコントロールと短下肢装具(AFO)を使用することで、自立歩行が現実的に可能となります。このため、短下肢装具で自立歩行が可能な場合の機能残存レベルの上限として適切です。選びやすい理由:L4より低いレベルでも短下肢装具は使われるが、自立歩行が可能となる上限レベルとしてL4が適切である。混同注意:各レベルでの主要筋の機能と、それに伴う歩行能力および装具の適応が正確に理解できていない場合、選択に迷う。
- 4. L5レベルで機能が残存している場合、股関節外転筋の一部(中殿筋)、膝屈筋(ハムストリングス)、足関節背屈筋(長母趾伸筋など)が機能するため、短下肢装具での自立歩行は比較的容易ですが、これは上限というよりも標準的なレベルに近いと考えられます。より上位のL4でも短下肢装具での自立歩行が可能なため、上限としてはL5ではありません。正しくは:L5は短下肢装具で自立歩行が可能なレベルとしては比較的良好な機能残存状態であり、上限ではない。選びやすい理由:より低いレベルであれば、装具なしでも歩行が可能になるため、混乱しやすい。混同注意:『上限』という言葉の解釈と、各レベルでの機能的特徴が正確に結びついていない。
- 5. S1レベルで機能が残存している場合、足関節底屈筋(腓腹筋、ヒラメ筋)や足の外反筋が機能するため、短下肢装具なしでも自立歩行が可能な場合が多いです。したがって、短下肢装具が必要な機能残存レベルの上限としては不適切です。正しくは:S1レベルでの機能残存では、短下肢装具を必要としないか、ごく軽微な装具で十分なことが多い。選びやすい理由:S1は健常に近いレベルであり、短下肢装具が不要になる場合もあるため、装具を必要とする上限として選びやすい。混同注意:短下肢装具の必要性と、機能残存レベルの関係が混同されやすい。S1では、装具の適応よりも装具なしでの歩行能力が注目される。
国試ポイント
この問題は、二分脊椎症における脊髄病変レベルと、それに対応する下肢の機能残存、そして適切な装具の種類と歩行能力の関係について理解しているかを問うものです。特に、短下肢装具で自立歩行が可能な『上限』レベルを正確に把握しているかが重要です。
混同注意
各脊髄レベルで支配される主要な筋肉とその機能、そしてそれによって必要となる装具の種類や歩行能力が混乱しやすい。特に、膝の安定性(L3)と足関節の安定性(L4、L5)の区別がつきにくい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、二分脊椎の機能残存レベルと装具の選択、そして具体的な歩行能力の関連性を問う問題が予想されます。例えば、「長下肢装具が必要な最低レベルはどれか」「装具なしで杖歩行が可能な最低レベルはどれか」といった形で、機能と装具、自立度の組み合わせを問われる可能性があります。
関連知識
二分脊椎の機能分類(特にモーターレベル)、各脊髄神経支配筋、長下肢装具(KAFO)や短下肢装具(AFO)の適応、およびそれらを用いた歩行能力について。特に、股関節屈曲、膝伸展、足関節背屈・底屈の機能がどのレベルで保たれるかが重要。