15歳の女子。検診で体幹前屈による肋骨の突出を認め受診した。レントゲン検査で胸椎に30度のCobb角を認めた。処方された体幹装具を図に示す。この装具の名称はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
提示された画像は、骨盤部から顎および後頭部にかけて支持するフレーム構造と、側方から脊柱に圧迫を加えるパッドが特徴のMilwaukee装具です。この装具は、主に思春期特発性脊柱側弯症(Cobb角20〜40度)の進行抑制と矯正に用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. Halo装具は頭蓋骨に直接ピンを固定し、頸椎を牽引・固定する装具であり、脊柱側弯症の体幹固定には用いられません。正しくは:Halo装具は頸椎骨折や不安定な損傷に対して、強力な牽引と固定を目的に使用される装具です。選びやすい理由:脊椎疾患に対する装具であるため、一見関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:Halo装具は頸椎の固定に特化しており、体幹の側弯症には適しません。
- 2. Jewett装具は胸腰仙椎装具の一種で、主に胸腰椎の伸展位保持を目的とした三点支持の装具です。脊柱側弯症の矯正には適していません。正しくは:Jewett装具は脊椎圧迫骨折などによる前屈位を制限し、伸展位を保持するために使用されます。選びやすい理由:体幹装具であるため、脊椎疾患全般に用いられると誤解する可能性があります。混同注意:Jewett装具は脊椎圧迫骨折などに用いられるもので、側弯症矯正には向きません。側弯症用装具は側方への矯正力を加える点で異なります。
- 3. 正解。Milwaukee装具は、主に思春期特発性脊柱側弯症の進行抑制と矯正を目的として使用される装具です。骨盤部から頸部にわたるフレームと、側方からの圧迫パッドで構成され、Cobb角が20〜40度程度の側弯症に適用されます。提示された画像はMilwaukee装具の特徴を明確に示しています。選びやすい理由:脊柱側弯症の代表的な装具であり、この画像と特徴が一致します。
- 4. SOMI (Sternal Occipital Mandibular Immobilizer) 装具は、主に上位頸椎の固定を目的とした装具であり、体幹の側弯症には用いられません。正しくは:SOMI装具は、上位頸椎の不安定性や損傷に対して、下顎、後頭部、胸骨で支持し固定するために使用されます。選びやすい理由:脊椎の固定装具であるため、側弯症にも関連すると感じるかもしれません。混同注意:SOMI装具は頸椎に特化した装具であり、体幹の側弯症用ではありません。
- 5. Taylor型装具は胸腰仙椎装具の一種で、主に胸腰椎の屈曲・伸展を制限する目的で使用されます。脊柱側弯症の矯正には適していません。正しくは:Taylor型装具は、腰痛や脊椎疾患(例:腰椎分離症、すべり症)などで脊椎の安定性を高めるために用いられ、背部の支柱と腹部の帯で構成されます。選びやすい理由:体幹装具の一種であるため、他の脊椎疾患と同様に側弯症にも使われると誤解しやすいです。混同注意:Taylor型装具は主に胸腰椎の安定化や可動域制限に用いられ、側弯症の側方矯正には適しません。側弯症用装具は、側方への矯正力を加える点で異なります。
国試ポイント
脊柱側弯症、特に思春期特発性脊柱側弯症に対する装具療法の知識と、主要な装具の名称およびその適用を問う問題です。画像と装具の名称を結びつける識別能力が求められます。他の選択肢は、それぞれ異なる脊椎疾患(頸椎疾患や胸腰椎疾患)に用いられる装具であり、それぞれの装具の機能と適用疾患を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
様々な脊椎装具の名称とその適応疾患が混同しやすいポイントです。頸椎装具(Halo、SOMI)、胸腰仙椎装具(Jewett、Taylor)、そして側弯症矯正装具(Milwaukee、Bostonなど)の区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後この論点が出題される場合、脊柱側弯症の他の代表的な装具(例:Boston装具)の画像提示と名称を問う問題や、各装具の適応Cobb角の範囲、装着時間に関する問題が出題される可能性があります。また、小児や高齢者の骨折に対する装具の選択も注意が必要です。
関連知識
脊柱側弯症の病型(特発性、先天性、神経筋性など)、Cobb角による重症度分類と治療方針(経過観察、装具療法、手術療法)。装具療法の種類(Milwaukee装具、Boston装具、チェストバンドタイプなど)とその適応、装着時間、指導内容。各装具の構造的特徴と機能。他の脊椎疾患に対する代表的な装具(頸椎カラー、Jewett装具、Taylor型装具など)。