運動による疲労時に筋内で増えるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
激しい運動による筋疲労時には、嫌気性解糖系の亢進により乳酸と水素イオン(H+)が生成され、筋細胞内に蓄積します。これらの物質の増加が筋pHの低下(アシドーシス)を引き起こし、筋収縮に関わる酵素の活性阻害やカルシウムイオンの動態異常などを介して、筋疲労の一因となると考えられています。一方、ATP、グリコーゲン、クレアチンリン酸は、筋収縮のエネルギー源やその貯蔵・再合成に関わる物質であり、運動により消費されるため、筋疲労時には減少します。
選択肢ごとの解説
- 1. ATPは筋肉収縮のエネルギー源であり、疲労時には消費されるため、減少します。正しくは:ATPは消費され減少する選びやすい理由:ATPがエネルギー源であることは事実だが、疲労時には消費されるという文脈を読み落とすと選んでしまう可能性がある。混同注意:ATPの役割(エネルギー源)と、その動態(消費されること)を混同しやすい。
- 2. 正解。激しい運動時、特に酸素供給が追いつかない嫌気的条件下では、グルコースが乳酸に分解され、筋細胞内に蓄積します。これが疲労の一因とされています。正しくは:選択肢の記述で正しい。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、他の選択肢と混同せず選ぶことができる。混同注意:乳酸が疲労物質として知られているため、混同しにくい。
- 3. グリコーゲンはブドウ糖の貯蔵形態であり、運動時にエネルギー源として分解・消費されるため、筋疲労時には減少します。正しくは:グリコーゲンは消費され減少する選びやすい理由:グリコーゲンがエネルギー源であることは事実だが、疲労時には消費されるという文脈を読み落とすと選んでしまう可能性がある。混同注意:グリコーゲンの役割(エネルギー貯蔵)と、その動態(消費されること)を混同しやすい。
- 4. 正解。激しい運動時には、乳酸の生成と同時に水素イオンも増加します。この水素イオンの蓄積により筋細胞内が酸性に傾き(アシドーシス)、酵素活性が低下するなどして筋収縮機能が阻害され、疲労の原因となります。正しくは:選択肢の記述で正しい。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、他の選択肢と混同せず選ぶことができる。混同注意:水素イオンが乳酸と関連して疲労の原因となることを理解していれば、混同しにくい。
- 5. クレアチンリン酸は、短時間で高強度の運動を行う際の即時的なATP再合成に利用される高エネルギーリン酸化合物です。運動時に消費されるため、疲労時には減少します。正しくは:クレアチンリン酸は消費され減少する選びやすい理由:クレアチンリン酸が運動に関与する物質であることは事実だが、疲労時には消費されるという文脈を読み落とすと選んでしまう可能性がある。混同注意:クレアチンリン酸の役割(即時的エネルギー供給)と、その動態(消費されること)を混同しやすい。
国試ポイント
筋疲労時の筋内代謝産物の増減に関する知識が問われています。特に、乳酸と水素イオンが疲労物質として増加すること、およびATP、グリコーゲン、クレアチンリン酸がエネルギー源として消費され減少することを正確に理解しているかがポイントです。
混同注意
ATP、グリコーゲン、クレアチンリン酸といった『エネルギー源となる物質』は、疲労時には『増加』するのではなく『減少』するという点を混同しやすいです。これらは使われることで減少する、という代謝の動態を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
筋疲労物質の種類とその代謝経路、あるいは疲労回復メカニズムに関する問題が出題される可能性があります。特に、乳酸と水素イオン以外の疲労関連物質(例:リン酸)の動態や、乳酸除去に関わるコリ回路などの知識が問われるかもしれません。
関連知識
嫌気性解糖系、好気性解糖系、クレアチンリン酸系、筋収縮のメカニズム、アシドーシスと酵素活性の関係、ATPの役割、グリコーゲンの役割。