立位で外乱による体の前方への傾きを足関節の運動で制御する際、外乱直後に最も活動する筋はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
立位で体が前方に傾いた際、転倒を防ぎ姿勢を保持するためには、重心を後方に移動させる必要があります。この足関節戦略において、足関節を底屈させることで後方へのモーメントを生成し、体を後ろに引き戻します。この底屈運動の主役となるのが腓腹筋(およびヒラメ筋)です。外乱直後の反応では、特にこの後面の筋群が最初に活動を高めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。立位で体が前方に傾くと、転倒を防ぐために重心を後方に引き戻す必要があります。この際、足関節は底屈方向に働き、つま先立ちになることで後方へのモーメントを発生させます。この底屈運動の主要な筋肉が腓腹筋(とヒラメ筋)です。特に外乱直後の反応では、重心が前方に移動するのをカウンターするために、後面の筋がまず収縮します。
- 2. 大胸筋は肩関節の内転、屈曲、内旋に関与する筋であり、立位姿勢の動揺に対する足関節戦略には直接関与しません。主に上肢の運動や体幹の安定化(特に上半身を丸めるような動き)に作用します。正しくは:このシナリオでは大胸筋は主な役割を担いません。選びやすい理由:体幹の筋として漠然と選んでしまう可能性がありますが、姿勢制御の戦略と筋肉の機能を理解していれば選びません。混同注意:他の体幹筋や上肢の筋と混同することがあります。
- 3. 腹直筋は体幹の屈曲(お腹を丸める動き)や骨盤の後傾に作用します。体が前方に傾いた際に腹直筋が過度に活動すると、さらに前屈を促してしまうか、後方への反作用を生み出す場合でも足関節戦略の主動筋ではありません。足関節戦略では、主に足部・下腿の筋が働きます。正しくは:腹直筋は体幹の安定化には関与しますが、足関節による前方傾斜の制御における主要な役割はありません。選びやすい理由:体幹の安定に関わる重要な筋であるため、姿勢制御全般の文脈で正解と考えてしまうかもしれません。混同注意:他の体幹の姿勢筋(例:脊柱起立筋)と役割を混同することがあります。
- 4. 前脛骨筋は足関節の背屈に関与する筋です。体が後方に傾いた際に、足関節を背屈させて重心を前方に移動させる際に主に活動します。問題文では「体の前方への傾き」を制御する状況であり、この場合は足関節の底屈筋群(腓腹筋など)が活動して重心を後方に引き戻します。正しくは:前脛骨筋は体が後方に傾いた際の姿勢制御に主に活動します。選びやすい理由:足関節の筋肉であるため、足関節による制御というキーワードで選択肢として検討されやすいです。しかし、体の傾きの方向と筋肉の作用方向を誤解すると間違えてしまいます。混同注意:腓腹筋など他の足関節の筋の作用方向と混同しやすいです。拮抗筋の関係を理解しているかが問われます。
- 5. 大腿四頭筋は膝関節の伸展に作用する筋です。立位での姿勢制御において、特に膝関節の安定化や、スクワットのような膝を曲げる動作からの立ち上がりに重要ですが、足関節を介した体の前方傾斜制御の主動筋ではありません。正しくは:大腿四頭筋は膝関節の運動に主に作用し、足関節戦略における主要な役割はありません。選びやすい理由:下肢の大きな筋肉であるため、姿勢制御全般に関与すると考えられやすいです。混同注意:ハムストリングスなどの他の下肢の大きな筋肉や、足関節の筋と役割を混同することがあります。
国試ポイント
本問題は、立位姿勢制御における足関節戦略のメカニズムと、それに主要な役割を果たす筋肉の知識を問うものです。体の傾きの方向と、それに対してどの筋群が拮抗的に働くかを理解しているかが重要となります。特に、外乱直後の筋活動の順序や主な役割を担う筋がポイントです。
混同注意
足関節の背屈筋(前脛骨筋)と底屈筋(腓腹筋など)の作用方向。体の前方傾斜と後方傾斜に対するそれぞれの筋の役割。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、体の傾きの方向(前方・後方・側方)と、姿勢制御に用いられる関節(足関節・股関節・膝関節など)の戦略、そしてその戦略において主要に働く筋肉の組み合わせを正確に判断できるかが鍵となります。特に、外乱の大きさや方向によってどの戦略が優先されるか、各筋がどの局面で活動するかといった応用的な知識も問われる可能性があります。
関連知識
立位姿勢制御には、足関節戦略、股関節戦略、ステッピング戦略の3つが知られています。足関節戦略は比較的小さな外乱に対して、下肢全体の動きを最小限に抑えながら足関節の動きで重心を制御するものです。ヒラメ筋や脊柱起立筋なども姿勢制御に関与しますが、問題文の「外乱直後」「足関節の運動で制御」という条件では腓腹筋が最も適切です。また、内側・外側広筋、脊柱起立筋なども、姿勢制御において重要な役割を担いますが、本問題の条件には合致しません。