軽度の片麻痺患者が車椅子から床へ移乗する手順で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
片麻痺患者の移乗動作では、安全性の確保が最優先されます。車椅子から床への移乗において、最初に床につける膝は、より支持能力の高い非麻痺側を選ぶべきです。麻痺側の膝から着地しようとすると、支持が不安定になり、バランスを崩して転倒する危険性が高まります。他の選択肢は、移乗動作における基本的な安全確認や準備、およびその後の安定した着座手順として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 車椅子からの移乗において、車椅子のブレーキをかけることは転倒防止のための最も基本的な安全対策です。そのため、この手順は適切です。
- 2. 座面の前方に臀部を移動させることで、重心を前へ移しやすくなり、立ち上がりや下降動作がスムーズになります。そのため、この手順は適切です。
- 3. 非麻痺側の足を後方に引くことで、重心を移動させやすく、床への着地時に安定した支持基底面を確保できます。そのため、この手順は適切です。
- 4. 正解。軽度の片麻痺患者が車椅子から床へ移乗する際、通常は支持能力の高い「非麻痺側」の膝から床につけることで、安定性と安全性を確保します。麻痺側の膝から着地すると、不安定になり転倒のリスクが高まります。そのため、この手順は適切ではありません。正しくは:上体を前傾させて非麻痺側の膝を床につく。選びやすい理由:患者が麻痺側を意識して使おうとする意欲を尊重したい場合や、介助者が麻痺側を先に支持すると考えがちですが、あくまで安定性を優先すべきです。混同注意:麻痺側を「積極的に使う」ことと、麻痺側を「最初に体重をかける支持面とする」ことの違い。この場面では非麻痺側でしっかり支持し、麻痺側は補助的に使うのが基本です。
- 5. 片膝が床についた後、その側の臀部を床につけて体を回転させることで、安定して床へ着座できます。そのため、この手順は適切です。
国試ポイント
この問題は、片麻痺患者の車椅子から床への移乗において、安全かつ適切な介助・動作指導ができるかを問うものです。特に、麻痺の特性を理解し、どちらの肢体を用いて安定性を確保すべきかという実践的な知識が求められます。
混同注意
麻痺側を無視してはいけないという考えから、あえて麻痺側を先に使うべきだと誤解する可能性があります。しかし、移乗動作においては、まずは安全確保のために安定した非麻痺側を積極的に活用し、麻痺側は必要に応じて補助的に使用したり、介助者が支持したりするのが原則です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、以下の点に注目して判断します。1. 移乗動作の方向(立ち上がり、座る、移動など)。2. 身体のどの部分を最初に接地させるか。3. 非麻痺側と麻痺側のどちらを主に使用するか。4. 安全確認や準備動作が含まれているか。5. 患者の能力レベル(軽度、中等度、重度)に応じた適切な方法であるか。
関連知識
片麻痺患者の基本的な車椅子操作、ベッド上・車椅子上での姿勢管理、様々な移乗方法(ベッド-車椅子、車椅子-トイレなど)の段階的指導、移乗時の介助方法、重心移動の原則、支持基底面と安定性。