熱傷部位の皮膚で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
皮膚移植片の生着には良好な受容床が必要であり、感染は炎症反応や酵素による組織破壊を通じて生着を阻害する主要な要因です。感染があると、移植片と受容床の間のフィブリン網が溶解し、血管新生が妨げられるため、移植片に栄養が供給されず壊死に至ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 熱傷による壊死組織(痂皮)は、血流が途絶え、変性したタンパク質が凝固するため、一般的に白色、灰色、黒色、または褐色を呈します。赤色は通常、血管が拡張した状態や炎症を示します。正しくは:壊死した組織は通常、白色、灰色、黒色、または褐色を示す。選びやすい理由:炎症反応による発赤と混同しやすいかもしれません。混同注意:炎症反応、充血、あるいは部分層熱傷の深部に血流があるために赤く見える状態。
- 2. III度熱傷は皮膚の全層にわたる損傷であり、表皮、真皮だけでなく、皮下組織まで達することがあります。汗腺、毛包、神経終末なども完全に破壊されます。正しくは:III度熱傷では、汗腺も損傷を受けます。選びやすい理由:I度やII度熱傷との深さの違いについて曖昧な知識がある場合に選びやすいです。混同注意:II度熱傷(特に深達性II度熱傷では付属器の一部が残存し、再生の足がかりとなる)
- 3. I度熱傷は表皮のみの損傷であり、水疱を形成せず、通常は数日で自然治癒します。植皮術は不要です。植皮術が必要となるのは、深達性II度以上の熱傷で、広範囲にわたる場合や、機能的な回復が必要な場合です。正しくは:I度熱傷の部位は、通常皮膚移植術を必要としません。選びやすい理由:重度の熱傷はすべて植皮が必要という漠然とした認識がある場合に選びやすいです。混同注意:II度熱傷やIII度熱傷。
- 4. 正解。植皮術後の感染は、皮膚移植片と受容床との間に形成されるフィブリン網の融解を引き起こし、血管新生や栄養供給を阻害するため、移植片の生着を著しく妨げます。感染は植皮術失敗の主要な原因の一つです。
- 5. 植皮後の運動療法は、関節拘縮の予防や機能回復のために早期から開始されることが重要です。知覚の回復には時間がかかったり、完全に回復しない場合も多いため、知覚回復を待っていてはリハビリテーションが遅れ、機能予後に悪影響を及ぼします。適切な時期に医師や理学療法士の指示のもと、疼痛管理を行いつつ運動を開始します。正しくは:皮膚移植後、関節拘縮予防や機能回復のため、知覚回復を待たずに早期から運動療法を開始します。選びやすい理由:患部の保護や安静の必要性、あるいは感覚の回復が安全な運動につながるという一般論から選択しやすいです。混同注意:創の保護と早期からのリハビリテーション開始のバランスについて。
国試ポイント
熱傷の深達度とそれに伴う皮膚の変化、植皮術の適応と合併症、および植皮後のリハビリテーションの原則に関する知識を問う問題です。特に、植皮術後の感染管理の重要性と、早期からの機能訓練開始の必要性がポイントとなります。
混同注意
熱傷の深達度による症状の違い、壊死組織の性状、植皮後のリハビリテーション開始時期とその目的を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
熱傷患者の管理計画を立案する際、感染徴候の有無を注意深く観察し、植皮の生着状態を評価します。また、関節可動域制限の進行度を定期的に評価し、早期からの適切な運動療法介入のタイミングと内容を判断することが重要になります。
関連知識
熱傷の分類(I度、II度(表在性、深達性)、III度)、それぞれの特徴(疼痛、水疱形成、色調、治癒期間など)、壊死組織の色調や性状、植皮術の種類(分層植皮、全層植皮など)、植皮後の合併症(感染、生着不全、拘縮など)、およびそれらに対するリハビリテーション介入の基本原則。