慢性疼痛で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性疼痛は、心理社会的要因を含む多様な要因が複雑に絡み合って持続するため、単一の治療法では不十分です。そのため、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理士などが連携し、多角的なアプローチで患者をサポートする集学的治療が効果的であり、最も望ましい治療体制とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性疼痛に対して、手術療法が第一選択として常に勧められるわけではありません。手術は特定の器質的病変が原因である場合に考慮されますが、漫然と行うと効果が乏しいだけでなく、かえって痛みを悪化させるリスクもあります。正しくは:手術療法は、特定の器質的病変が原因である場合に限定的に考慮される。選びやすい理由:急性期の痛みや、特定の診断可能な器質的病変による痛みに対しては手術が有効であるため、痛みの治療全般において手術が有効であると誤解されやすいため。混同注意:急性疼痛や特定の外科的疾患による痛みに対する治療。
- 2. 慢性疼痛の要因は、身体的、心理的、社会的要因など多岐にわたり、複雑に絡み合っています。単一の要因に絞り込むことはできません。正しくは:慢性疼痛の要因は、身体的、心理的、社会的な複数要因が複雑に絡み合う。選びやすい理由:急性疼痛では原因が比較的単一であることが多いため、慢性疼痛も同様に単一要因であると誤解されやすいため。混同注意:急性疼痛の原因。
- 3. 慢性疼痛の定義は、通常3〜6か月以上持続する痛み、または通常の組織修復期間を超えて持続する痛みとされています。1〜2か月間では急性期遷延、または亜急性期の範囲に含まれることが多いです。正しくは:慢性疼痛は、通常3~6か月以上続く疼痛である。選びやすい理由:痛みの持続期間に関する知識が曖昧な場合、短い期間でも慢性と捉えてしまう可能性があるため。混同注意:急性疼痛(通常3か月未満)の定義。
- 4. 正解。慢性疼痛は多因子性であるため、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理士など、様々な専門家が連携して包括的にアプローチする集学的治療が最も効果的で、患者のQOL向上に繋がります。選びやすい理由:この選択肢は正しい記述であり、特に誘惑されやすい誤った知識はありません。混同注意:単一の専門家による治療で十分であるという考え方。
- 5. 慢性疼痛の治療目標は、痛みの完全な消失ではなく、痛みをコントロールし、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を改善することに置かれます。痛みが完全にない状態を達成することは困難な場合が多いです。正しくは:治療目標は、痛みのコントロールと機能改善、QOL向上である。選びやすい理由:「痛みのない状態」が理想的な健康状態であるため、痛みの治療目標としてこれを追求すると考えがちであるため。混同注意:急性疼痛の治療目標(多くの場合、原因の除去による痛みの完全消失)。
国試ポイント
慢性疼痛の多因子性、集学的治療の重要性、および治療目標の現実的な設定を理解することが国試のポイントです。
混同注意
慢性疼痛と急性疼痛の病態生理や治療アプローチの違いが混同されやすいです。急性疼痛は原因が単一で早期治療によって根治を目指せる場合が多いですが、慢性疼痛は原因が多岐にわたり、痛みの完全な消失よりも機能改善やQOL向上が目標となります。
次に同じ論点が出たら
慢性疼痛の問題が出題された場合、「多因子性」「集学的治療」「QOL向上・機能改善が治療目標」といったキーワードが含まれる選択肢が正答となる可能性が高いと判断します。また、急性期治療の考え方(手術や単一要因の解決)が適用されている選択肢は誤りであると判断します。
関連知識
慢性疼痛の診断基準(国際疼痛学会)、痛みの悪循環、集学的治療プログラムの構成要素、疼痛アセスメントスケール(NRS, VASなど)、薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、抗うつ薬、抗てんかん薬など)、非薬物療法(運動療法、認知行動療法、神経ブロックなど)について関連付けて学習しましょう。