軽い運動から激しい運動へと運動強度を徐々に増加させるときの正常な循環応答で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
正常な循環応答において、肺でのガス交換機能が適切であれば、運動負荷が増加しても動脈血中の酸素飽和度(SpO2)はほぼ100%を維持します。そのため、動脈血酸素含量(CaO2)はほぼ一定に保たれます。酸素供給量の増加は、心拍出量(心拍数×一回拍出量)の増加によって対応されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動中の心拍数増加は、主に交感神経活動の亢進と副交感神経活動の抑制によって生じます。正しくは:運動中の心拍数変化は、主に交感神経活動の亢進と副交感神経活動の抑制によって生じる。選びやすい理由:自律神経が関与している点は正しいが、副交感神経が亢進する場面(安静時など)と混同しやすい。混同注意:安静時の心拍数調節と運動時の心拍数調節
- 2. 運動時には全身の血流が増加しますが、心筋への血流配分率はむしろ相対的に減少するか、微増にとどまります。血流配分が大幅に増加するのは骨格筋や皮膚などです。正しくは:運動強度の増加に伴い、心筋への血流配分率は相対的に維持されるか、微増にとどまり、大幅な増加は見られない。選びやすい理由:心臓も激しく動くため、血流が多くなるというイメージから正しいと感じやすい。絶対量が増えることと、全身に占める割合(配分率)が増えることを混同しやすい。混同注意:心筋への絶対血流量の増加と、全心拍出量に占める心筋への血流配分率
- 3. 正解。正常な肺機能を持つ人であれば、運動強度が増加しても肺での酸素飽和度はほぼ100%を維持するため、動脈血酸素含量はほぼ一定に保たれます。必要な酸素は心拍出量の増加によって供給されます。選びやすい理由:運動すると酸素が消費されるため、動脈血酸素含量が低下すると誤解しやすい。混同注意:動脈血酸素分圧/酸素飽和度と、酸素消費量
- 4. 運動開始から軽い運動中にかけての心拍出量増加は、主に心拍数と一回拍出量の両方の増加によって生じますが、「主に心拍数の増加」という表現は不正確です。特に初期段階では一回拍出量の増加も大きく寄与します。正しくは:運動開始から軽い運動中の心拍出量増加は、心拍数と一回拍出量の両方の増加によって生じる。選びやすい理由:心拍数が速くなることで心拍出量が増えるという点は正しいが、「主に」という限定が不正確であるため間違い。一回拍出量の関与を軽視しがち。混同注意:心拍出量の構成要素(心拍数と一回拍出量)の寄与度
- 5. 一回拍出量は運動開始とともに増加しますが、中等度の運動強度に達するとプラトー(頭打ち)に達し、それ以上の運動強度ではあまり増加しません。直線的に増加し続けるわけではありません。正しくは:中等度以上の運動中の一回拍出量はプラトーに達し、それ以上は大きく増加しない。選びやすい理由:運動強度に比例して心臓の働きが活発になるというイメージから、一回拍出量も増え続けると誤解しやすい。心拍数が直線的に増えることと混同しやすい。混同注意:心拍数と一回拍出量の運動強度に対する反応の違い
国試ポイント
運動時の循環器系の生理学的応答に関する基本的な知識が問われています。特に、各循環パラメータ(心拍数、一回拍出量、心拍出量、血流配分、動脈血酸素含量など)が運動強度に応じてどのように変化するか、そのメカニズムを理解しているかが重要です。「主に」「大幅に」「直線的に」といった修飾語句の正確な理解が正誤判断の鍵となります。
混同注意
運動時の動脈血酸素飽和度と静脈血酸素飽和度、絶対的な血流量と配分率、心拍出量と一回拍出量の運動強度に対する反応の違い。
次に同じ論点が出たら
今後も運動生理学に関する問題は頻出すると予想されます。特に、心拍出量、一回拍出量、心拍数、血圧、各臓器への血流配分、動脈血酸素飽和度/含量といった主要な指標が、運動強度や種類(等尺性/等張性)によってどのように変化するかを正確に理解しておく必要があります。また、健常者と疾患患者(心疾患、呼吸器疾患など)での応答の違いにも注意が必要です。
関連知識
フランクスターリングの法則、ボーア効果、運動時の自律神経活動の変化、各臓器への血流再配分。