運動療法を中止する状態として誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
単発性の心室期外収縮は、健常者でも運動中や安静時に認められることがあり、一般的に運動療法の中止基準とはなりません。ただし、連発性、多源性、R on T型など、より危険な不整脈に移行する可能性のある期外収縮や、自覚症状を伴う場合は中止を検討する必要があります。一方、胸痛、チアノーゼ、喘鳴を伴う呼吸困難感、胸部不快感を伴う心室頻拍は、いずれも心臓や呼吸器系への重篤な負担や異常を示すため、運動療法を直ちに中止すべき危険な状態です。
選択肢ごとの解説
- 1. 胸痛は心臓への負担や虚血を示唆する重要な症状であり、運動療法を直ちに中止すべき緊急性の高い状態です。正しくは:胸痛が出現した場合は運動を中止する。選びやすい理由:運動負荷による一時的なものと見過ごされがちですが、心原性の可能性を考慮し中止が必要です。混同注意:筋肉痛や運動による一時的な違和感と混同しやすいですが、胸痛はより重篤な兆候です。
- 2. チアノーゼは血液中の酸素濃度低下を示し、心肺機能への過度な負担や呼吸循環不全の兆候であるため、運動療法を中止すべきです。正しくは:チアノーゼが認められた場合は運動を中止する。選びやすい理由:運動による一時的な血流の変化と捉える人もいるかもしれませんが、酸素化の異常を示すため中止が必須です。混同注意:顔面の紅潮や運動による発汗と混同しやすいですが、皮膚・粘膜の青紫色は酸素不足の明確なサインです。
- 3. 正解。単発性の心室期外収縮は、運動中や安静時にも健常者で認められることがあり、それ自体が運動療法の中止基準となることは稀です。連発性や多源性、R on T型など、より重篤な不整脈に移行するリスクがある場合は中止を検討しますが、単発性のみであれば継続可能なケースが多いです。選びやすい理由:不整脈という言葉の響きから、直ちに中止すべきと判断しがちです。混同注意:心室頻拍や心房細動など、より危険度の高い不整脈と混同しやすいです。また、連発性や多源性の期外収縮とも区別が必要です。
- 4. 喘鳴を伴う呼吸困難は、気道狭窄や喘息発作の可能性があり、呼吸機能への著しい負担を示すため、運動療法を直ちに中止すべき状態です。正しくは:喘鳴による呼吸困難感が出現した場合は運動を中止する。選びやすい理由:運動強度が高すぎると判断して一時的に休止する程度で終わらせてしまう可能性があります。混同注意:運動による息切れと混同しやすいですが、喘鳴は気道狭窄を示す特異的な音であり、より危険なサインです。
- 5. 胸部不快感を伴う心室頻拍は、重篤な不整脈であり、心臓のポンプ機能低下や心停止のリスクが高いため、直ちに運動療法を中止し、速やかに対応が必要です。正しくは:胸部不快感を伴う心室頻拍が認められた場合は運動を中止する。選びやすい理由:動悸として軽視されがちですが、心室頻拍は重篤な不整脈の一つです。混同注意:単発性期外収縮や上室性頻拍など、比較的危険度の低い不整脈と混同しやすいです。
国試ポイント
運動療法における緊急中止基準の理解が問われています。特に、心臓系の症状に関しては、症状の重篤度や種類によって中止の要否が異なるため、正確な知識が必要です。生命に関わる危険な症状と、比較的軽度で経過観察が可能な症状を区別できるかがポイントとなります。
混同注意
単発性期外収縮と連発性・多源性期外収縮、あるいは心室頻拍など、不整脈の種類とその緊急度を混同しやすいです。また、運動による生理的な反応(息切れ、発汗など)と、病的な症状(胸痛、呼吸困難など)の区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、各症状が示す病態の緊急度、特に心臓関連の症状(心電図所見との関連も含む)について、より詳細な知識が問われる可能性があります。例えば、各不整脈の種類ごとの危険度や、具体的な心電図波形と中止基準の関連性などです。また、運動療法の中止基準だけでなく、運動負荷試験の中止基準との違いも重要です。
関連知識
運動耐容能評価、心電図の基礎知識(不整脈の種類と特徴)、運動処方の原則、緊急時対応プロトコル。運動中止基準は、日本心臓リハビリテーション学会のガイドラインやACSMのガイドラインに詳しく記載されています。