生後8か月の乳児。運動発達の遅れがあり、療育施設にて理学療法を受けている。図のような姿勢を示す。優先して行う運動はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
生後8か月の乳児の運動発達において、寝返りは通常4~6ヶ月頃、お座りは6~8ヶ月頃、四つ這いは7~10ヶ月頃、つかまり立ちは9~12ヶ月頃に獲得されます。問題文では運動発達の遅れがあり、図のような姿勢(腹這いで前進しようとしている様子、あるいは腹ばい位で体幹を使いこなそうとしている様子が示唆される)が描かれていることから、次に獲得すべき主要な移動手段である四つ這いへの移行を促すことが最も適切です。四つ這いは、体幹の抗重力伸展活動や四肢の協調性、バランス能力を養い、その後の座位安定や立ち上がり、歩行への重要な橋渡しとなる運動です。
選択肢ごとの解説
- 1. 生後8か月であれば、寝返りは通常生後4〜6ヶ月で獲得されるため、すでに獲得済みか、またはそれを超える次の段階の運動を優先するべきです。正しくは:生後8か月の乳児の運動発達の遅れに対しては、通常、寝返りの次の段階にあたる運動を優先して促します。選びやすい理由:寝返りは基本的な運動発達の指標であるため、遅れがある場合にまず思いつきやすいかもしれません。混同注意:初期の粗大運動発達段階との混同。
- 2. 膝立ち位は通常、つかまり立ちや伝い歩きの後の段階で現れる、より高度なバランスと体幹の安定性が必要な運動です。生後8か月の乳児の運動発達の遅れで、図のような姿勢が見られる段階では、まだ優先順位は高くありません。正しくは:膝立ち位は、四つ這いや座る動作が安定し、体幹のコントロールがある程度確立された後に導入されることが多いです。選びやすい理由:立位につながる運動として魅力的に見えるかもしれませんが、その前の発達段階が十分でない可能性が高いです。混同注意:歩行や立位への移行段階と、その前の移動運動の獲得段階との混同。
- 3. 正解。生後8か月の乳児で運動発達の遅れがある場合、図のような腹這い姿勢(お腹を床につけた状態での移動準備姿勢)が見られると、次に獲得すべき重要な移動運動は四つ這いです。四つ這いは体幹の安定性、四肢の協調性、バランス能力を養い、その後の座る、つかまり立ち、歩行へとつながる発達上不可欠な段階です。選びやすい理由:この選択肢は、乳児の運動発達段階と照らし合わせると、最も適切で自然な次のステップと考えられます。
- 4. 立ち上がり動作は、通常生後10ヶ月から1歳頃に獲得される運動ですが、これはつかまり立ちや伝い歩き、座る、四つ這いなどの先行する運動が十分に獲得されていることが前提です。図のような姿勢で運動発達の遅れがある場合、まだ優先的に取り組む段階ではありません。正しくは:立ち上がり動作は、四つ這いや座る、つかまり立ちなどの準備運動が安定してから導入されます。選びやすい理由:最終目標である歩行へのステップとして直結するように見えるため、選びたくなるかもしれません。混同注意:最終的な移動能力と、その前段階の基礎的な移動能力との混同。
- 5. 免荷立位での交互振り出し訓練は、主に歩行獲得前の下肢の協調性や振り出し動作の練習として行われますが、これは立位や歩行の準備段階のかなり終盤に位置する運動です。生後8か月の乳児で、まだ四つ這いや座位の安定も不確かな段階では、時期尚早であり優先順位は極めて低いです。正しくは:この訓練は、既に立位が可能な、または立位に近い段階にいる子どもに対して行われるのが適切です。選びやすい理由:歩行を促す訓練のように聞こえるため、発達を急ぐイメージから選びたくなるかもしれません。混同注意:歩行訓練の初期段階と、より前の移動運動の獲得段階との混同。
国試ポイント
乳児の運動発達における各段階(寝返り、座位、四つ這い、立ち上がり、歩行など)の一般的な獲得時期と、それぞれの運動が次の段階へどのように繋がるかを理解しているか。特に、運動発達の遅れが見られる場合に、現在の発達段階から次に優先すべき運動発達を適切に判断できる能力が問われています。
混同注意
各運動発達段階の時期が曖昧な場合、どの運動が先行し、どの運動が後に続くのかが混乱しやすい。特に、寝返りやお座りなどの初期段階と、四つ這いやつかまり立ち、歩行などのより高度な移動運動の段階を正確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず児の年齢を確認し、その年齢での標準的な運動発達段階を把握します。次に、提示された身体状況や姿勢(図など)から、現在の発達レベルを特定します。その上で、次に獲得すべき発達段階の運動がどれにあたるかを判断します。特に「運動発達の遅れ」という情報がある場合は、標準より一段階前の運動能力をターゲットにする場合があることを考慮します。
関連知識
乳児の粗大運動発達の順序: 首すわり → 寝返り → 腹ばい移動(ずりばい) → お座り → 四つ這い → つかまり立ち → 伝い歩き → 独り立ち → 独歩。各段階で獲得される運動能力が、次の段階の運動を可能にするための基礎となることを理解することが重要です。