腰椎椎間板ヘルニアの疼痛誘発テストはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Bragardテストは、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)の続きとして行われる鑑別テストです。SLRテストで陽性(神経根性の痛みが誘発される)の場合に、股関節と膝関節の角度を維持したまま足関節を背屈させることで、坐骨神経をさらに牽引し、痛みが誘発されるかを確認します。これにより、SLRテストの陽性所見がハムストリングスなどの筋肉の伸張によるものではなく、神経根性の牽引によるものであることを明確にし、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状の存在を強く示唆します。
選択肢ごとの解説
- 1. Adsonテストは胸郭出口症候群の診断に用いられる検査です。椎間板ヘルニアとは直接関係ありません。正しくは:胸郭出口症候群(斜角筋症候群タイプ)の診断に用いられる。選びやすい理由:様々な整形外科テストの名称が並んでいるため、知識があやふやだと選んでしまう可能性があります。混同注意:他の神経絞扼症候群のテストと混同しやすいです。
- 2. 正解。Bragardテストは、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)で陽性の場合に、足関節を背屈させることで神経根への牽引ストレスを増加させ、痛みが誘発されるかを評価します。これにより、SLRテストの陽性がハムストリングスの伸張によるものではなく、神経根性疼痛であることを鑑別するのに役立ち、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状の確認に用いられます。
- 3. Eichhoffテストは、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の診断に用いられる検査で、母指の短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の炎症を評価します。腰椎椎間板ヘルニアとは関連がありません。正しくは:ドケルバン病の診断に用いられる。選びやすい理由:手首や手指の疾患に関するテスト名として認識していると、他の選択肢との区別がつきにくいかもしれません。混同注意:Finkelsteinテスト(Eichhoffテストとほぼ同じ意味で用いられることが多い)と混同しやすいです。
- 4. Thomsenテストは、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の診断に用いられる検査です。手関節を掌屈位で抵抗を加えて背屈させる際に、外側上顆部に痛みが生じるかを確認します。腰椎椎間板ヘルニアとは関連がありません。正しくは:上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の診断に用いられる。選びやすい理由:肘関節の疼痛評価テストとして知られていますが、他の身体部位のテストと区別できないと誤答する可能性があります。混同注意:MillテストやChairテストといった他のテニス肘の検査と混同しやすいです。
- 5. Yergasonテストは、上腕二頭筋長頭腱炎や上腕二頭筋長頭腱の不安定性、特に横手根靭帯の損傷を評価するための検査です。肩関節の疾患に関連し、腰椎椎間板ヘルニアの診断には用いられません。正しくは:上腕二頭筋長頭腱の病変(腱炎や不安定性)の診断に用いられる。選びやすい理由:肩関節の不安定性や腱の問題に関連するテストとして、他の部位のテストとの区別が難しいかもしれません。混同注意:Speedテスト(上腕二頭筋長頭腱炎の別の検査)と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、主要な整形外科的テストとその適応疾患を正確に結びつける知識を問うものです。特に、神経学的症状を伴う疾患(椎間板ヘルニアなど)のテストと、関節や腱の疾患のテストを明確に区別できるかがポイントとなります。各テストの原理と陽性所見の意味まで理解していることが重要です。
混同注意
多くの整形外科テスト名が羅列されているため、それぞれのテストがどの部位の、どのような病態を評価するものなのかを正確に把握していないと、混同しやすいです。特に、神経根症状を評価するテスト(SLR、Fajersztajnなど)と、関節や腱の炎症を評価するテストを区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、単にテスト名と疾患名を覚えるだけでなく、各テストが『どのようなメカニズムで疼痛を誘発するのか』や『どの神経や組織にストレスをかけるのか』といった原理まで問われる可能性があります。また、複数の疾患に対して鑑別診断のためにどのテストを選択すべきか、という臨床応用的な視点も重要になります。
関連知識
腰椎椎間板ヘルニアの診断には、Bragardテストの他に、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)、Fajersztajnテスト(交差性SLRテスト)、大腿神経伸展テスト(FNST)などがあります。また、神経根症状を評価する徒手筋力テストや深部腱反射の評価も重要です。各テストの目的、実施方法、陽性所見、そしてそれが示唆する病態をセットで理解しておく必要があります。