脊髄ショック期の徴候として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脊髄ショック期は、脊髄損傷直後に損傷部位以下の脊髄機能が一時的に完全に消失・抑制される状態です。この時期には、運動麻痺は弛緩性となり、感覚も消失し、深部腱反射や表在反射(肛門括約筋反射など)は消失します。自律神経機能も抑制され、尿閉や腸管麻痺、血管運動神経麻痺による血圧低下などが起こります。肛門括約筋反射の消失は、特に脊髄ショック期の重要な徴候の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 脊髄ショック期に温痛覚の解離は起こりません。温痛覚解離は、脊髄中心部が障害される症候群(例:脊髄空洞症や脊髄中心性症候群)で特徴的に見られる症状です。正しくは:温痛覚の低下または消失が見られますが、解離はしません。選びやすい理由:感覚障害の一種であるため、選びやすいかもしれませんが、解離という特殊なパターンは脊髄ショック期には当てはまりません。混同注意:ブラウン・セカール症候群(片側麻痺と対側温痛覚障害)や脊髄空洞症(温痛覚解離)など、他の脊髄症候群と混同しやすいです。
- 2. 脊髄ショック期には、損傷部位以下の運動機能が麻痺し、弛緩性麻痺を呈します。痙性麻痺は、脊髄ショック期が終了した後に上位運動ニューロンの障害により発生します。正しくは:弛緩性麻痺が出現します。選びやすい理由:脊髄損傷と麻痺は強く関連するため選びやすいですが、痙性と弛緩性の違いがポイントです。混同注意:脊髄損傷後の慢性期に見られる痙性麻痺と混同しやすいです。
- 3. 正解。脊髄ショック期には、損傷部位以下の脊髄反射が抑制され、肛門括約筋反射(S2-S4が関与)も一時的に消失します。これは脊髄ショック期の診断基準の一つです。
- 4. 脊髄ショック期では、脊髄反射の中枢が抑制されるため、深部腱反射は消失または低下します。亢進するのは脊髄ショック期を脱した後に現れる上位運動ニューロン障害の徴候です。正しくは:深部腱反射は消失または低下します。選びやすい理由:脊髄損傷後の運動麻痺と反射異常を結びつけやすいですが、亢進するのは後の段階です。混同注意:脊髄ショック期後の上位運動ニューロン障害による反射亢進と混同しやすいです。
- 5. 脊髄ショック期では、自律神経反射も抑制されるため、排尿反射は亢進するのではなく、消失または抑制されます。これにより尿閉をきたします。正しくは:排尿反射は消失または抑制されます。選びやすい理由:排尿機能の異常は脊髄損傷でよく見られるため選びやすいですが、亢進ではなく抑制が正しいです。混同注意:脊髄ショック期後の神経因性膀胱(反射性排尿)と混同しやすいです。
国試ポイント
脊髄損傷後の急性期(脊髄ショック期)に起こる生理学的変化を理解しているかが問われています。特に、弛緩性麻痺、反射消失、自律神経機能の抑制といった特徴を正確に把握していることが重要です。痙性麻痺や反射亢進はショック期を脱した後に現れる症状であり、これらと混同しないことがポイントです。
混同注意
脊髄ショック期の『反射消失・弛緩性麻痺』と、ショック期脱却後の『反射亢進・痙性麻痺』の区別が最も重要です。また、他の脊髄疾患(例:脊髄空洞症の温痛覚解離)に見られる特殊な症状と混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、脊髄ショック期に関する問題が出題された場合、症状の具体的な機序(なぜ反射が消失するのか、なぜ弛緩性麻痺なのか)や、ショック期からの回復過程でどのような症状に変化するか(例:反射の回復、痙性の出現)が問われる可能性があります。
関連知識
脊髄損傷の病態生理、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の鑑別、神経因性膀胱の種類(弛緩性、反射性)とそれぞれの病態、自律神経系への影響。