予防医学に関する組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・5のいずれも正解とされています。 本問題は、予防医学における一次予防、二次予防、三次予防の具体的な活動内容に関する理解を問うものです。一次予防は、健康な人々に対して疾病の発生そのものを予防する活動(例:健康教育、予防接種)。二次予防は、疾病の早期発見・早期治療を通じて重症化を防ぐ活動(例:健康診断、各種検診、人間ドック)。三次予防は、すでに疾病を発症している人々に対して、病状の悪化防止、機能障害の回復・維持、合併症予防、社会復帰支援などを行う活動(例:リハビリテーション、再発予防、透析患者の運動療法)です。選択肢2の「人間ドック」は疾病の早期発見であり二次予防に該当します。選択肢5の「透析患者の運動療法」は、疾病発症後の機能維持・改善や合併症予防を目的とするため三次予防に該当します。したがって、これら2つが正しい組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. 褥瘡対策は、多くの場合、すでに疾病や機能障害がある患者に対して行われます。その目的は、褥瘡の発生予防(一次予防的側面)、悪化防止(二次予防的側面)、再発防止(三次予防的側面)と多岐にわたりますが、一般的に健康な人を対象とした広義の一次予防の例としては適切ではありません。正しくは:「二次予防褥瘡の早期発見と介入」または「三次予防既存の褥瘡による合併症の予防」選びやすい理由:「予防」という言葉から、疾病の発生を防ぐ「一次予防」と誤解しやすいです。混同注意:疾病発生前の一般的な健康増進活動や特異的予防と混同しやすいです。褥瘡発生の『リスク低減』は一次予防的要素を持ちますが、対象が健康者ではない場合が多い点で一般的な一次予防の定義から外れることがあります。
- 2. 正解。人間ドックは、自覚症状がない段階で疾病の兆候を発見し、早期に介入することで重症化を防ぐことを目的としています。これは疾病の早期発見・早期治療を意味する二次予防に該当します。
- 3. ワクチン接種は、特定の感染症に対する免疫を事前に獲得させることで、疾病そのものの発生を未然に防ぐ活動です。これは疾病の発生予防にあたるため、一次予防に分類されます。正しくは:「一次予防ワクチン接種」選びやすい理由:「予防」という言葉が共通しているため、予防医学の活動であることは理解できますが、一次と二次の区別があいまいだと誤答しやすいです。混同注意:早期発見・早期治療(二次予防)と、疾病発生そのものの予防(一次予防)を混同しやすいです。
- 4. 肺がん検診は、まだ症状が現れていない肺がんを早期に発見し、早期治療につなげることを目的としています。疾病の早期発見・早期治療は二次予防に分類されます。正しくは:「二次予防肺がん検診」選びやすい理由:「がん」という重篤な疾患に関連するため、予防の最終段階(三次予防)と誤解しやすいです。混同注意:疾病の早期発見・早期治療(二次予防)と、疾病発症後の機能維持・改善や合併症予防(三次予防)を混同しやすいです。
- 5. 正解。透析患者はすでに腎不全という疾病を抱えており、運動療法は疾病の進行による機能障害の悪化防止、合併症の予防、残存機能の維持・改善、生活の質の向上などを目的とします。これは疾病発症後のリハビリテーションや合併症予防にあたるため、三次予防に分類されます。
国試ポイント
予防医学の分類(一次予防、二次予防、三次予防)は、保健医療分野の基礎知識として頻繁に出題されます。具体的な活動例と分類の組み合わせを正しく理解しているかが問われる傾向にあります。特に、一次と二次、二次と三次で混同しやすい事例に注意が必要です。
混同注意
健康増進活動(一次予防)と、早期発見・早期治療(二次予防)、そして疾病発症後の機能回復・維持(三次予防)の区別が曖昧になりがちです。特に「予防」という言葉がつく活動すべてを一次予防と捉えてしまう誤解や、重篤な疾患に対する活動をすべて三次予防と捉えてしまう誤解が多いです。
次に同じ論点が出たら
問題文がどの予防段階に焦点を当てているか、また提示されている活動が「疾病の発生前」「疾病の早期段階」「疾病発症後」のどのフェーズに該当するかを判断することが重要です。特に、対象者が「健康な人か」「疾病のリスクがある人か」「すでに疾病を発症している人か」を見極めることが肝要です。
関連知識
一次予防: 健康増進(健康教育、栄養改善、運動指導)、特異的予防(予防接種、環境整備)。二次予防: 早期発見・早期治療(健康診断、各種検診、人間ドック、スクリーニング)。三次予防: 機能回復・維持(リハビリテーション、合併症予防、再発予防、QOL改善、社会復帰支援)。各予防段階における理学療法士の役割も理解しておくことが重要です。