慢性閉塞性肺疾患の呼吸機能検査の所見で低下がみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺胞壁の破壊を特徴とする肺気腫型や気道狭窄が主体の慢性気管支炎型に分類されます。特に肺気腫型では、肺胞-毛細血管膜の破壊により、ガス交換の場が減少するため、肺拡散能(DLco)が著明に低下します。これはCOPDの病態生理を反映する重要な指標です。
選択肢ごとの解説
- 1. COPDが進行すると、肺胞でのガス交換障害により二酸化炭素の排出が困難になり、PaCO₂は上昇する傾向にあります。特に慢性呼吸不全では高炭酸ガス血症を呈します。正しくは:COPDではPaCO₂は上昇する(ただし、病期や急性増悪の有無によって変動する)選びやすい理由:呼吸機能が全体的に低下するイメージから、ガス分圧も低下すると誤解する可能性。混同注意:PaO₂(動脈血酸素分圧)は低下するが、PaCO₂は上昇する傾向があること。
- 2. COPDでは、気道閉塞により呼気時に空気が十分に排出されず、肺内に過剰に空気が残る(air trapping)ため、残気量(RV)が増加します。これにより、全肺気量(TLC)に占める残気量の割合である残気率も上昇します。正しくは:COPDでは残気率は上昇する選びやすい理由:呼吸機能が全体的に低下するという漠然とした理解から、割合を示す残気率も低下すると考えてしまう。混同注意:努力性肺活量(FVC)や1秒量(FEV1.0)の低下とは異なる指標であること。
- 3. COPDでは肺の過膨張が生じるため、全肺気量(TLC)は正常または増加する傾向にあります。特に肺気腫型のCOPDでは著明に増加することが多いです。正しくは:COPDでは全肺気量は正常または上昇する選びやすい理由:肺活量などの低下と混同し、全肺気量も低下すると誤解する。混同注意:拘束性肺疾患では全肺気量が低下することと混同しやすい。
- 4. 正解。COPD、特に肺気腫では、肺胞壁の破壊によりガス交換を行う肺胞-毛細血管膜の表面積が減少します。これにより、一酸化炭素(または酸素)の肺から血液への拡散能力が低下するため、肺拡散能(DLco)は低下します。選びやすい理由:他の選択肢と比べて具体的な疾患特異性が高い指標であるため、正確な知識が求められる。混同注意:肺活量や1秒量といった換気機能の指標とは異なり、ガス交換機能の指標であること。
- 5. COPD、特に肺気腫では、肺胞壁の破壊により肺の弾性線維が失われ、肺が過度に伸展しやすくなります。このため、肺の伸びやすさを示す肺コンプライアンスは増加(上昇)します。正しくは:COPDでは肺コンプライアンスは上昇する選びやすい理由:疾患により「機能が低下する」という一般的なイメージから、コンプライアンスも低下すると考えてしまう。混同注意:拘束性肺疾患では肺コンプライアンスが低下することと混同しやすい。
国試ポイント
COPDの呼吸機能検査所見に関する基本的な知識が問われています。特に、閉塞性換気障害の一般的な特徴(FEV1.0/FVC低下、残気量増加など)だけでなく、ガス交換能や肺の弾性特性に関する具体的な指標(肺拡散能、肺コンプライアンス、PaCO₂)がどのように変動するかを理解しているかが重要です。それぞれの指標が示す意味を正確に把握している必要があります。
混同注意
拘束性肺疾患の所見(全肺気量、肺コンプライアンスの低下など)と混同しやすい。また、COPDの進行に伴う様々な呼吸機能障害をまとめて「低下」と捉えがちだが、指標によっては「上昇」するものもあるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各呼吸機能検査項目の定義と、それが閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患でそれぞれどのように変動するかを比較して理解できているかが問われるでしょう。また、動脈血ガス分析の具体的な数値と臨床状態との関連(例:高炭酸ガス血症による意識障害など)も問われる可能性があります。
関連知識
COPDの診断基準(FEV1.0/FVC<70%)、GOLD分類、労作時呼吸困難、慢性咳嗽・喀痰、肺の過膨張(胸部X線所見)。気道閉塞のメカニズム(炎症、粘液過分泌、線毛機能障害、肺実質の破壊)。喫煙との関連。