筋滑車がみられる筋はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
顎二腹筋の中間腱は舌骨に付着する腱環(筋滑車)を通ることで方向を転換し、上斜筋は眼窩内の滑車(trochlea)を通過することでその作用方向を変化させます。これらはいずれも、筋の作用方向を効率的に変えるための『筋滑車』と呼ばれる特殊な構造を持つ代表的な筋肉です。
選択肢ごとの解説
- 1. 烏口腕筋は肩関節の屈曲、内転、内旋に作用する筋肉で、筋滑車のような特定の構造は持ちません。肩甲骨の烏口突起から上腕骨に直接付着しています。正しくは:烏口腕筋は滑車構造を持たないため、滑車を持つ筋の選択肢としては不適切です。選びやすい理由:筋の名前だけでは滑車の有無を判断しにくいため、知識が曖昧な場合に選びやすい可能性があります。混同注意:他の肩関節周囲の筋肉や、上肢の腱が骨や靭帯の下を通る構造(例:長母指外転筋の腱鞘)と混同する可能性は低いですが、筋の走行と作用の知識が不十分だと選択肢から除外できません。
- 2. 正解。顎二腹筋は、前腹と後腹という2つの筋腹を持ち、その中間腱が舌骨に結合する腱環(滑車として機能する構造)を通っています。この滑車によって筋の作用方向が変化し、下顎骨の下降や舌骨の挙上に貢献します。
- 3. 示指伸筋は前腕の伸筋群の一つで、示指の伸展を行います。手関節の背側では伸筋支帯の下を通過しますが、この支帯は腱の安定化や保護を目的としたものであり、筋の作用方向を大きく変化させる「筋滑車」とは機能が異なります。正しくは:示指伸筋は滑車構造を持たないため、滑車を持つ筋の選択肢としては不適切です。選びやすい理由:腱が靭帯の下を通過するという点で、滑車と誤解する学生がいるかもしれません。手根管などの腱の走行に関連する知識と混同しやすいです。混同注意:腱が骨や靭帯の下を通過する一般的な構造(例:手根管、足根管、腱鞘など)と、本来の筋滑車の概念が混同されやすいです。筋滑車は筋の作用方向を積極的に変更する目的の構造です。
- 4. 小胸筋は肩甲骨の烏口突起から第3~5肋骨に付着し、肩甲骨の下降、前傾、内転などに作用します。この筋肉には筋滑車のような特別な構造は存在しません。正しくは:小胸筋は滑車構造を持たないため、滑車を持つ筋の選択肢としては不適切です。選びやすい理由:大胸筋と混同したり、肩甲帯の動きに関わる他の筋肉との関連で、特定の構造を持っていると誤解する可能性があります。混同注意:肩甲帯の他の筋肉や、胸郭に付着する他の筋肉の機能や構造と混同しやすいかもしれません。
- 5. 正解。上斜筋は、眼窩の内側上部にある「滑車(trochlea)」と呼ばれる軟骨性の輪を通過します。この滑車を通ることで、上斜筋の走行方向は約90度変化し、眼球の複雑な運動(下方、外側、内旋)に重要な役割を果たします。この滑車は典型的な筋滑車の一つです。
国試ポイント
筋滑車を持つ筋肉は、その特殊な走行と作用機序から、解剖学・生理学の知識を問う問題として頻出します。特に、筋の付着部、走行、作用、そしてその運動学的特徴を理解しているかが試されます。代表的な滑車筋とその役割を正確に覚えることが重要です。眼球運動筋や舌骨上筋群は、滑車構造を持つことが多いので注意が必要です。
混同注意
腱が靭帯や骨の下を通過する構造全般(例:手根管を通る腱、足根管を通る腱、長母指外転筋の腱鞘など)と、真の「筋滑車」の概念が混同されやすいです。筋滑車は筋の作用方向を大きく変化させるための構造であり、単なる保護や安定化のための通過路とは区別されます。特に、滑車状の軟骨や腱環を持つものが典型的です。
次に同じ論点が出たら
次の問題で筋滑車について問われたら、まず「その筋肉の走行が大きく方向転換しているか」「その方向転換を助ける明確な滑車状の構造(骨、軟骨、腱環など)があるか」を基準に判断します。特に、眼球運動筋と舌骨上筋群は滑車構造を持つことが多いので注意が必要です。
関連知識
滑車の原理(力の方向転換と効率化)、他の滑車構造を持つ筋(例:長腓骨筋腱が腓骨筋滑車を通る)、筋の付着部と作用、眼球運動に関わる他の外眼筋の作用と支配神経、下顎の運動に関わる他の筋(咀嚼筋、舌骨上筋群、舌骨下筋群)の機能などが関連知識となります。