IL〈Independent Living〉運動で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
インディペンデント・リビング(IL)運動は、障害者が自身の生活の選択権と決定権を持ち、地域社会で主体的に生活できることを目指す運動です。障害者をケアの対象として捉えるのではなく、一人の市民として尊重し、必要な支援を受けながら自らの人生をデザインすることを重視します。これは、障害の社会モデルに基づき、社会環境の変革を求めるものです。
選択肢ごとの解説
- 1. IL運動は、1960年代のアメリカ合衆国で誕生した社会運動であるため、1990年代後半という記述は誤りです。正しくは:1960年代のアメリカ合衆国で始まった。選びやすい理由:障害者権利条約が採択されたのは2006年と比較的近年のため、障害に関する社会運動も近年と思いがちですが、IL運動はより古い歴史を持つため、年代を混同しやすいです。混同注意:障害者権利条約の採択時期や、日本の障害者自立支援法などの成立時期と混同しやすいです。
- 2. IL運動は、カリフォルニア大学バークレー校の学生であったエド・ロバーツらによって、アメリカ合衆国で始まりました。正しくは:アメリカ合衆国が発祥の地である。選びやすい理由:スウェーデンは福祉国家として知られ、障害者福祉においても先進的な取り組みが多い国であるため、発祥の地と勘違いしやすいです。混同注意:他の北欧諸国の福祉制度や、ノーマライゼーションの概念(デンマーク発祥)と混同しやすいです。
- 3. IL運動は、障害者が地域社会で主体的に生活することを目指す社会的包摂(Social Inclusion)の考えに立脚しており、既存の社会システムが障害者を排除していることへの抗議と、自立した生活を可能にするための社会変革を求めたものです。直接的に「社会的排除への戦略」として提唱されたというよりは、社会的包摂を目指した結果として社会的排除を克服するものと捉えるのが適切です。正しくは:障害者が社会から排除されずに、主体的に地域で生活できるようにするための運動である。選びやすい理由:障害者が社会から不利益を被っている状況を改善する運動であるため、社会的排除と強く結びつけてしまいがちです。混同注意:社会的包摂(Social Inclusion)と社会的排除(Social Exclusion)の概念を混同しやすいです。IL運動は社会的包摂を目指すものです。
- 4. 正解。インディペンデント・リビング(IL)運動の最も重要な柱は、障害者自身の自己決定と自己選択の尊重であり、彼らが自身の生活について主体的に意思決定し、社会の中で自立した生活を送ることを目指すものです。
- 5. IL運動は、障害を個人の病気や機能障害と捉える医学的モデルではなく、社会環境や制度が障害を作り出していると考える社会モデル(Social Model)の立場を取っています。医学的モデルは、IL運動が批判し、変革を目指した対象です。正しくは:障害の社会モデルを基盤としている。選びやすい理由:身体的な障害が伴うため、医学的モデルと連想しやすいですが、IL運動は医学的モデルからの脱却を目指しました。混同注意:障害の医学的モデルと社会モデルの区別が曖昧な場合、間違えやすいです。この運動は社会モデルを強く支持しています。
国試ポイント
インディペンデント・リビング(IL)運動の基本的な概念、特に「自己決定」と「社会モデル」との関連性を理解しているかを問う問題です。運動の背景、発祥の地、時期、そして目指すものがポイントとなります。
混同注意
障害の医学的モデルと社会モデルの混同。また、障害者福祉の歴史において、IL運動がどの位置づけにあるのか、他の障害者運動や法制度との関連性を混同しやすいです。例えば、ノーマライゼーションの概念との違いや共通点も理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、「IL運動が障害の社会モデルに基づいているか」「自己決定や自立生活支援が中核にあるか」「発祥の地や時期」の3点をまず確認すると良いでしょう。また、ILセンターの役割やピアサポートの重要性も問われる可能性があります。
関連知識
IL運動の発祥地:アメリカ合衆国(カリフォルニア州バークレー)。IL運動の提唱者:エド・ロバーツなど。IL運動の理念:自己決定、自己選択、ピアサポート、脱施設化、社会モデル。ILセンター:IL運動の拠点として、障害当事者が運営する組織。ノーマライゼーションとの関連:IL運動はノーマライゼーションの理念を具体的に実現するための運動の一つと位置づけられます。障害者権利条約:IL運動の理念を国際的な規範として確立したものであり、「地域社会で自立して生活する権利」を明記しています。