76歳の女性。脛骨高原骨折。転倒して受傷し、人工骨を用いた手術を施行された。術後のエックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。術後の理学療法で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
脛骨高原骨折の術後早期では、患部の安静と固定が最も重要です。一方で、深部静脈血栓症(DVT)や浮腫の予防、全身状態の維持も不可欠です。足関節の自動運動は、膝関節に負担をかけずにこれらの合併症を予防し、循環を促進できるため、術後翌日から安全に実施できる理学療法として適切です。他の選択肢は、患部に過度な負荷をかけたり、炎症を悪化させたりするリスクが高いため、術後早期には不適切と判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 極超短波治療は温熱療法の一種であり、術直後の炎症期には腫脹や痛みを悪化させるリスクがあるため適切ではありません。また、人工骨が体内にある場合、熱傷のリスクも考慮する必要があります。正しくは:急性期の炎症や腫脹が落ち着いてから、必要に応じて慎重に導入を検討します。選びやすい理由:物理療法としてよく用いられるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:慢性期の温熱療法と急性期の適用を混同しやすいです。
- 2. 正解。足関節の自動運動は、深部静脈血栓症(DVT)の予防、浮腫の軽減、下腿の筋ポンプ作用の維持に有効です。膝関節には直接的な負荷をかけないため、術後早期から安全に行うことができます。選びやすい理由:早期離床や合併症予防の重要性を理解していれば選びやすい選択肢です。混同注意:膝関節への負荷と足関節への負荷を区別できないと誤る可能性があります。
- 3. 脛骨高原骨折の術後早期に膝関節の等張性筋力増強運動を行うと、骨折部に過度なストレスがかかり、固定性の低下や再転位、金属疲労などを引き起こすリスクがあります。特に人工骨を使用している場合、慎重な対応が必要です。正しくは:膝関節への負荷を避けるため、通常は術後数週間から数ヶ月経過し、骨癒合の進行や固定性が確認されてから、理学療法士の指導のもとで徐々に開始します。等尺性運動から始めるのが一般的です。選びやすい理由:早期からの筋力回復の必要性を考えると思い込みやすいです。混同注意:等尺性運動と等張性運動の違いや、荷重時期による運動の適用を混同しやすいです。
- 4. 脛骨高原骨折の術後早期(特に人工骨を使用している場合)にCPMを導入すると、骨折部に過度な剪断力や圧迫力がかかり、骨癒合を阻害したり、固定を不安定にするリスクがあります。導入時期は骨折型や手術方法、骨癒合状況によって慎重に判断され、通常はもう少し経過を見てから開始されます。正しくは:CPMの開始時期は、骨癒合の程度や患者の状態を評価した上で、主治医や理学療法士が決定します。一般的には、術後数週間経過してから関節可動域の改善を目的に導入されます。選びやすい理由:CPMが関節可動域訓練に有効な治療法であるため、早期導入を期待する可能性があります。混同注意:CPMが関節可動域訓練に有効であることと、骨折術後早期の導入リスクを混同しやすいです。
- 5. 脛骨高原骨折は荷重関節内の骨折であり、骨癒合が得られるまで免荷または部分荷重の期間が必要です。術後2週からの全荷重歩行は早すぎます。正しくは:荷重開始時期は、X線写真での骨癒合所見や術式、患者の骨質などを考慮し、医師の指示に基づいて段階的に進められます。通常は術後数ヶ月の時間を要します。選びやすい理由:早期のADL自立を目指すという意識から、荷重を早めたいと考えるかもしれません。混同注意:骨折の種類や手術方法による荷重制限の違いを理解していないと誤る可能性があります。
国試ポイント
骨折術後の理学療法において、患部に負担をかけずに全身合併症を予防し、早期に実施可能な運動と、骨癒合状況に応じて段階的に導入すべき運動を正確に区別できるかが問われています。特に、急性期の禁忌事項と、各介入の開始時期が重要です。
混同注意
骨折の部位や術式によって、術後早期に開始できる運動と、荷重制限の程度が異なる点を混同しやすいです。また、等尺性運動と等張性運動、物理療法の急性期と慢性期の適用についても誤解が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、骨折の種類(荷重関節か否か)、術式(内固定、人工骨、人工関節など)、およびX線写真による骨癒合の状態を総合的に判断し、患部へのメカニカルストレスを最小限に抑えつつ、全身の合併症予防と機能回復を両立させるための適切な理学療法プログラムを立案できるかが問われます。
関連知識
脛骨高原骨折の解剖学的特徴、手術方法(人工骨の使用を含む)、骨癒合のプロセス、深部静脈血栓症(DVT)の予防、物理療法の種類と禁忌事項、CPMの適用とリスク、荷重制限の段階と評価方法。