頭部単純CTで低吸収域として描出されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
脳梗塞は、虚血により脳組織が壊死に至る病態です。急性期には浮腫によって低吸収に見えることもありますが、一般的に時間経過とともに壊死組織が吸収・除去され、その部位が脳脊髄液に置き換わるため、CT画像では脳脊髄液と同等の低吸収域として描出されるようになります。これを脳軟化巣と呼びます。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性期のくも膜下出血は、新鮮な血液が脳槽や脳溝に貯留するため、CT画像では高吸収域として描出されます。低吸収域ではありません。正しくは:急性期のくも膜下出血は、高吸収域として描出される。選びやすい理由:「出血」という言葉から異常な状態と認識されますが、急性期の新鮮血はCTで高吸収を示します。混同注意:出血が時間経過とともに吸収され、慢性期には低吸収に近くなることがありますが、典型的な急性期の描出とは異なります。また、脳浮腫などの低吸収性病変と混同する可能性があります。
- 2. 正解。脳梗塞の慢性期では、虚血によって壊死した脳組織が変性・消失し、その部分が脳脊髄液で満たされた嚢胞状の空洞となります。脳脊髄液は水とほぼ同じCT値であるため、CT画像では低吸収域として描出されます。
- 3. 急性期の脳出血は、新鮮な血液が脳内に貯留している状態であり、新鮮血はCT値が高いため、高吸収域として描出されます。低吸収域ではありません。正しくは:急性期の脳出血は、高吸収域として描出される。選びやすい理由:「出血」という言葉から、何か異常な影として捉えられますが、急性期の血液のCT特性を理解していないと誤って選択する可能性があります。混同注意:出血が時間とともに変化し、慢性期には低吸収域になることがあるため、急性期と慢性期の違いを混同しやすいです。また、脳浮腫などの低吸収性病変と誤認する可能性があります。
- 4. 急性硬膜下血腫も、新鮮な血液が硬膜下に貯留した状態であるため、CT画像では高吸収域として描出されます。低吸収域ではありません。正しくは:急性硬膜下血腫は、高吸収域として描出される。選びやすい理由:「血腫」という言葉から出血に関連する異常と認識されますが、急性期の血液はCTで高吸収を示します。混同注意:慢性硬膜下血腫では、血液成分が分解・液化して低吸収域として描出されることがあるため、急性期と慢性期の違いを混同しやすいです。
- 5. 石灰化はカルシウム成分であり、CT画像では骨と同様に極めて高いCT値を示すため、非常に明るい高吸収域として描出されます。低吸収域ではありません。正しくは:脈絡叢の石灰化は、極めて高吸収域として描出される。選びやすい理由:石灰化という変化が病変のように感じられるかもしれませんが、CTでの表現は低吸収域とは真逆です。混同注意:生理的な石灰化であるため、病的な変化と誤解することがあります。しかし、いずれにせよ低吸収ではありません。また、高吸収域の他の病変(新鮮出血など)と区別が必要な場合があります。
国試ポイント
頭部単純CT画像における、様々な病態のCT値(吸収域)の判別が問われる基本的な問題です。特に、新鮮な血液(急性期の出血や血腫)が高吸収域であること、脳脊髄液や壊死後の軟化巣が低吸収域であること、石灰化が極めて高吸収域であることなど、主要な組織や病変のCT特性を正確に理解している必要があります。急性期と慢性期でのCT値の変化も重要なポイントです。
混同注意
新鮮な出血(急性期の高吸収)と、慢性期の出血や脳軟化巣(低吸収)の区別。また、脳浮腫による低吸収と脳脊髄液による低吸収の違い。石灰化と新鮮出血の類似した高吸収域での混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、単なるCT値の判別だけでなく、造影CTにおける病変の増強効果、MRIにおけるT1強調像・T2強調像・拡散強調像の所見との比較、または特定の病態におけるより詳細なCT所見(例:初期脳梗塞の微細な低吸収域や基底核の不明瞭化)などが問われる可能性があります。
関連知識
CT値(Hounsfield単位)の概念、水のCT値(0HU)を基準とした各組織のCT値、脳出血・脳梗塞・くも膜下出血・硬膜下血腫の時間経過によるCT所見の変化、脳腫瘍や脳浮腫のCT所見、脳内の生理的石灰化部位(脈絡叢、松果体、大脳鎌など)。