骨格筋の構造で筋収縮時に長さが一定なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
骨格筋の収縮は、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント上を滑走することによって起こります(滑り説)。この際、フィラメント自体の長さは変化しません。A帯はミオシンフィラメントの長さに対応する部分であり、ミオシンフィラメントの長さが不変であるため、A帯の長さも一定です。Z帯はアクチンフィラメントが付着する構造であり、筋節の両端を規定する部分です。Z帯そのものの長さは収縮時にも変化しません。一方、H帯とI帯はアクチンフィラメントが滑り込むことで短縮し、筋節全体も短縮します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。A帯は、筋原線維の暗帯部分であり、主にミオシンフィラメントによって構成されます。筋収縮時にはミオシンフィラメントの長さは変わらず、アクチンフィラメントがA帯内へ滑り込むため、A帯自体の長さは一定に保たれます。
- 2. H帯は、A帯の中央部に位置する部分で、ミオシンフィラメントのみから構成されます。筋収縮時にはアクチンフィラメントがA帯の中央に向かって滑り込むため、H帯は短縮し、最大収縮時には消失することもあります。正しくは:筋収縮時にはH帯は短縮する。選びやすい理由:A帯と混同し、A帯の一部であるため一定だと錯覚しやすい。混同注意:A帯、I帯
- 3. I帯は、筋原線維の明帯部分で、アクチンフィラメントのみから構成されます。筋収縮時にはアクチンフィラメントがA帯の中央に向かって滑り込むため、I帯は短縮します。正しくは:筋収縮時にはI帯は短縮する。選びやすい理由:Z帯と隣接しており、Z帯が一定であることから誤解しやすい。混同注意:A帯、H帯
- 4. 正解。Z帯(Z膜、Z線とも呼ばれる)は、筋原線維の最小単位である筋節(サルコメア)の両端を区切る構造です。アクチンフィラメントがZ帯に結合しており、筋収縮時もZ帯自体の長さは変化しません。Z帯間の距離が筋節の長さであり、筋節の短縮に伴ってZ帯間の距離は近づきますが、Z帯そのものの長さは一定です。
- 5. 筋節(サルコメア)は、2つのZ帯に挟まれた筋原線維の最小機能単位であり、筋収縮の基本単位です。筋収縮時にはアクチンフィラメントがミオシンフィラメント間を滑走することで筋節全体が短縮します。正しくは:筋収縮時には筋節は短縮する。選びやすい理由:筋収縮の基本単位であり、重要な構造であるため、一定であると誤解しやすい。混同注意:筋原線維、筋フィラメント
国試ポイント
この問題は、骨格筋収縮のメカニズムにおける各帯の構造と役割、特に収縮時の長さ変化について基本的な理解を問うものです。各帯がどのようなフィラメントで構成されているか、そしてそれが収縮時にどう変化するかを正確に把握しているかが重要です。2つ選べという形式で出題されることで、より正確な知識が求められます。
混同注意
筋原線維の各帯(A帯、I帯、H帯、Z帯)の定義と、それぞれの帯がどのフィラメント(アクチン、ミオシン)で構成されているか、また筋収縮時にどう変化するかを混同しやすいです。特にA帯とH帯、I帯とZ帯を混同する傾向があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題される場合、筋収縮の各段階(静止期、興奮期、収縮期、弛緩期)における各帯の変化を問う問題や、特定の疾患(例:筋ジストロフィー)における筋構造の変化に関連付けて問われる可能性があります。また、具体的なフィラメントの種類と役割を結びつけて問う問題も考えられます。
関連知識
・筋収縮の滑り説(sliding filament theory) ・筋原線維の微細構造(アクチンフィラメント、ミオシンフィラメント、トロポニン、トロポミオシンなど) ・筋小胞体とT細管の役割 ・興奮収縮連関