遺伝情報伝達で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ゲノムは、生物が持つ全ての遺伝情報(DNAの全塩基配列)を指します。ヒトの場合、大部分は細胞核内のDNAに存在し、ミトコンドリアDNAなども含まれますが、核内のDNAがその主要部分を占めます。選択肢3はゲノムの定義として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. リボソームRNA(rRNA)はタンパク質合成に関与しますが、ATP産生に直接関与するのはミトコンドリアの内膜で行われる電子伝達系や酸化的リン酸化です。正しくは:リボソームRNA(rRNA)は、リボソームを構成し、タンパク質合成に関わります。選びやすい理由:RNAが細胞内で重要な役割を果たすため、エネルギー代謝にも関与すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:リボソームの機能とミトコンドリアの機能を混同しやすいです。
- 2. DNAにおいて、アデニン(A)は常にチミン(T)と対を形成し、シトシン(C)はグアニン(G)と対を形成します(シャルガフの法則)。正しくは:DNA分子内では、アデニン(A)はチミン(T)と、シトシン(C)はグアニン(G)と対を形成して結合します。選びやすい理由:DNAの塩基が結合するという点は正しいですが、その組み合わせが誤っているため、知識が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:DNAの塩基の種類と結合相手を混同しやすいです。
- 3. 正解。ゲノムとは、ある生物が持つ全ての遺伝情報(DNAの全塩基配列)を指します。ヒトの場合、主に細胞核内のDNAに含まれる遺伝情報全体がゲノムに該当します。選びやすい理由:この選択肢はゲノムの定義を正確に述べています。
- 4. DNAから転写されるRNAには、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)など複数ありますが、通常「転写」といえばmRNAが作られる過程を指すことが多く、tRNAもDNAから直接転写されますが、この表現では他のRNAも存在するため、誤解を招く可能性があります。しかし、問題の意図はDNAからの転写先がtRNAのみではないことを問うていると考えられます。正しくは:DNAからは、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)など様々な種類のRNAが転写されます。選びやすい理由:tRNAがDNAから転写されることは事実なので、その点だけ見ると正しいように感じられます。しかし「直接」という限定的な表現が誤解を招きやすいです。混同注意:転写されるRNAの種類を限定的に捉えてしまいがちです。
- 5. mRNA上でアミノ酸をコードする暗号単位は、3つの塩基の組み合わせ(コドン)によって形成されます。これをトリプレットコードと呼びます。正しくは:メッセンジャーRNA(mRNA)上では、3つの塩基の組み合わせが1つのアミノ酸をコードする暗号単位(コドン)を形成します。選びやすい理由:RNAが暗号単位を持つことは正しいですが、その塩基の数が誤っているため、知識が不確かな場合に選びやすいです。混同注意:「暗号の単位」という表現から、塩基数が不明確なまま選択してしまう可能性があります。
国試ポイント
この問題は、遺伝情報伝達の基本的な用語(ゲノム、RNAの種類と機能、DNAの塩基対)と、その過程(転写)に関する正確な知識を問うています。特に、紛らわしい表現や部分的に正しい情報を含む選択肢を提示し、受験者の深い理解度を試す形式です。
混同注意
各RNAの機能、DNAの塩基対合則、転写の対象となるRNAの種類、コドンの塩基数などが混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題される場合は、遺伝子発現の流れ(転写、スプライシング、翻訳)の詳細、各RNAの具体的な機能、遺伝子変異と疾患の関係、エピジェネティクスといったより深い知識が問われる可能性があります。
関連知識
分子生物学のセントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)、各RNAの構造と役割、遺伝暗号(コドン)、遺伝子発現の調節など。