骨格筋の筋収縮で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
骨格筋の収縮において、ミオシン頭部がアクチンフィラメントから離れて元の位置に戻り、次の収縮サイクルに備えるためにはATPの加水分解が必要です。ATPがADPとリン酸に加水分解されることで放出されるエネルギーが、ミオシン頭部を高エネルギー状態にし、元の角度(リコック)に戻します。その後、ミオシン頭部はアクチンと結合し、ADPとリン酸が放出されることでパワープロックが起こり、筋収縮が生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋小胞体に蓄えられている主要なイオンはカルシウムイオン(Ca2+)であり、これが筋収縮のトリガーとなります。正しくは:筋小胞体には、主にカルシウムイオン(Ca2+)が蓄えられています。選びやすい理由:細胞内外の電位差形成にナトリウムイオンが重要であるため、筋収縮と関連があると感じやすい。混同注意:細胞外液中の陽イオンや、活動電位におけるNa+の役割と混同しやすい。
- 2. 筋収縮は活動電位によって引き起こされる現象であるため、活動電位の発生が筋収縮に先行します。正しくは:活動電位の発生は、筋収縮が始まるよりも前に起こります。選びやすい理由:筋収縮という目に見える変化が活動電位よりも強く印象に残るため、時間的な前後関係を誤解しやすい。混同注意:刺激と応答の時間差や、興奮収縮連関の全体的な流れと混同しやすい。
- 3. Ca2+が筋小胞体から細胞質ゾルへ放出されることで筋収縮が始まり、Ca2+が筋小胞体に取り込まれる(回収される)ことで筋弛緩が起こります。正しくは:カルシウムイオン(Ca2+)が筋小胞体から放出されると、筋収縮が誘発されます。選びやすい理由:Ca2+が筋収縮に必須であるという知識から、その取り込みも収縮に関与すると誤解しやすい。混同注意:Ca2+の放出と再取り込みの役割を混同しやすい。放出が収縮、取り込みが弛緩である。
- 4. 正解。ミオシン頭部はATPが加水分解されることによって、アクチンとの結合準備状態(高エネルギー状態)となり、これにより元の角度に戻る動き(リコック)が起こります。その後のATP分解産物(ADP+Pi)の放出によってパワープロックが起こり、ADPとPiが離れることでアクチンとの結合が強固になります。正確には、ATPの加水分解はミオシン頭部がアクチンから離れた後、元の角度(高エネルギー状態)に戻るために必要です。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:ATPがミオシン頭部と結合・解離するタイミングや、加水分解の正確な役割を理解していないと迷いやすい。混同注意:ATP結合によるアクチンからの解離と、ATP加水分解によるミオシン頭部の高エネルギー化(リコック)の区別が曖昧になりやすい。
- 5. 神経筋接合部での興奮伝達は、神経終末から筋細胞への一方向性です。アセチルコリンが神経側から放出され、筋細胞側の受容体に結合することで伝達されます。正しくは:神経筋接合部における興奮伝達は、神経から筋への一方向性です。選びやすい理由:一般的な情報伝達において双方向性のものもあるため、これもそうであると誤解しやすい。混同注意:シナプスの伝達が原則一方向性であるという基本原理と、反射弓などの複数経路の伝達を混同しやすい。
国試ポイント
筋収縮のメカニズム、特に興奮収縮連関、滑り説、ATPの役割に関する基本的な知識が問われています。各段階でのイオンやATPの関与、時間的・空間的順序を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
Ca2+の放出と取り込みによる筋収縮と弛緩の区別、ATPの結合と加水分解がミオシン頭部の動きに与える影響の区別が特に混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、ATPの役割(結合、加水分解、解離による影響)、Ca2+の細胞内での動態(放出、ポンプによる回収)、神経伝達物質の機能と作用部位、およびその一方向性について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
アクチンとミオシンの構造、トロポニン・トロポミオシンの役割、活動電位の発生と伝播、アセチルコリンの機能と神経筋接合部の構造、筋小胞体の働き、サカルシウムポンプの役割など。