認知症患者に対して行われるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
選択肢1の音楽療法と選択肢5のリアリティオリエンテーションは、認知症患者に対して広く有効性が認められている非薬物療法です。音楽療法は感情の安定や行動障害の軽減に、リアリティオリエンテーションは見当識の維持・改善に寄与します。一方、選択肢2の内観療法、3の森田療法、4の精神分析療法は、高度な内省や認知能力、記憶力を必要とするため、認知症患者には適用が困難または不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。音楽療法は、認知機能の維持・改善、精神的安定、行動障害の軽減などに有効とされており、認知症患者への非薬物療法として広く用いられています。
- 2. 内観療法は、自己の内面を見つめ、人間関係を深く反省することで自己理解を深める精神療法です。高い認知機能と内省能力を要するため、認知症患者への適用は困難です。正しくは:内観療法は、高い認知機能と内省能力が必要なため、認知症患者への適用は適切ではありません。選びやすい理由:「精神療法」という広いくくりで考えると正しいように見えるかもしれませんが、具体的な内容が認知症患者には適しません。混同注意:他の非薬物療法と混同しやすいですが、その目的と手法が異なります。
- 3. 森田療法は、不安や神経症の治療を目的とし、「あるがまま」を受け入れることを学ぶ精神療法です。自己の症状を客観視し、行動変容を促すため、認知症患者が主体的に取り組むことは非常に困難です。正しくは:森田療法は、自己認識と主体的な取り組みが必要なため、認知症患者への適用は適切ではありません。選びやすい理由:「精神療法」という点で内観療法と同様に間違えやすいですが、対象疾患と認知レベルが異なります。混同注意:他の精神療法や行動療法と混同しやすいですが、その対象疾患と治療概念が異なります。
- 4. 精神分析療法は、無意識の葛藤や過去の経験を探求し、行動や感情の根本原因を理解する精神療法です。高度な言語能力、記憶力、洞察力が必要なため、認知症患者には適用できません。正しくは:精神分析療法は、高度な認知機能と記憶力が必要なため、認知症患者への適用は適切ではありません。選びやすい理由:「精神」という言葉から、精神疾患全般に有効と思われがちですが、特に認知症患者には適しません。混同注意:対話を通じたカウンセリングや支持療法と混同されやすいですが、その理論と適用条件が異なります。
- 5. 正解。リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)は、時間、場所、人物などの基本的な情報を繰り返し提示することで、見当識障害の改善や認知機能の維持を目指すもので、認知症ケアの基本的な非薬物療法の一つです。
国試ポイント
認知症患者に対する具体的な非薬物療法の知識が問われています。特に、認知症の病態と患者の認知機能レベルを考慮し、どの介入が適切であるかを判断する能力が必要です。精神療法の種類とその適用対象を正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
認知症患者に対して行われる「精神的なケア」と、健常者や他の精神疾患患者に対して行われる「精神療法」を混同しやすいです。認知症ケアにおける非薬物療法は、残存機能の活用や症状緩和を目的とすることが多く、高度な内省や分析を求める精神療法とは異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、個別の療法の具体的手法と、それが認知症患者の認知機能や行動特性にどう影響するかを深く理解しているかが問われるでしょう。単なる名称だけでなく、それぞれの療法の目的やプロセス、適応・禁忌を判断できるようになることが重要です。
関連知識
バリデーション療法、回想法、タクティールケア、アニマルセラピーなど、認知症患者に対する他の非薬物療法についても理解しておくことが重要です。また、各精神療法の具体的な目的、対象疾患、適用条件も合わせて学習すると良いでしょう。