肺塞栓症で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肺塞栓症は、多くの場合、下肢の深部静脈に形成された血栓が剥がれて肺動脈に流入し閉塞することで生じます。そのため、下肢の手術後や長期臥床、不動状態などがリスク因子となりますが、上肢の手術後に頻発することは稀です。したがって、下肢よりも上肢の術後に多いという記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 脱水は血液の濃縮を引き起こし、血液凝固能が亢進するため、血栓形成のリスクを高めます。これは肺塞栓症の誘因となります。正しくは:脱水は肺塞栓症の誘因となる。選びやすい理由:一見すると直接的な原因ではないため誤りと考えがちですが、リスク因子として重要です。混同注意:直接的な原因疾患と、間接的なリスク因子との区別。
- 2. 肺塞栓症では、肺血管が閉塞することで換気血流比不均等が生じ、低酸素血症を来します。動脈血酸素分圧(PaO2)の低下が主徴であり、I型呼吸不全(低酸素血症を伴うが、PaCO2は正常または低下)を呈します。正しくは:肺塞栓症ではⅠ型呼吸不全を呈する。選びやすい理由:呼吸不全のタイプについて曖昧な知識だと、誤りとして選びやすいかもしれません。混同注意:I型呼吸不全とII型呼吸不全の違い(PaCO2の上昇の有無)。
- 3. D-ダイマーは線溶系の活性化を示すマーカーであり、体内で血栓が形成され、それが分解される際に上昇します。肺塞栓症では血栓が存在するため、D-ダイマー値は高値を示します。正しくは:D-ダイマーが上昇する。選びやすい理由:D-ダイマーが上昇しないケースを想像して、誤りとして選びやすいかもしれません。混同注意:D-ダイマーが血栓形成の有無を示すマーカーであることの理解不足。
- 4. 正解。肺塞栓症の主な原因となる血栓は、深部静脈血栓症に由来することが多く、特に下肢の深部静脈(大腿静脈、膝窩静脈など)に発生しやすいです。そのため、下肢の手術後の方が、上肢の手術後よりも肺塞栓症の発生リスクが高いとされています。正しくは:上肢の手術後よりも、下肢の手術後の方が肺塞栓症の発生頻度が高い。選びやすい理由:単純に「手術後」という括りで考えてしまい、部位によるリスクの違いを意識しないと見落としやすいです。混同注意:静脈血栓症の発生部位に関する知識。
- 5. 肺塞栓症の90%以上は、下肢の深部静脈にできた血栓が遊離して肺動脈に詰まることで発生します。したがって、深部静脈血栓症と肺塞栓症は密接に関連しており、合併して診断されることが非常に多いです。正しくは:深部静脈血栓症との合併が多い。選びやすい理由:深部静脈血栓症が肺塞栓症の原因であることを理解していても、直接「合併」という表現に疑問を持つかもしれません。混同注意:深部静脈血栓症が肺塞栓症の『原因』であることと、『合併症』であることの区別。
国試ポイント
肺塞栓症のリスク因子、病態生理、診断マーカーに関する基本的な知識が問われています。特に、血栓の発生部位とその後の転帰に関する理解が重要です。各選択肢の正誤を正確に判断するには、疾患の全体像を把握している必要があります。
混同注意
深部静脈血栓症と肺塞栓症の関係性、呼吸不全のタイプ(I型とII型)、D-ダイマーの意義など、関連する複数の知識が混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、肺塞栓症の好発部位、リスク因子、診断基準、治療法、予防策について包括的に確認する。特に、症状と検査所見(D-ダイマー、動脈血ガス分析、画像診断)の関連性を問う問題に注意する。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)の予防策(弾性ストッキング、早期離床、抗凝固療法)、血栓溶解療法、抗凝固療法、下大静脈フィルター。I型呼吸不全とII型呼吸不全の鑑別。D-ダイマーの基準値とその意義。