心臓リハビリテーションにおいて有酸素運動が勧められる理由として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
有酸素運動は、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の血中濃度を上昇させる効果があります。HDLコレステロールは血管壁に蓄積した余分なコレステロールを肝臓へ戻す「逆転送」を促進し、動脈硬化の予防・改善に繋がるため、心臓リハビリテーションにおける重要なメリットの一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 心臓リハビリテーションで実施される有酸素運動は、乳酸が過度に蓄積するような高強度ではなく、むしろ乳酸閾値の向上や乳酸クリアランスの促進により、運動持久力の改善を目指します。乳酸の蓄積自体は運動を推奨する理由にはなりません。正しくは:乳酸閾値の向上選びやすい理由:運動と乳酸が関連しているという一般的な知識から、運動効果として選びやすい。しかし、過度な蓄積は避けるべき状態です。混同注意:激しい運動による乳酸の生成と、心臓リハビリテーションにおける低〜中強度有酸素運動による乳酸代謝改善効果を混同している可能性があります。
- 2. 有酸素運動は脂肪燃焼効果が高く、体重管理に寄与しますが、除脂肪体重(筋肉量など)の顕著な増加を主目的とする運動ではありません。筋肉量の増加には、主にレジスタンストレーニングがより効果的です。正しくは:体脂肪率の減少選びやすい理由:運動が身体を強くするというイメージから、筋肉量が増えることも含まれると誤解しやすい。混同注意:有酸素運動とレジスタンストレーニングの主な生理学的効果を混同している可能性があります。
- 3. 運動中には交感神経活動が一時的に亢進しますが、心臓リハビリテーションにおける有酸素運動の長期的な目標は、安静時の交感神経活動を抑制し、副交感神経活動を優位にすることで、心臓への負担を軽減し、自律神経のバランスを改善することです。正しくは:安静時の交感神経活動の抑制選びやすい理由:運動中に交感神経が活発になるという急性反応の知識から、これが良い効果だと誤解しやすい。混同注意:運動時の急性反応と、定期的な運動トレーニングによる長期的な適応(安静時交感神経活動の抑制)を混同している可能性があります。
- 4. 正解。有酸素運動は、善玉コレステロールとして知られるHDLコレステロールの血中濃度を上昇させる効果があります。HDLコレステロールは血管壁からコレステロールを引き抜き、動脈硬化の予防や改善に寄与するため、心臓リハビリテーションの重要な目的の一つです。
- 5. 運動によってカテコラミンは分泌されますが、心臓リハビリテーションで推奨される有酸素運動は、心臓への過度な負担を避け、過剰なカテコラミン分泌を伴わない中等度以下の強度で行われます。安静時のカテコラミン値の改善や、カテコラミンに対する心血管系の反応性改善が目的であり、著しい増加は推奨理由になりません。正しくは:カテコラミンに対する心血管系の反応性改善選びやすい理由:運動とホルモンの分泌が関連するという知識から、良い効果だと誤解しやすい。混同注意:運動時の生理的反応と、心臓リハビリテーションにおける運動療法の長期的な目標、および心臓疾患患者におけるカテコラミン過剰分泌のリスクを混同している可能性があります。
国試ポイント
心臓リハビリテーションにおける有酸素運動の生理学的効果と、それが心血管系に与えるプラスの影響について理解しているかが問われます。特に、脂質代謝改善効果は重要論点です。
混同注意
運動による急性反応(例:運動中の交感神経活動亢進、カテコラミンの増加)と、継続的な運動トレーニングによる長期的な適応・改善効果(例:安静時交感神経活動の抑制、HDLコレステロール増加)が混同されやすい点に注意が必要です。また、有酸素運動とレジスタンストレーニングの主な効果の違いも混同源となり得ます。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が問われる場合は、有酸素運動の他の効果(例:血圧低下、血糖コントロール改善、血管内皮機能改善、精神的安定)や、レジスタンストレーニングの役割、運動の禁忌・中止基準、運動負荷試験の解釈など、心臓リハビリテーション全体の知識が問われる可能性があります。特に、自律神経バランス(交感神経と副交感神経)の改善はよく出る論点です。
関連知識
心臓リハビリテーションの運動処方の原則(FITT-VP原則)、運動の種類とその生理学的効果(有酸素運動、レジスタンストレーニング、柔軟運動)、脂質異常症の病態と治療、自律神経系の機能と心臓疾患との関連、高血圧、糖尿病、肥満など生活習慣病と運動療法の関係。