肩関節の関節可動域が屈曲100°、伸展10°、外転60°、外旋5°、内旋45°の肩関節周囲炎患者で障害されやすい動作はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
肩関節周囲炎では、特に外転・外旋・屈曲が制限されやすく、これらの複合動作を要する結髪動作は困難になります。提示された可動域で、外旋が5°と極めて小さく、この制限が結髪動作に直接影響するため、正答となります。結髪動作は肩関節の複合的な動き、特に外転・外旋・屈曲の協調が求められるため、外旋の高度な制限が決定的な障害因子となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 洗顔動作は主に肩関節の屈曲と内旋が関与しますが、これらの可動域が比較的保たれているため、最も困難になる動作とは言えません。屈曲100°、内旋45°であれば、顔に手は届きやすいです。正しくは:この可動域で特に困難になるのは、より大きな外転・外旋を必要とする動作です。選びやすい理由:上肢を使う動作全般が制限されると考えるかもしれませんが、可動域の程度によっては問題ない動作もあります。混同注意:他の肩関節周囲炎の症状(疼痛など)と混同して、すべての動作が困難だと誤解することがあります。
- 2. 正解。結髪動作(特に後頭部で髪を結ぶ場合)は、肩関節の顕著な外転、屈曲、そして特に外旋の組み合わせが必要です。この患者さんは外旋が5°と極めて制限されており、後頭部に手を回すことが非常に困難であるため、この動作が最も障害されやすいと考えられます。選びやすい理由:この動作が外旋の大きな制限と直結していることを理解していれば、正答を選びやすいです。
- 3. 靴下の着脱は主に股関節や体幹の屈曲、膝関節の屈曲が関わり、肩関節の大きな可動域は通常必要ありません。肩関節周囲炎であっても、この動作は比較的影響を受けにくいです。正しくは:靴下の着脱は主に下肢や体幹の動作であり、肩関節の機能制限とは直接結びつきにくいです。選びやすい理由:上肢で足に触れる動作を想像し、肩関節の屈曲や内転が関与すると考えるかもしれませんが、主要な可動域は肩ではありません。混同注意:患者さんが高齢である場合、全般的な身体機能低下と混同して選んでしまうかもしれません。
- 4. 手の爪切りであれば肩関節の大きな可動域は不要です。足の爪切りであれば、体幹や股関節の可動域が主に関与し、肩関節の制限は直接的な障害にはなりにくいです。屈曲100°、内旋45°であれば、自身で手の爪を切ることは可能です。正しくは:爪切り動作は、肩関節の可動域制限よりも、手先の協調性や視力、あるいは体幹・股関節の可動域が影響することが多いです。選びやすい理由:身体の一部に触れる動作であるため、制限があるように思えるかもしれません。混同注意:手の巧緻性や他の部位の機能制限と混同しやすいです。
- 5. 歯磨き動作は肩関節の軽度な屈曲や外転、内旋で十分行えます。与えられた可動域(屈曲100°、外転60°、内旋45°)であれば、この動作は比較的容易に実施できるため、最も障害されやすい動作とは言えません。正しくは:歯磨き動作に必要な肩関節の可動域は、提示された制限範囲内で行えるレベルです。選びやすい理由:上肢を使う日常動作全般に制限があるという印象から、選びがちです。混同注意:食事動作や整容動作全般と混同し、一括りに困難と判断してしまうことがあります。
国試ポイント
肩関節の各基本運動(屈曲、伸展、外転、内転、内旋、外旋)の可動域と、それらが日常生活動作(ADL)のどの動作に直結するかを正確に理解しているかを問う問題です。特に、複合的な動作に必要な複数の可動域制限がどのようにADLに影響するかを判断する能力が重要視されます。
混同注意
肩関節周囲炎で一般的に障害されるADL全般と混同しがちですが、与えられた具体的な可動域制限に基づいて最も困難な動作を特定する必要があります。疼痛の有無や程度ではなく、あくまで可動域の数値に注目することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず各選択肢の動作が主にどの関節のどのような動き(特に複合的な動き)を必要とするかを詳細に分解し、与えられた可動域の数値と照らし合わせて最も制限の大きいものを判断します。特に、内旋・外旋、挙上といった複合的な可動域を要する動作に注目すると良いでしょう。
関連知識
・肩関節の基本可動域の正常値 ・各ADL(整容、更衣、食事など)に必要とされる関節の動きと可動域 ・肩関節周囲炎の典型的な症状と病態生理