Froment徴候が陽性のとき、麻痺を疑うべき神経はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Froment徴候は、母指内転筋の筋力低下を評価する検査で、この筋肉は尺骨神経に支配されています。検査では、患者に紙を両手の母指と示指で挟んでもらい、検者が紙を引っ張った際に、母指のIP関節が屈曲する(母指屈筋が代償する)場合に陽性と判断されます。これは尺骨神経麻痺により母指内転筋の機能が低下していることを示唆します。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩甲背神経の損傷は、主に菱形筋の麻痺による肩甲骨の挙上・内転機能の低下を引き起こし、Froment徴候とは直接関連しません。正しくは:肩甲背神経麻痺は、菱形筋の機能不全やそれに伴う肩甲骨の異常運動に関連します。選びやすい理由:他の上肢神経であるため、鑑別に迷う可能性があります。混同注意:他の腕神経叢由来の神経との鑑別を要します。
- 2. 正解。Froment徴候は、母指内転筋の筋力低下を代償するために、母指IP関節を屈曲させる現象です。母指内転筋は尺骨神経に支配されており、尺骨神経麻痺でこの徴候が陽性となります。選びやすい理由:尺骨神経麻痺の代表的な徴候であるため、知識があれば選択しやすいです。混同注意:他の手の内在筋を支配する正中神経との鑑別が重要です。
- 3. 正中神経麻痺では、主に母指対立筋の機能低下により母指と小指の対立運動が障害されます(猿手)。Froment徴候とは異なります。正しくは:正中神経麻痺は、母指の対立運動障害や、橈側指の感覚障害などが特徴です。選びやすい理由:手の内在筋を支配する神経であるため、鑑別に迷う可能性があります。混同注意:尺骨神経麻痺と正中神経麻痺による手の変形や徴候は混同されやすいです。
- 4. 長胸神経の損傷は、前鋸筋の麻痺により肩甲骨の翼状を呈し(翼状肩甲)、Froment徴候とは無関係です。正しくは:長胸神経麻痺は、前鋸筋の機能不全による肩甲骨の翼状突出に関連します。選びやすい理由:他の上肢神経であるため、鑑別に迷う可能性があります。混同注意:他の腕神経叢由来の神経との鑑別を要します。
- 5. 橈骨神経麻痺は、手関節や手指の伸展筋群の麻痺を引き起こし、下垂手(drop hand)が特徴的です。Froment徴候とは直接関連しません。正しくは:橈骨神経麻痺は、手関節や手指の伸展機能の障害が特徴です。選びやすい理由:上肢の主要な神経であるため、鑑別に迷う可能性があります。混同注意:手根管症候群などの手関節周囲の神経障害と混同されることがあります。
国試ポイント
神経損傷とそれによって引き起こされる特徴的な徴候や機能障害の組み合わせを問う問題です。各神経が支配する筋肉と、その機能障害による代償運動や姿勢の変化を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
尺骨神経麻痺と正中神経麻痺による手の変形や特定の徴候(例:猿手、下垂手、鷲手)は混同しやすいです。また、Froment徴候とDuchenne徴候(これも尺骨神経麻痺で陽性となる)との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、他の代表的な神経障害の徴候(例:猿手、下垂手、鷲手、翼状肩甲)と、それらを呈する原因神経との組み合わせを問われる可能性が高いです。また、検査の具体的な方法や陽性所見の意味も理解しておく必要があります。
関連知識
各上肢の末梢神経(尺骨神経、正中神経、橈骨神経など)の支配筋、感覚支配領域、そして損傷時に見られる代表的な徴候や手の変形を包括的に理解しておく必要があります。Froment徴候のほかにも、Duchenne徴候、Wartenberg徴候、Tinel徴候、Phalen徴候なども合わせて学習することが推奨されます。