松葉杖の一般的な設定で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
松葉杖のグリップの高さは、立位で肘を軽く曲げた際に、手首のライン(橈骨茎状突起あたり)または股関節の大転子の高さに合わせるのが適切とされています。これにより、体重を支持しやすく、安定した歩行が可能になります。選択肢2の「大転子とする」は、この基準に合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肘関節が伸展位では、体重を支える際に不自然な姿勢になり、安定性が低下します。また、腋窩への圧迫が強まる可能性があります。正しくは:肘関節を約20〜30度屈曲させた状態でグリップを握るのが適切です。これにより、上肢に体重を分散させやすくなり、安定性が向上します。選びやすい理由:一見すると安定しそうに思えるかもしれませんが、関節への負担や実用性を考えると不適切です。混同注意:松葉杖の調整において、どの関節角度が適切かを混同しやすいです。
- 2. 正解。大転子の高さにグリップを合わせることで、肘関節が軽度屈曲位(約20〜30度)となり、効率的に体重を支持しやすくなります。これは松葉杖の適切な調整における一般的な基準です。選びやすい理由:特定の解剖学的指標と高さが結びついているため、覚えやすい選択肢です。混同注意:松葉杖のグリップ高さの基準となる解剖学的部位(大転子、手関節など)を混同する可能性があります。
- 3. 脇当てを腋窩に密着させると、腋窩部を通る神経(晄神経など)や血管を圧迫し、「松葉杖麻痺」を引き起こす危険性があります。脇当ては主にバランス補助であり、体重支持はグリップで行うべきです。正しくは:脇当てと腋窩の間には、指2〜3本分程度の隙間を空けるのが適切です。体重は主に手で支え、脇当ては補助的な役割とします。選びやすい理由:安定性を高めるために密着させた方が良いと感じるかもしれませんが、身体への影響を考慮すると不適切です。混同注意:松葉杖の脇当てが体重支持の主要部分であると誤解しやすいです。
- 4. 松葉杖の全長を身長から50cm引くという具体的な数値基準は一般的ではありません。個人差や調整方法によって適切な長さは異なります。正しくは:一般的には、松葉杖を脇の下から約2〜3横指下の位置に合わせ、グリップの高さで肘の屈曲角度を調整します。身長からの概算では、身長の約2/3の長さや、脇の下から床までの長さに約5cm加えるなどの方法がありますが、最も正確なのは実際に当てて調整することです。選びやすい理由:具体的な数値があると正解のように感じやすいですが、この数値は誤りです。混同注意:松葉杖の長さ調整における具体的な数値基準を混同しやすいです。
- 5. 杖の先端が前方5cmでは支持基底面が狭くなり、安定性が不十分になる可能性があります。歩行時の安定性を確保するためには、より広い位置に杖を置く必要があります。正しくは:杖先は、つま先から前方約15cm、外側約15cmの位置に置くのが一般的です。これにより支持基底面が広がり、安定性が向上します。選びやすい理由:具体的な数値があると正解のように感じやすいですが、この数値は歩行時の安定性を確保するには不十分です。混同注意:松葉杖の杖先の配置位置に関する具体的な数値と、それがもたらす安定性の関係を混同しやすいです。
国試ポイント
松葉杖の適切な調整方法、特に脇当て、グリップ、杖先の位置に関する知識が問われています。身体への負担を軽減し、安全に松葉杖を使用するための基本事項が理解できているかが重要です。具体的な数値や解剖学的指標と関連付けて問われることが多いです。
混同注意
松葉杖の各部の調整基準(脇当ての隙間、グリップの高さ、肘関節の屈曲角度、杖先の位置)について、具体的な数値や解剖学的指標を混同しやすいです。特に、脇当てで体重を支えるという誤解や、麻痺のリスクを理解していないと誤答につながりやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出た場合、各歩行補助具の調整方法と適応、禁忌、および起こりうる合併症(例:松葉杖麻痺)について、より詳細な知識が問われる可能性があります。特に、患者の状態に応じた選択と調整の根拠を理解しているかが重要になるでしょう。
関連知識
松葉杖のタイプ(腋窩型、前腕型)、歩行パターン(2点歩行、3点歩行、4点歩行、振り子歩行など)、およびそれぞれの適応疾患や注意点。松葉杖麻痺の原因と予防策。他の歩行補助具(T字杖、四点杖、歩行器など)の適応と使用法。