創傷治癒を遅延させるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
副腎皮質ステロイドは、炎症を抑制する強力な作用があるため、創傷治癒過程で不可欠な炎症反応や細胞増殖、コラーゲン合成などを阻害し、結果として治癒を遅らせます。その他の選択肢はすべて創傷治癒を促進する、あるいは必須の要素です。
選択肢ごとの解説
- 1. 亜鉛はコラーゲン合成や細胞増殖に必須のミネラルであり、創傷治癒を促進します。正しくは:亜鉛は創傷治癒を促進する栄養素です。選びやすい理由:栄養素と聞くと、すべてが治癒を促進すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の微量元素(銅、鉄など)と混同して、その役割を正確に把握していない場合があります。
- 2. アミノ酸、特にアルギニンやグルタミンなどはタンパク質合成の材料となり、肉芽形成やコラーゲン合成に不可欠で、創傷治癒を促進します。正しくは:アミノ酸は創傷治癒を促進する栄養素です。選びやすい理由:一般的な栄養素の摂取が必ずしも創傷治癒に直接的ではないと考えるかもしれません。混同注意:特定の疾患状態でのアミノ酸代謝異常と、健康な状態での役割を混同する可能性があります。
- 3. 酸素はコラーゲン合成、線維芽細胞の活動、抗菌作用など、創傷治癒の各段階で重要な役割を果たします。特に、血管新生には不可欠です。正しくは:酸素は創傷治癒に必須の要素です。選びやすい理由:過剰な酸素がフリーラジカルを発生させるなどの知識と混同し、マイナス要因と誤解するかもしれません。混同注意:高気圧酸素療法などの特殊な治療法と、通常の生理的役割を混同する可能性があります。
- 4. ビタミンCはコラーゲン合成における水酸化反応の補酵素であり、肉芽組織の形成や血管の完全性に極めて重要で、創傷治癒を促進します。正しくは:ビタミンCは創傷治癒を促進する栄養素です。選びやすい理由:ビタミンCの不足が壊血病の原因となることは知っていても、創傷治癒との直接的な関連性を軽視するかもしれません。混同注意:他のビタミン(例:ビタミンKが凝固因子に関与)と役割を混同することがあります。
- 5. 正解。副腎皮質ステロイドは抗炎症作用を持ちますが、これは創傷治癒過程で重要な炎症反応を抑制し、線維芽細胞の増殖、コラーゲン合成、血管新生などを阻害するため、治癒を遅延させます。正しくは:副腎皮質ステロイドは、その強力な抗炎症作用により創傷治癒を抑制・遅延させる薬剤です。選びやすい理由:炎症を抑える作用から、治癒に良い影響があると誤解する可能性があります。混同注意:ステロイドの抗炎症作用と、感染症抑制や組織修復促進といった他の作用を混同することがあります。また、短期間の使用と長期の使用で影響が異なる可能性も考えがちです。
国試ポイント
創傷治癒を促進・阻害する因子に関する知識は、国家試験で頻繁に問われる基本的な内容です。特に、炎症反応の役割や、栄養素・薬剤の影響を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
抗炎症作用が必ずしも創傷治癒に有利とは限らないという点を混同しやすいです。炎症反応は、治癒の初期段階においては必要なプロセスであり、それを過度に抑制することは治癒の遅延につながります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、今回は『遅延させる因子』でしたが、次回は『促進する因子』を問う問題や、特定の栄養素や基礎疾患が治癒に与える影響について具体的に問われる可能性があります。
関連知識
創傷治癒の4つの段階(止血・炎症期、増殖期、リモデリング期)、各期における主要な細胞(血小板、好中球、マクロファージ、線維芽細胞など)とサイトカインの役割、栄養状態(低栄養、糖尿病など)が創傷治癒に与える影響、感染症の影響、年齢の影響。