腱板損傷の検査で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ドロップアームテストは、腱板、特に棘上筋の機能不全や損傷を評価するための代表的な特殊テストです。検査者が患者の腕を他動的に外転位に保持させた後、患者自身にその位置からゆっくりと腕を下ろさせる際に、腕を保持できずに急激に落下する場合に陽性と判断され、腱板の機能低下を示唆します。他の選択肢は、それぞれ坐骨神経痛、頸椎神経根症、上腕骨外側上顆炎といった異なる疾患の評価に用いられる検査です。
選択肢ごとの解説
- 1. このテストは、坐骨神経痛や梨状筋症候群の有無を評価するために用いられる特殊テストです。患者が椅子に座った姿勢で、膝を伸展させながら体幹を前屈させた際に、坐骨神経領域に疼痛が増悪するかを確認します。正しくは:チェアテストは腱板損傷の検査ではありません。坐骨神経痛や梨状筋症候群の評価に用いられます。選びやすい理由:「テスト」という名称であり、身体のどこかの問題を評価する検査である点は共通しますが、対象部位と病態が全く異なります。椅子に座るという日常的な動作に関連するため、一見すると機能評価のように思えるかもしれませんが、特定の病態に特化した検査です。混同注意:他の股関節や腰部の疾患を評価するテスト(例:パトリックテスト、ラセーグテストなど)と混同しやすい可能性があります。
- 2. このテストは、頸椎神経根症を評価するための検査です。患者の頭部を伸展・側屈させた状態で上方から圧迫することで、上肢への放散痛が誘発されるかを確認します。正しくは:ジャクソンテストは腱板損傷の検査ではありません。頸椎神経根症の評価に用いられます。選びやすい理由:上肢に症状を引き起こすテストであるため、肩関節周囲の神経症状や放散痛と関連付けて、腱板損傷との関連を誤解するかもしれません。混同注意:スパーリングテストも同様に頸椎神経根症を評価するテストであり、両者が混同されやすいです。
- 3. このテストもジャクソンテストと同様に、頸椎神経根症を評価するための検査です。患者の頸部を側屈・伸展させ、さらに頭部を圧迫することで、上肢への放散痛が誘発されるかを確認します。正しくは:スパーリングテストは腱板損傷の検査ではありません。頸椎神経根症の評価に用いられます。選びやすい理由:上肢の症状を評価するテストであるため、肩関節周囲炎や腱板損傷の検査と誤解する可能性があります。特に、肩関節と頸椎の関連痛が鑑別診断で重要となるため、関連性を誤って結びつけてしまうかもしれません。混同注意:ジャクソンテストと目的が類似しており、両者が混同されやすいです。また、肩関節に関連する特殊テストと間違われることもあります。
- 4. このテストは、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)を評価するための検査です。患者に手関節を抵抗下に伸展させるよう指示し、その際に外側上顆部に疼痛が誘発されるかを確認します。正しくは:トムゼンテストは腱板損傷の検査ではありません。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の評価に用いられます。選びやすい理由:上肢の筋肉や腱の問題を評価するテストであり、肘関節周囲の痛みに関連するため、肩関節の痛みと誤って関連付けてしまう可能性があります。また、腱炎という共通点から混同することもあります。混同注意:上腕骨内側上顆炎(ゴルファー肘)を評価するコゼンテストなど、他の肘関節周囲の特殊テストと混同しやすいです。
- 5. 正解。ドロップアームテストは、腱板、特に棘上筋の損傷を評価するための代表的な検査です。患者の腕を他動的に90度以上外転位に保持させ、そこからゆっくりと腕を下ろすように指示します。腱板に損傷がある場合、腕が途中でガクッと落ちたり、疼痛のために保持できなかったりすることで陽性と判断されます。
国試ポイント
理学療法士国家試験では、特定の疾患や病態に対する適切な理学療法評価法(特殊テスト)の知識が頻繁に問われます。各テストの陽性所見が示唆する疾患や、鑑別すべき類似疾患の検査についても正確に理解しておく必要があります。特に、部位が近い関節(例:肩関節と頸椎、肩関節と肘関節)の疾患を鑑別するためのテストは、混同しやすいため注意が必要です。
混同注意
ドロップアームテストと似た腱板損傷の評価に用いられる特殊テストとして、リフトオフテスト(肩甲下筋)、ベアハッグテスト(肩甲下筋)、ホーキンス・ケネディテスト(棘上筋インピンジメント)、ニアーズテスト(棘上筋インピンジメント)、スピードテスト(上腕二頭筋長頭腱炎)などがあります。これらはすべて肩関節周囲の障害を評価するテストであり、それぞれのターゲットとなる筋肉や病態の違いを理解していないと混同しやすいです。また、テスト名がカタカナ表記であるため、響きの似た他のテストと間違える可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、腱板損傷の他の特殊テスト(例えば、棘下筋の筋力評価である外旋抵抗テスト、肩甲下筋の筋力評価であるリフトオフテストやベアハッグテストなど)の陽性所見とその意味が問われる可能性があります。また、腱板損傷の重症度や病期、または腱板損傷と鑑別すべき他の肩関節疾患(例:凍結肩、インピンジメント症候群、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰性腱炎など)を判断するための追加情報や検査が問われることも考えられます。
関連知識
腱板は肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つの筋肉から構成され、肩関節の安定性維持と運動に重要な役割を果たします。腱板損傷は、外傷、加齢による変性、繰り返しのストレス(オーバーユース)などが原因で生じ、肩関節の疼痛、可動域制限、筋力低下などを引き起こします。腱板損傷の評価には、理学所見(視診、触診、自動・他動運動検査、筋力検査)、特殊テストのほか、X線、MRI、超音波などの画像診断も用いられます。理学療法では、保存療法として疼痛管理、関節可動域改善、筋力強化、動作指導などが行われます。