脊髄小脳変性症の運動失調を評価するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
SARA (Scale for the Assessment and Rating of Ataxia) は、脊髄小脳変性症をはじめとする運動失調症の症状の程度を客観的に評価するために開発された国際的に標準的な尺度です。歩行、姿勢、構音、上下肢の協調運動など、運動失調に特化した項目で構成されています。
選択肢ごとの解説
- 1. BADSは、遂行機能障害(計画性、問題解決能力、行動制御など)を評価するための尺度です。運動失調とは直接関連しません。正しくは:遂行機能障害を評価する目的で使用されます。選びやすい理由:神経疾患患者全般で認知機能評価の必要性があるため、選択肢として見慣れていると選んでしまうかもしれません。混同注意:認知機能評価尺度と運動機能評価尺度を混同する可能性があります。
- 2. EDSSは、主に多発性硬化症患者の身体的障害の程度を評価するために用いられる尺度です。運動失調に特化したものではありません。正しくは:多発性硬化症の障害度を評価する目的で使用されます。選びやすい理由:EDSSも神経疾患の障害度評価によく用いられるため、なんとなく正しいと感じるかもしれません。混同注意:特定の神経疾患の包括的な障害度評価と、運動失調に特化した評価を混同する可能性があります。
- 3. QMG scoreは、重症筋無力症の病態活動性や重症度を評価するために開発された尺度です。脊髄小脳変性症の運動失調とは関連がありません。正しくは:重症筋無力症の重症度を評価する目的で使用されます。選びやすい理由:筋力低下や運動障害を評価する他のスケールと混同する可能性があります。混同注意:筋無力症の評価と小脳性運動失調の評価を混同する可能性があります。
- 4. 正解。SARA (Scale for the Assessment and Rating of Ataxia) は、特に脊髄小脳変性症などの運動失調症患者の運動失調の重症度を客観的に評価するために広く用いられている信頼性の高い尺度です。姿勢、歩行、発話、四肢の協調性などを評価項目とします。
- 5. UPDRSは、パーキンソン病の症状の重症度(運動症状、非運動症状、日常生活動作など)を評価するために用いられる尺度です。脊髄小脳変性症の運動失調の評価には適しません。正しくは:パーキンソン病の重症度を評価する目的で使用されます。選びやすい理由:UPDRSも主要な神経変性疾患であるパーキンソン病の評価尺度として非常に有名であるため、知識の曖昧さから選んでしまうかもしれません。混同注意:パーキンソン病の運動症状(振戦、固縮、無動、姿勢反射障害など)と小脳性運動失調(協調運動障害、バランス障害など)を混同する可能性があります。
国試ポイント
脊髄小脳変性症やパーキンソン病などの神経変性疾患において、特定の症状や全体的な障害度を評価するのに用いられる代表的な評価スケールの名称と、その適用疾患・評価対象を正確に理解しているかが問われます。特に、特徴的な症状(この場合は運動失調)に特化した評価法を知っているかが重要です。
混同注意
各疾患の代表的な評価尺度(例:多発性硬化症のEDSS、パーキンソン病のUPDRS、重症筋無力症のQMGスコア、認知症のMMSE/HDS-Rなど)とその目的。神経疾患全般のADL評価尺度やQOL評価尺度とも混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回類似問題が出題された場合、選択肢に挙げられた各評価尺度について、「どの疾患の」「何を」「どのように」評価するのかを詳細に確認する。特に、症状に特化した評価と、疾患全体の重症度やADL障害を評価する尺度を区別できるようにする。
関連知識
脊髄小脳変性症の病態生理、主な症状(運動失調、構音障害、眼球運動障害など)。運動失調の種類(小脳性失調、感覚性失調など)とその特徴。他の運動失調評価尺度(ICARSなど)。各評価尺度の具体的な項目内容。