骨格筋の筋収縮において筋小胞体から放出されたCa2+が結合するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
骨格筋の収縮では、神経からの刺激により筋小胞体からCa2+が放出されます。このCa2+は、アクチンフィラメントに付着するトロポニン複合体の一部であるトロポニンCに結合します。Ca2+結合によりトロポニンCの構造が変化し、その変化がトロポニンIとトロポニンTを介してトロポミオシンに伝わります。これによりトロポミオシンがアクチンフィラメント上のミオシン結合部位から移動し、ミオシン頭部がアクチンに結合できるようになることで、筋収縮が開始されます。
選択肢ごとの解説
- 1. アクチン自体はCa2+とは直接結合せず、ミオシン頭部が結合するフィラメント構造を形成します。正しくは:アクチンはミオシンと結合して筋収縮を直接行いますが、Ca2+はアクチン結合部位を調節するタンパク質に結合します。選びやすい理由:筋収縮の主役であるため、Ca2+と直接関連すると誤解されやすいです。混同注意:トロポニンがCa2+と結合することで、トロポミオシンが動き、アクチン上のミオシン結合部位が露出します。
- 2. ミオシンはATPを加水分解し、アクチンと結合・解離を繰り返して筋収縮を引き起こしますが、Ca2+の直接の結合部位ではありません。正しくは:ミオシンはアクチンに結合して運動しますが、Ca2+が直接結合するのはトロポニンです。選びやすい理由:筋収縮のもう一方の主役であり、ATPの利用に関わるため、Ca2+とも密接に関係すると考えられがちです。混同注意:ミオシン軽鎖の中にはCa2+結合能を持つものもありますが、骨格筋収縮の主要なCa2+受容体はトロポニンです。
- 3. 正解。骨格筋の収縮において、筋小胞体から放出されたCa2+はトロポニン複合体内のトロポニンCに結合します。これによりトロポニン複合体の構造が変化し、トロポミオシンがアクチンのミオシン結合部位から移動することで、ミオシンとアクチンの結合が可能になり筋収縮が開始されます。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:Ca2+と直接結合し、筋収縮の引き金となるため、最も適切な選択肢です。混同注意:トロポミオシンと混同しやすいですが、Ca2+が直接結合するのはトロポニンです。
- 4. ミオグロビンは筋細胞内で酸素を貯蔵するヘムタンパク質であり、筋収縮におけるCa2+の直接的な調節機能はありません。正しくは:ミオグロビンは酸素の貯蔵に関与します。選びやすい理由:「ミオ」という接頭辞から筋収縮に関係するタンパク質であることは確かですが、Ca2+との直接的な結合は誤りです。混同注意:ヘモグロビン(血液中の酸素運搬)や、筋収縮に関わる他のタンパク質(ミオシンなど)と混同することがあります。
- 5. トロポミオシンはアクチンフィラメント上に位置し、安静時にはミオシンのアクチン結合部位を覆うことで筋収縮を阻害します。Ca2+がトロポニンに結合することでトロポミオシンの位置が変化しますが、トロポミオシン自体がCa2+と結合するわけではありません。正しくは:トロポミオシンはトロポニン複合体の構造変化によって動かされますが、Ca2+が直接結合するのはトロポニンです。選びやすい理由:トロポニンと密接に関連しており、筋収縮の調節に関わるため、Ca2+と直接結合すると誤解されやすいです。混同注意:Ca2+と結合するトロポニンと、Ca2+結合後に動かされるトロポミオシンを混同しやすいです。
国試ポイント
骨格筋の興奮収縮連関におけるCa2+の役割と、その標的タンパク質を正確に理解しているかを問う基本的な問題です。特に、Ca2+が直接結合するタンパク質と、それによって間接的に作用が変化するタンパク質の違いを明確に区別できるかが重要です。
混同注意
トロポニンとトロポミオシン、アクチンとミオシンの役割やCa2+との直接的な関係を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、平滑筋や心筋におけるCa2+結合タンパク質(例:カルモジュリン)や、それらが関わる収縮調節機構の違いについても問われる可能性があります。
関連知識
骨格筋の興奮収縮連関、滑り説、ATPの役割、筋小胞体の機能、横行小管(T細管)の役割、他の筋組織(平滑筋、心筋)におけるCa2+調節メカニズムとの違い。