8歳の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺。背臥位姿勢と引き起こし時に図のように対応する。この児の車椅子の設定として適切なのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
痙直型四肢麻痺の児は、体幹の支持性が低く、異常な姿勢反射や不随意運動により座位保持が困難です。胸部と骨盤部をベルトで適切に固定することにより、体幹の安定性を確保し、不良姿勢への移行や姿勢の崩れを防ぐことができます。これは、児が活動しやすく、安定した姿勢で過ごすために不可欠な設定です。
選択肢ごとの解説
- 1. 痙直型四肢麻痺の場合、股関節の屈曲や骨盤後傾を防ぎ、適切な姿勢を保持するためには、座面を後方に傾斜させるか、傾斜をつけたクッションを使用することが推奨されます。平行な座面では骨盤の安定性が得られにくいです。正しくは:座面を後傾させるか、骨盤を安定させるための傾斜を設ける。選びやすい理由:一般的な椅子では座面が平行なため、迷うかもしれませんが、脳性麻痺児の姿勢保持には工夫が必要です。混同注意:健常児の椅子や、一般的な成人用車椅子の座面設定と混同しやすい。
- 2. 痙直型四肢麻痺児の場合、骨盤の安定性や股関節の外転・内転のコントロールが難しいため、平面形状の座面では姿勢の崩れや褥瘡のリスクが高まります。体幹の安定性を高めるためには、大腿部や骨盤を適切にサポートする立体的な形状のクッションや座面が必要です。正しくは:座面は立体的な形状のクッションや、大腿部・骨盤をサポートする形状のものを用いる。選びやすい理由:シンプルで汎用的な形状に感じられるかもしれませんが、支持性が不足します。混同注意:汎用の座布団や一般的な椅子のクッションと混同しやすい。
- 3. 正解。痙直型四肢麻痺児は体幹の安定性が低く、不随意運動や異常な姿勢パターンが出現しやすいため、胸部と骨盤部をベルトで適切に固定することで、体幹の安定性を確保し、不良姿勢への移行を防ぎます。これにより、視線や手の操作が安定し、呼吸機能や摂食機能の改善にもつながります。正しくは:選択肢の記述通りで正しい。選びやすい理由:固定しすぎると感じるかもしれませんが、適切な支持は機能改善に不可欠です。混同注意:過度な抑制と誤解する可能性がある。
- 4. 痙直型四肢麻痺児の場合、頭部の安定性も重要です。肩までの高さでは頭部の支持が得られず、特に不随意運動や頸部の筋緊張異常がある場合、頭部のコントロールが不安定になりやすいです。適切な頭部支持のために、背もたれは頭部を支える高さまで必要です。正しくは:背もたれの高さは頭部までとするか、ヘッドサポートを併用する。選びやすい理由:一般的な車椅子や椅子の背もたれが肩までのものが多いため、そうすべきだと感じるかもしれません。混同注意:一般的な車椅子の背もたれの高さと混同しやすい。
- 5. 痙直型四肢麻痺児は筋緊張が高く、抗重力伸展活動が困難な場合が多いため、背もたれを垂直にすると体幹の安定が難しく、仙骨座りや脊柱の変形を招きやすくなります。やや後傾させることで、重力の影響を軽減し、体幹を安定させやすくなります。正しくは:背もたれの角度は、体幹の安定性を確保するために、やや後傾させる。選びやすい理由:垂直な姿勢が良い姿勢だと考えるかもしれませんが、重度麻痺の児には適しません。混同注意:良い姿勢=垂直という思い込みと混同しやすい。
国試ポイント
脳性麻痺児、特に痙直型四肢麻痺における車椅子やシーティングの適応と、その目的を問う問題です。基本的な姿勢保持の原則と、障害特性に応じた工夫を理解しているかが試されます。単に固定するだけでなく、機能的な座位を促すための支持具の役割が重要です。
混同注意
一般的な車椅子や椅子の知識と、障害児に特化した車椅子の設定が混同されやすい。特に、『固定』という言葉に対して過度な抑制と捉えがちですが、適切な固定は機能改善と活動性を高めるための支持であることを理解しているかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、図や写真から異常姿勢を判断させ、その姿勢に対してどのシーティング調整が最も効果的か、または避けるべきかを選択させる問題や、特定の装具(例:座位保持装置)の構成要素とその目的を問う問題が出る可能性があります。
関連知識
脳性麻痺のタイプ別特徴(特に痙直型)、異常姿勢反射、シーティングの基本原則(骨盤の安定、体幹の支持、頭部支持、下肢の配置など)、褥瘡予防、嚥下機能と姿勢の関係、呼吸機能と姿勢の関係。