2型糖尿病患者における運動療法の効果で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
運動療法は、骨格筋でのブドウ糖取り込みを促進し、インスリン受容体の感受性を高めることで、インスリン抵抗性を改善します。したがって、『インスリン抵抗性の増大』は運動療法の効果とは真逆であり、誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。運動療法は、細胞のインスリン感受性を向上させ、インスリン抵抗性を軽減する効果があります。インスリン抵抗性が増大するのは誤りです。正しくは:インスリン抵抗性が低下する、またはインスリン感受性が向上する選びやすい理由:運動により一時的に血糖値が上昇することがあるため、抵抗性が増すように感じるかもしれませんが、長期的な効果とは異なります。混同注意:血糖値の『上昇』と、インスリンの効きにくさである『インスリン抵抗性』の増大を混同する可能性があります。
- 2. 運動療法は、全身の血管機能を改善し、交感神経活動を抑制することで、高血圧の改善に寄与します。そのため、血圧低下は運動療法の主要な効果の一つです。選びやすい理由:運動直後は血圧が一時的に上昇することもあるため、これを混同する可能性があります。混同注意:運動直後の急性効果と、継続的な運動による慢性的な効果を混同する可能性があります。
- 3. 運動により、筋肉が糖を消費し、インスリン感受性が向上するため、血糖値のコントロールが改善します。これはII型糖尿病患者に対する運動療法の主要な目的であり効果です。選びやすい理由:血糖値の急激な変化に不安を感じるかもしれませんが、全体的なコントロールは改善します。混同注意:運動中の血糖変動と、長期的な血糖コントロールの改善を混同する可能性があります。
- 4. 運動療法は、中性脂肪の減少、HDLコレステロールの増加など、脂質プロファイルを改善する効果があります。これは心血管疾患のリスク低減に繋がります。選びやすい理由:脂質代謝の改善は目に見えにくいため、効果がないと誤解する可能性があります。混同注意:運動による直接的な体重減少効果と、脂質代謝の改善を混同する可能性があります。
- 5. 有酸素運動を中心とした運動療法は、心臓や肺の働きを効率化し、最大酸素摂取量を増加させることで心肺機能の向上をもたらします。これは、活動能力の向上や予後の改善に繋がります。選びやすい理由:高齢者や病状が進んだ患者では、運動の効果が限定的だと感じるかもしれませんが、適切な運動は心肺機能を向上させます。混同注意:運動習慣のない人の心肺機能が元々低い状態と、運動による改善効果を混同する可能性があります。
国試ポイント
II型糖尿病患者に対する運動療法の生理学的効果について、正しい理解があるかを問う問題です。特に、インスリン抵抗性という核心的な病態への影響が正確に把握できているかが問われます。他の選択肢は、一般的に知られている運動の健康効果であり、鑑別しやすいですが、インスリン抵抗性の概念を正確に理解していることが重要です。
混同注意
インスリン抵抗性の増大と、インスリン感受性の向上やインスリン抵抗性の改善といった概念が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、運動療法がII型糖尿病の病態生理にどのように作用するか(特に糖代謝、インスリン感受性、インスリン分泌への影響)を問う深い知識が求められる可能性があります。また、運動療法の禁忌や注意点、運動処方の原則なども問われる可能性があります。
関連知識
運動療法は、II型糖尿病だけでなく、メタボリックシンドロームや高血圧、脂質異常症などの生活習慣病全般に有効です。運動の種類、強度、頻度、継続期間によって効果は異なり、特に有酸素運動とレジスタンス運動の併用が推奨されます。運動中の低血糖リスクや、心血管系への負担なども考慮し、個々の患者に合わせた適切な運動処方が重要です。