多発性骨髄腫に特徴的でないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多発性骨髄腫は、骨髄での形質細胞の悪性増殖により、骨破壊が進行し、その結果として血液中のカルシウム濃度が異常に高くなる「高カルシウム血症」を引き起こすことが特徴的です。そのため、選択肢5の「低カルシウム血症」は多発性骨髄腫の症状としては適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性骨髄腫では、骨髄でのがん細胞増殖により正常な造血機能が阻害され、貧血(赤血球減少)が生じやすいです。正しくは:貧血は多発性骨髄腫に特徴的な症状の一つです。選びやすい理由:貧血は多くの疾患で見られる症状であるため、特異性が低いと感じるかもしれませんが、多発性骨髄腫では発生頻度が高いです。混同注意:他の血液疾患による貧血と混同しやすいですが、骨髄腫では特に造血機能抑制が原因となります。
- 2. 多発性骨髄腫では、骨髄腫細胞が産生するM蛋白(異常免疫グロブリン)が腎臓に沈着したり、高カルシウム血症による腎障害など、様々な機序で腎機能障害をきたしやすいです。正しくは:腎機能障害は多発性骨髄腫に特徴的な症状の一つです。選びやすい理由:腎機能障害も一般的な症状ですが、多発性骨髄腫ではM蛋白腎や高カルシウム血症が主要な原因となる点が特徴です。混同注意:糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症など、他の原因による腎機能障害と混同しやすいですが、骨髄腫ではM蛋白の関与が重要です。
- 3. 多発性骨髄腫では、正常な免疫グロブリンの産生が抑制されるため、免疫機能が低下し、易感染性となります。また、治療に伴う免疫抑制も原因となります。正しくは:感染症への抵抗力の低下(易感染性)は多発性骨髄腫に特徴的な症状の一つです。選びやすい理由:易感染性も幅広い疾患で見られる症状ですが、骨髄腫ではB細胞系の異常により免疫グロブリン産生が障害される点が特異的です。混同注意:エイズや他の免疫不全症候群による易感染性と混同しやすいですが、多発性骨髄腫では特に液性免疫の障害が顕著です。
- 4. 多発性骨髄腫細胞は骨を破壊する破骨細胞を活性化させ、骨融解病変(溶骨性病変)を引き起こします。これにより骨が脆弱になり、軽微な外力で骨折する病的骨折が生じやすいです。正しくは:病的骨折は多発性骨髄腫に特徴的な症状の一つです。選びやすい理由:骨折は外傷によるものが多いですが、「病的」骨折という点が疾患特異性を示唆しています。混同注意:骨粗鬆症による骨折と混同しやすいですが、多発性骨髄腫では局所的な骨破壊が特徴であり、X線画像でパンチアウト病変が見られます。
- 5. 正解。多発性骨髄腫では、骨融解病変により骨からカルシウムが血液中に放出され、血液中のカルシウム濃度が高くなる高カルシウム血症が特徴的に見られます。低カルシウム血症は稀で、多発性骨髄腫の症状としては一般的ではありません。正しくは:多発性骨髄腫では、骨の破壊により血中カルシウム濃度が上昇する「高カルシウム血症」が特徴的に見られます。低カルシウム血症は通常は起こりません。選びやすい理由:カルシウム代謝異常は起こるため、その逆である低カルシウム血症も起こりうると誤解しがちです。混同注意:副甲状腺機能低下症や腎不全、ビタミンD欠乏などによる低カルシウム血症と混同しやすいですが、多発性骨髄腫では骨破壊による高カルシウム血症が一般的です。
国試ポイント
多発性骨髄腫の主要な臨床症状(CRAB症状:高カルシウム血症、腎不全、貧血、骨病変)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、骨破壊に伴うカルシウム代謝異常の方向性(高カルシウム血症)が重要ポイントとなります。
混同注意
他の悪性腫瘍に伴う電解質異常や、腎不全によるカルシウム代謝異常と混同しやすいですが、多発性骨髄腫特有の骨融解メカニズムとその結果としての高カルシウム血症を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、CRAB症状(高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変)のうち、どの症状が多発性骨髄腫と関連が『ない』か、あるいは『逆の』状態になるかを問われる可能性が高いです。また、これら症状の原因となる病態生理(例:骨破壊による高Ca血症、M蛋白による腎障害)を理解しているか問われるでしょう。
関連知識
多発性骨髄腫の診断基準(M蛋白の存在、骨髄形質細胞の増加、CRAB症状)、治療法(化学療法、造血幹細胞移植など)、予後。また、M蛋白が原因となる腎障害(ミエローマ腎)や、末梢神経障害についても関連知識として押さえておくべきです。