装具と疾患の組合せで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
短下肢装具(AFO)の足関節底屈制動タイプは、脳卒中片麻痺における尖足歩行や立脚期の不安定性を改善するために広く使用されます。Brunnstrom法ステージVは共同運動からの部分的な分離運動が可能となる段階であり、完全に機能が回復しているわけではないため、残存する尖足などの症状に対して装具は有効な補助手段となります。
選択肢ごとの解説
- 1. ポゴスティック装具は、主に片側の下肢切断者で、体重負荷訓練や義足装着までの期間に用いられる一時的な支持装具です。脳性麻痺の長期的な歩行訓練には適していません。正しくは:ポゴスティック装具は下肢切断後の早期リハビリテーションに使用される。選びやすい理由:「装具」と「歩行障害」という関連から、一見すると選択肢としてあり得るように感じられるかもしれませんが、疾患と装具の具体的な適応を知らないと誤りです。混同注意:他の歩行補助装具(例:AFO、KAFO)と混同しやすい。
- 2. 交互歩行装具 (RGO) は、主に胸髄下部から仙髄レベルの脊髄損傷や二分脊椎で、股関節屈筋の活動がないか非常に弱い場合に、骨盤を動かすことで交互歩行を可能にする装具です。しかし、T10レベルの二分脊椎では、通常、体幹の安定性が低く、RGO単独での安定した歩行は困難なことが多いです。歩行にはKAFOなどの他の装具やより上位の安定性が必要です。正しくは:交互歩行装具 (RGO) は、腰髄下部から仙髄レベルの脊髄損傷や二分脊椎に適用されることが多い。T10レベルでは体幹安定性の問題からRGO単独での安定歩行は困難な場合が多い。選びやすい理由:RGOが二分脊椎の歩行訓練に用いられることは事実であり、そのため正答に思われがちです。しかし、機能残存レベルT10という具体的な条件がポイントとなります。混同注意:RGOの適応疾患そのものと、具体的な機能残存レベルとの組み合わせを混同しやすい。
- 3. コックアップ・スプリントは、手関節を背屈位に保持する装具であり、主に撓骨神経麻痺や手根管症候群術後に使用され、手関節の機能的肢位を保持します。正中神経麻痺では、対立運動障害や母指球筋萎縮が特徴的であり、母指の機能的な動きを補助する対立装具などが適用されます。コックアップ・スプリントは正中神経麻痺の主要な症状に対する装具ではありません。正しくは:コックアップ・スプリントは撓骨神経麻痺や手根管症候群術後に使用される。正中神経麻痺には母指対立装具などが用いられる。選びやすい理由:いずれも手の機能に関わる装具と神経麻痺であるため、漠然とした知識では正答に見えやすいです。混同注意:各神経麻痺(橈骨神経、正中神経、尺骨神経)とそれに対応する装具を混同しやすい。
- 4. 正解。脳卒中片麻痺による尖足(足関節の過度な底屈)や内反を防ぎ、立脚期の安定性向上や遊脚期の足部のクリアランス確保を目的として、短下肢装具の足関節底屈制動式(通常は継手なしやプラスチック製で底屈を制限するもの)が広く用いられます。Brunnstrom法ステージⅤは、共同運動からの分離が進み、ある程度の随意運動が可能ですが、まだ完全な正常運動ではないため、尖足などの残存する運動障害の補助として装具が有効です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 5. ハロー・ベストは、頚椎・上部胸椎の不安定性(骨折、脱臼など)に対し、頭蓋骨を直接固定して強力に免荷・安定化を図る装具です。腰部脊柱管狭窄症は腰椎の疾患であり、通常はコルセットなどの体幹装具が用いられます。ハロー・ベストは腰部疾患には適用されません。正しくは:ハロー・ベストは頚椎・上部胸椎の不安定性に対する装具である。腰部脊柱管狭窄症には腰部コルセットなどが用いられる。選びやすい理由:「脊柱」という共通のキーワードから、脊柱の疾患であれば使用されると誤解しやすいかもしれません。混同注意:脊柱装具の種類(頚椎装具、体幹装具など)とそれぞれの具体的な適応疾患を混同しやすい。
国試ポイント
装具の種類とその適応疾患・病態、特に疾患の進行度や残存機能レベルを考慮した選択が問われます。各装具の名称、機能、適用部位、目的を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
装具の名称が似ていたり、機能の一部が共通していたりする際に、疾患への具体的な適応を混同しやすいです。特に、神経麻痺と対応する装具、脊柱装具の部位別適応などが頻出です。
次に同じ論点が出たら
装具問題が再び出題された場合、選択肢の疾患が提示された時に、その疾患で一般的に起こりやすい運動麻痺や変形を想定し、それがどの装具の機能によって改善されるかを論理的に判断できるかを確認します。
関連知識
各装具の具体的な構造と機能(例:AFOの種類、RGOの駆動メカニズム)、Brunnstrom法の各ステージの特徴とそれに伴う運動機能の状態、各神経麻痺(橈骨、正中、尺骨)で生じる特徴的な症状と、それに対する機能的な補助装具の種類。