運動学習で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
小脳は、新しい運動技能の習得、特にエラー修正学習や運動の自動化において中心的な役割を担っています。運動学習の過程で感覚情報と運動出力を統合し、運動の協調性やタイミングを精密に調整することで、円滑な運動実行を可能にします。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。小脳は、運動の協調性、バランス、そして運動学習、特に新しい運動スキルを自動化する過程に深く関与しています。特に、エラー修正学習や予測制御において中心的な役割を担っています。
- 2. 運動学習の初期段階では、運動の意識的な制御が強く、宣言的記憶(エピソード記憶や意味記憶)が優位に働き、何をどう動かすかを意識的に考えながら実行します。手続き記憶は、反復練習によって運動が自動化され、意識せずに実行できるようになる段階で形成・強化されます。正しくは:運動学習の初期段階では、宣言的記憶(エピソード記憶や意味記憶)が優位に働き、何をどう動かすかを意識的に考えながら実行します。手続き記憶は、反復練習によって運動が自動化され、意識せずに実行できるようになる段階で形成・強化されます。選びやすい理由:運動学習と手続き記憶は密接に関連するため、初期段階から手続き記憶が得られると考えがちですが、初期は意識的認知を伴う宣言的記憶の要素が強いです。混同注意:宣言的記憶と非宣言的記憶の形成時期
- 3. ヤーキーズ・ドッドソンの法則によれば、覚醒レベルとパフォーマンスの関係は逆U字型です。適度な覚醒レベルが最もパフォーマンスを向上させますが、覚醒レベルが高すぎると不安や緊張が生じ、パフォーマンスは低下します。正しくは:覚醒レベルとパフォーマンス向上は、適度な覚醒レベルが最も良いとされる逆U字型の関係(ヤーキーズ・ドッドソンの法則)にあります。選びやすい理由:集中力が高まるほど運動能力が上がると一般的に考えられやすいため、覚醒レベルが高いほど良いと誤解しやすいです。混同注意:ヤーキーズ・ドッドソンの法則
- 4. 運動課題に習熟すると、予測的な制御(フィードフォワード制御)が優位になります。これは、運動開始前に脳が運動計画を立て、誤差を予測して修正する能力が高まるためです。フィードバック制御は、運動中に生じる誤差を検出して修正するものであり、初心者や予測が難しい状況でより重要になります。正しくは:新しい課題に習熟するにつれて、フィードバック制御よりもフィードフォワード制御で運動が行われるようになります。選びやすい理由:フィードバック制御が「間違いを修正する」というイメージから、熟練者がより正確に運動するために使うと錯覚しやすいです。しかし、熟練者はそもそも間違いを少なくする予測能力が高いです。混同注意:フィードフォワード制御とフィードバック制御の役割分担
- 5. 一般的な学習曲線は、練習初期に急激な向上が見られ、その後は徐々に改善の度合いが緩やかになり、最終的にはプラトー(高原状態)に達する、指数関数的な形状(または凹型、S字型)を示します。逆U字型はヤーキーズ・ドッドソンの法則における覚醒レベルとパフォーマンスの関係に該当します。正しくは:練習量と達成度の関係を示す学習曲線は、通常、指数関数的またはS字型で、練習初期に急激な向上が見られ、徐々に改善の度合いが緩やかになります。選びやすい理由:「覚醒レベルとパフォーマンス」の関係が逆U字型であるため、学習曲線も逆U字型だと混同しやすいです。混同注意:学習曲線の形状とヤーキーズ・ドッドソンの法則
国試ポイント
運動学習における脳の各部位の役割、運動学習の段階と記憶の種類、パフォーマンスと覚醒レベルの関係、運動制御の種類、学習曲線の形状といった基本的な知識が問われています。特に、誤選択肢が他の重要な概念(ヤーキーズ・ドッドソンの法則、フィードフォワード/フィードバック制御、記憶の種類)と関連付けて誤った記述になっている点に注意が必要です。
混同注意
覚醒レベルとパフォーマンスの関係(ヤーキーズ・ドッドソンの法則の逆U字型)と学習曲線の形状を混同しやすい。また、初期の運動学習段階における記憶の種類(宣言的か手続き的か)や、熟練者における運動制御の種類(フィードフォワードかフィードバックか)も混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出た場合、運動学習に関わる脳部位(大脳基底核、大脳皮質、小脳)それぞれの役割、運動学習の段階における特徴(意識的制御から無意識的制御へ、エラー修正の主体)、学習のメカニズム(エラーベース学習、報酬ベース学習)、様々な学習曲線(負の加速学習、S字型学習など)の具体例、そしてそれらがリハビリテーションにどう応用されるかを問う問題が考えられます。
関連知識
小脳の機能(運動制御、平衡機能、協調性、運動学習)、大脳基底核の機能(運動の開始・抑制、運動プログラムの選択)、大脳皮質の機能(運動計画、運動指令)、宣言的記憶と非宣言的記憶、ヤーキーズ・ドッドソンの法則、フィードフォワード制御とフィードバック制御、運動学習の段階(認知段階、連合段階、自動化段階)、様々な学習曲線のタイプ。