血管疾患と関連因子の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
選択肢5は、結節性多発動脈炎と糖尿病の組合せですが、これは不適切です。結節性多発動脈炎は、B型肝炎ウイルス感染や自己免疫疾患と関連が深く、糖尿病は直接的な関連因子ではありません。糖尿病は血管合併症(動脈硬化、微小血管症など)を引き起こしますが、結節性多発動脈炎のような壊死性血管炎とは病態が異なります。他の選択肢は、血管疾患とその主要な関連因子として正しい組合せです。
選択肢ごとの解説
- 1. Buerger病は、主に手足の血管に炎症を起こし、閉塞させる疾患であり、喫煙との関連性が極めて強いことが知られています。喫煙が発症の主要な誘因と考えられています。
- 2. 妊娠中は、ホルモンバランスの変化(プロゲステロンによる血管壁の弛緩)や、増大する子宮による骨盤内静脈への圧迫増加により、下肢静脈瘤が発生しやすくなります。
- 3. 解離性大動脈瘤の最も主要なリスク因子は高血圧ですが、アテローム硬化も血管壁の脆弱化を招き、解離のリスクを高める関連因子の一つとされています。特に、大動脈壁の栄養血管への影響を通じて間接的に関与することもあります。
- 4. 長期臥床は、下肢の筋ポンプ作用の低下を招き、静脈血流の停滞(うっ滞)を引き起こします。これは深部静脈血栓症の主要なリスク因子の一つです。
- 5. 正解。結節性多発動脈炎は、全身の中小動脈に壊死性炎症を引き起こす血管炎であり、B型肝炎ウイルス感染や一部の自己免疫疾患との関連が知られています。糖尿病は血管合併症を引き起こしますが、結節性多発動脈炎の直接的な関連因子ではありません。正しくは:結節性多発動脈炎の関連因子としては、B型肝炎ウイルス感染や、一部の自己免疫疾患が挙げられます。糖尿病が関与するのは、例えば糖尿病性腎症や神経障害、網膜症、動脈硬化症などです。選びやすい理由:糖尿病が血管障害(大血管症・微小血管症)を引き起こすという一般的な知識から、血管疾患である結節性多発動脈炎と安易に結びつけてしまう可能性があります。混同注意:糖尿病によって引き起こされる血管合併症(網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化症など)と、自己免疫性の血管炎である結節性多発動脈炎を混同しやすいかもしれません。糖尿病は特定の血管疾患の主要な原因ではありますが、結節性多発動脈炎のような炎症性・自己免疫性の血管炎とは病態が異なります。
国試ポイント
血管疾患と、その原因、リスク因子、病態生理学的な関連を正しく理解しているかを問う問題です。特に、特定の疾患に特異的な関連因子(例:Buerger病と喫煙、深部静脈血栓症と臥床)や、鑑別が必要な血管疾患(例:自己免疫性血管炎と代謝性疾患による血管障害)の知識が求められます。誤っている組合せを選ぶ形式なので、各選択肢の正誤を確実に判断する必要があります。
混同注意
糖尿病が様々な血管合併症を引き起こすという知識は正しいですが、それが全ての血管疾患の関連因子であるかのように誤解されることがあります。特に、炎症性・自己免疫性の血管炎と、代謝異常に起因する血管障害とを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、疾患名と原因・関連因子の関係性を問う問題だけでなく、それぞれの疾患の主な症状、検査所見、治療法、理学療法における注意点など、より実践的な知識と結びつけて問われる可能性があります。特に、喫煙や長期臥床などの生活習慣や環境因子が血管疾患に与える影響について深く理解しておくことが重要です。
関連知識
Buerger病(閉塞性血栓血管炎)、下肢静脈瘤、解離性大動脈瘤、深部静脈血栓症、結節性多発動脈炎それぞれの病態、好発年齢、主なリスク因子や誘因。Virchowの3主徴(静脈うっ滞、血管内皮損傷、血液凝固能亢進)。血管炎の種類と関連疾患(例:ANCA関連血管炎、IgA血管炎など)。