頭部CT(別冊No. 4)を別に示す。所見として考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示すCT画像では、頭蓋骨内側、特に側頭部に接して、両凸レンズ状の高吸収域が確認できます。これは、硬膜と頭蓋骨の間に生じた出血が、硬膜の頭蓋骨への付着(特に縫合線)によって広がりが制限され、特徴的な形状を呈する硬膜外血腫の典型的な所見です。このような所見は、頭部外傷に伴う中硬膜動脈損傷などによって引き起こされることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. くも膜下出血は、くも膜下腔に出血が見られ、脳溝や脳槽のCT値が高くなります。画像で示されている硬膜外血腫とは出血部位や形状が異なります。正しくは:硬膜外血腫は、典型的には脳表と頭蓋骨の間にできる出血であり、凸レンズ型を示します。くも膜下出血は脳溝や脳槽に沿った高吸収域として描出されます。選びやすい理由:頭蓋内の出血という点では共通しているため、他の出血性病変と混同しやすいです。混同注意:硬膜外血腫とくも膜下出血はどちらも急性期には高吸収域として描出されますが、出血部位や典型的な形状が異なります。
- 2. 正解。頭部CT画像において、頭蓋骨内側と硬膜外に局限した、両凸レンズ状の高吸収域として描出されるのは硬膜外血腫の典型的な所見です。この形状は、硬膜が頭蓋骨に強く付着しているため、出血が縫合線を越えて広がりにくいことを反映しています。
- 3. 硬膜下血腫は、硬膜とくも膜の間に生じる出血で、典型的には三日月状(半月状)の形態を示し、縫合線を越えて広がりやすい特徴があります。画像で示されているのは凸レンズ状であり、硬膜下血腫とは異なります。正しくは:硬膜外血腫は凸レンズ状、硬膜下血腫は三日月状(半月状)を呈します。選びやすい理由:硬膜外血腫と同様に頭蓋内の血腫であり、両者の区別がつきにくい場合に選択されやすいです。混同注意:硬膜外血腫は硬膜と頭蓋骨の間に生じ、硬膜下血腫は硬膜とくも膜の間に生じます。両者はCT画像上の形態で区別されます。
- 4. 脳動静脈奇形(AVM)は、異常な血管の塊であり、CTでは脳出血の原因となることもありますが、それ自体はCTで高吸収域として明確に描出されることは少なく、造影CTやMRAで確認されることが多いです。画像で示されているのは明確な血腫の形態です。正しくは:脳動静脈奇形は、異常な血管構造を示すものであり、画像で示されているような均一な高吸収域の血腫とは異なります。選びやすい理由:脳出血の原因となることがあるため、出血性病変として誤って選択される可能性があります。混同注意:脳出血の原因となる病態として、脳動静脈奇形と血腫自体を混同しやすいです。画像では急性期の血腫が明瞭です。
- 5. 皮質下出血は、大脳皮質直下の脳実質内に出血が生じるものであり、画像で示されているような頭蓋骨と脳の間に位置する血腫とは異なります。脳実質内に不規則な高吸収域として描出されます。正しくは:皮質下出血は脳実質内の出血であり、画像に示されている硬膜外の血腫とは部位が異なります。選びやすい理由:頭蓋内の出血という点で共通しており、出血の部位を正確に特定できない場合に誤って選択されることがあります。混同注意:脳実質内出血(皮質下出血、被殻出血、視床出血など)と、硬膜外・硬膜下出血を混同しやすいです。
国試ポイント
頭蓋内出血の種類(硬膜外血腫、硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血)をCT画像で区別できるか、その特徴的な画像所見(形状、部位)を理解しているかが問われる。特に硬膜外血腫と硬膜下血腫の区別は重要。
混同注意
硬膜外血腫と硬膜下血腫は、発生部位とCT画像上の形状(凸レンズ状 vs 三日月状)が異なるため、この違いを正確に把握しておく必要があります。また、急性期、亜急性期、慢性期でのCT値の変化も混乱の元となりますが、本問題は急性期出血を想定しています。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、CT画像の種類(平坦CT、造影CTなど)と、描出されている病変のCT値(高吸収、等吸収、低吸収)、形状、部位、さらに周囲構造への影響(脳の圧迫、正中線偏位など)を総合的に判断する能力が問われると予想されます。
関連知識
硬膜外血腫は、多くの場合、頭部外傷による中硬膜動脈の損傷が原因で、急速に進行することが特徴です。意識清明期(lucid interval)を経て意識レベルが低下することがあり、緊急手術(開頭血腫除去術)が必要となることが多いです。硬膜下血腫は、架橋静脈の損傷によって生じやすく、急性期、亜急性期、慢性期と分類され、特に高齢者では慢性硬膜下血腫が問題となります。くも膜下出血は、脳動脈瘤破裂が主な原因で、クモ膜下腔に出血が広がります。