新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎後の患者に呼吸機能検査を行ったところ、努力性肺活量は5.00 Lで、1秒率は80 %であった。年齢、性別、体格をもとに計算した1秒量の予測値が3.46 Lであるとき、%一秒量(% FEV1)で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
まず、与えられた秒率と努力性肺活量から実測一秒量(FEV1)を算出します。秒率の定義は (実測FEV1 / 努力性肺活量) × 100 ですので、問題の数値にあてはめると、80% = (実測FEV1 / 5.00L) × 100 となります。この式を解くと、実測FEV1 = 5.00L × 0.80 = 4.00L となります。次に、この実測一秒量と問題で与えられている予測一秒量を用いて%一秒量(%FEV)を算出します。%一秒量の定義は (実測一秒量 / 予測一秒量) × 100 ですので、%FEV = (4.00L / 3.46L) × 100 = 115.59...% と計算されます。この値に最も近い選択肢は116%です。
選択肢ごとの解説
- 1. この値は、計算途中で誤った数値を適用したり、特定の計算式と混同したりすることによって導かれる可能性のある誤りです。例えば、秒率の計算を%一秒量の計算と誤解するなどの間違いが考えられます。正しくは:正しい計算式と手順に従い、実測一秒量4.00Lと予測一秒量3.46Lを用いて%一秒量を算出すると、約116%となります。選びやすい理由:計算式を混同しやすく、例えば実測FEV1が予測FEV1より低い場合に類似の選択肢を選ぶ可能性があります。混同注意:予測一秒量と予測肺活量、あるいは秒率と%一秒量といった異なる指標を混同することがあります。
- 2. この値は、計算過程で誤った数値を適用したり、四捨五入の方法を誤ったりした場合に生じる可能性があります。例えば、実測一秒量を誤って予測一秒量以外の基準値で割ってしまうなどの間違いです。正しくは:正しくは、実測一秒量(4.00L)を予測一秒量(3.46L)で除して100を掛けることで約116%が得られます。選びやすい理由:秒率が80%であることから、それに近い値として誤って選んでしまう可能性があります。特に、%FEVが80%台であれば正常範囲であるという知識から、深く考えずに選んでしまうこともありえます。混同注意:秒率(80%)と直接的な関連はないものの、その値と近いことから混同する可能性があります。
- 3. この値は、計算過程での数値の取り違えや、特定の基準値との比較を誤った場合に生じる誤答です。例えば、%一秒量を計算する際に、実測肺活量と予測肺活量を用いて%FVCを算出するのと混同するなどの可能性があります。正しくは:正しい計算は、実測FEV1(4.00L)÷予測FEV1(3.46L)×100 = 115.59...%(約116%)です。選びやすい理由:正常範囲に近い値であるため、一見すると正しそうに見えるかもしれません。特に、閉塞性換気障害や拘束性換気障害の診断基準を意識しすぎると、正常域の選択肢に目が行きがちです。混同注意:正常な%一秒量の目安が80%以上であることと混同し、その正常域内の値として選択してしまう可能性があります。
- 4. この値は、計算式や使用する数値を誤って適用した場合に導かれる可能性があります。特に、実測値と予測値のどちらを分子・分母にするか、あるいはどの値を実測一秒量とするかの誤解によるものです。正しくは:%一秒量は(実測一秒量 / 予測一秒量)×100で計算され、実測一秒量4.00L、予測一秒量3.46Lを用いると約116%となります。選びやすい理由:計算結果が予測値よりやや高いが、極端ではないため、正確な計算ができていない場合に選びやすいかもしれません。混同注意:秒率(FEV1/FVC)と%一秒量(FEV1/予測FEV1)の計算式を混同することが考えられます。
- 5. 正解。まず、与えられた秒率と努力性肺活量から実測一秒量(FEV1)を算出します。秒率 = (実測FEV1 / 努力性肺活量) × 100 なので、80 = (実測FEV1 / 5.00L) × 100。これにより、実測FEV1 = 5.00L × 0.80 = 4.00L となります。次に、この実測一秒量と問題で与えられている予測一秒量を用いて%一秒量(%FEV)を算出します。%FEV = (実測一秒量 / 予測一秒量) × 100 なので、(4.00L / 3.46L) × 100 = 115.59...% となります。最も近い選択肢は116%です。
国試ポイント
呼吸機能検査の基本的な指標である努力性肺活量(FVC)、秒率、一秒量(FEV1)、および%一秒量(%FEV)の定義と計算方法を理解しているかを問う問題です。特に、実測値と予測値、さらには秒率と%一秒量の関係性を正確に把握し、段階的な計算を正しく実行できるかが試されます。
混同注意
学生は、秒率(FEV1/FVC)と%一秒量(FEV1/予測FEV1)の計算式、およびそれぞれに用いる数値(実測値か予測値か)を混同しやすいです。また、%肺活量(FVC/予測FVC)との違いも誤解しやすい点です。さらに、実測FEV1を求める過程と、そのFEV1を用いて%FEVを求める過程のステップを正確に踏まないと、計算ミスが生じやすくなります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず問題文で何が与えられ、何を求められているのかを正確に把握することが重要です。特に、『秒率』、『一秒量』、『努力性肺活量』、『%一秒量』など、各呼吸機能検査の指標の定義と、それぞれの計算式を正確に思い出せるように準備してください。実測値と予測値の区別、そしてそれぞれの指標が閉塞性・拘束性換気障害のどの診断に用いられるかを理解しておくと、計算ミスの防止や知識の応用につながります。
関連知識
呼吸機能検査における主要な指標とその基準値: - 努力性肺活量(FVC):最大限努力して吸い込んだ後、最大限努力して吐き出した空気の総量。 - 一秒量(FEV1):努力性肺活量のうち、最初の1秒間に吐き出せる空気の量。 - 秒率(FEV1%またはFEV1/FVC):FEV1をFVCで割った値(FEV1/FVC × 100)。閉塞性換気障害の主要な指標。 - %肺活量(%FVC):実測FVCを予測FVCで割った値(FVC/予測FVC × 100)。拘束性換気障害の主要な指標。 - %一秒量(%FEV1):実測FEV1を予測FEV1で割った値(FEV1/予測FEV1 × 100)。主に拘束性換気障害や混合性換気障害の評価に用いられますが、閉塞性換気障害の重症度評価にも使われます。 これらの値が正常範囲を逸脱した場合に、閉塞性換気障害、拘束性換気障害、混合性換気障害をどのように診断するかについても理解が必要です。