視覚の代償を利用する運動療法はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Frenkel体操は、脊髄癆などによる深部感覚障害(固有受容感覚障害)を持つ患者に対して、失われた固有受容感覚を視覚によって補う(代償する)ことで、運動の正確性や協調性を再学習させることを目的とした運動療法です。視覚的に自身の肢位や運動経路を確認しながら、ゆっくりと正確な運動を反復します。
選択肢ごとの解説
- 1. PNFは、固有受容感覚、触覚、視覚、聴覚などを複合的に利用して運動パターンを促通しますが、特に「視覚の代償」を主目的とする治療法ではありません。主に残存機能を最大限に引き出し、神経筋の反応を促進します。正しくは:固有受容感覚や抵抗運動を用いて神経筋機能を促進する治療法です。選びやすい理由:PNFも視覚を利用する場面があるため、広義に捉えれば「視覚を利用する」と誤解する可能性があります。混同注意:運動学習の様々な感覚入力と、特定の感覚(視覚)による「代償」の概念。
- 2. 緊縛帯法(または駆血療法、KAATSUトレーニングなど)は、主に筋力増強や筋肥大を目的として、運動中の血流を制限する方法であり、視覚の代償とは直接関係ありません。正しくは:運動中に四肢の血流を制限し、筋力増強や筋肥大を目的とするトレーニング法です。選びやすい理由:特殊な治療法であるため、詳細を知らないと誤って選ぶ可能性。混同注意:リハビリテーションで用いられる様々な特殊な器具を用いる治療法。
- 3. 重り負荷法は、抵抗運動によって筋力や筋持久力を向上させることを目的とした運動療法であり、視覚の代償とは関連がありません。正しくは:抵抗運動によって筋力や筋持久力の向上を目的とするトレーニング法です。選びやすい理由:一般的な筋力トレーニングとして馴染みがあるため。混同注意:運動療法の基本的な要素(抵抗、荷重)と、特定の感覚代償。
- 4. 正解。Frenkel体操は、脊髄癆などによる深部感覚障害(固有受容感覚障害)を持つ患者に対し、失われた固有受容感覚を視覚によって補い(代償)、運動の正確性や協調性を改善することを主な目的とする運動療法です。患者は自分の動きを注意深く見て、バランスや協調性をコントロールします。
- 5. 不安定板を用いた練習は、主に固有受容感覚、バランス能力、体幹の安定性を向上させることを目的としています。視覚も利用しますが、その主目的は深部感覚の「代償」ではなく、固有受容感覚からのフィードバックを高めることや、バランス制御能力そのものを向上させることです。正しくは:固有受容感覚、バランス能力、体幹の安定性を向上させることを目的とする練習です。選びやすい理由:バランス訓練として視覚も使うため、視覚の重要性を強調しているように見える。混同注意:バランス訓練における視覚の役割と、深部感覚障害に対する視覚「代償」という特定の治療目的。
国試ポイント
各運動療法の主要な目的と特徴、特に特定の感覚障害に対する治療戦略(代償療法)を理解しているか。Frenkel体操が深部感覚障害に対する視覚代償療法であることを知っているか。
混同注意
「視覚を利用する」運動療法全般と、「視覚で(失われた)感覚を代償する」運動療法との区別。多くの運動療法で視覚は補助的に利用されますが、Frenkel体操は視覚代償が中心的な戦略です。また、一般的なバランス訓練や協調運動訓練と、固有受容感覚障害に対する代償療法の違いも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
問題文が「〇〇の代償を利用する」という表現をしている場合、どの感覚の障害を、どの感覚で補うか、という代償戦略に注目する。各運動療法の名前と、それがどの疾患や症状に対して、どのようなメカニズム(促進、抑制、代償など)で適用されるのかを整理して覚える。
関連知識
深部感覚障害の種類と原因(脊髄癆、多発性硬化症、糖尿病性ニューロパチーなど)。固有受容感覚の生理学と評価。運動学習における感覚フィードバックの役割。その他の運動療法(PNF、Bobath、Brunnstromなど)の目的と適用。運動失調の種類と評価(小脳性失調、脊髄性失調)。