長期にわたる持久力トレーニングの影響を受けにくいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
最大心拍数は、加齢とともに緩やかに減少する傾向にありますが、持久力トレーニングによる劇的な変化はほとんどありません。個人の最大心拍数は主に遺伝と年齢によって決まります。一方、他の選択肢である心拍出量、筋の脂肪代謝能、筋線維の毛細血管密度、筋線維の割合(一部のタイプ変換を除く)は、長期的な持久力トレーニングによって顕著に向上または適応が見られる項目です。したがって、影響を受けにくいのは最大心拍数です。
選択肢ごとの解説
- 1. 持久力トレーニングを継続すると、心臓の一回拍出量が増加するため、安静時および最大運動時の心拍出量も増加します。これは全身への酸素供給能力を高める重要な適応です。正しくは:持久力トレーニングによって心拍出量(特に最大運動時の心拍出量)は増加します。選びやすい理由:運動強度や状態によっては心拍出量の変化が複雑に感じるため、変化しないと誤解する可能性があります。特に、安静時心拍数が減少することから、心臓の機能全体が低下すると勘違いするかもしれません。混同注意:安静時心拍数(減少する)や、運動中の特定の時点での心拍出量(一時的な変動がある)と混同しやすいです。トレーニングにより最大心拍出量は確実に向上します。
- 2. 正解。最大心拍数は主に遺伝的要因と年齢によって決定され、加齢とともに減少する傾向があります。長期的な持久力トレーニングによっても、その上限値が大きく変動することはありません。トレーニングによる心肺機能の向上は、一回拍出量の増加や酸素利用効率の改善に多く見られます。
- 3. 持久力トレーニングにより、筋肉内のミトコンドリアの数や脂肪を分解・利用する酵素の活性が向上し、脂肪をエネルギーとして効率よく利用できる能力が高まります。これにより、運動中の糖質(グリコーゲン)の温存が可能になります。正しくは:持久力トレーニングによって筋肉の脂肪代謝能は向上します。選びやすい理由:脂肪は燃焼しにくいというイメージがあるため、その代謝能力は変化しにくいと誤解する可能性があります。混同注意:筋肉の糖代謝能力(こちらも向上する)と混同しやすいですが、特に脂肪代謝能の向上は持久性向上に大きく寄与します。
- 4. 持久力トレーニングは、筋線維周囲に新たな毛細血管の形成を促進し、毛細血管密度を増加させます。これにより、筋肉への酸素や栄養素の供給、および老廃物の除去が効率化され、持久性の向上に不可欠な変化です。正しくは:持久力トレーニングによって筋線維の毛細血管密度は増加します。選びやすい理由:筋肉自体のサイズ(筋肥大)とは異なる変化であるため、見過ごされがちで、変化しないと誤解する可能性があります。混同注意:筋線維の種類やその割合(こちらは変化しにくい)と混同しやすいです。毛細血管密度の増加は、酸素供給能力を直接的に高めます。
- 5. 筋線維のタイプ比率は遺伝的要素が強く、長期的なトレーニングによっても大幅に変化することはありません。ただし、一部の速筋線維(IIx型)が、より持久性に優れた中間型線維(IIa型)へと性質を変化させることはありますが、遅筋線維(I型)の割合が劇的に増加するわけではありません。正しくは:筋線維の割合は大きくは変化しませんが、最大心拍数の方が「影響を受けにくい」という点でより適切です。ただし、一部の速筋線維が中間型線維へと性質を変化させることはあります。選びやすい理由:筋線維の代謝能力や横断面積は変化するため、線維タイプそのものの割合も変わると誤解しやすいです。混同注意:筋線維の種類ごとの代謝酵素活性(これは変化する)や、筋線維の太さ(これも変化する)と混同しやすいです。
国試ポイント
持久力トレーニングによる身体の生理学的適応に関する知識を問う問題です。特に、心臓血管系、代謝系、筋組織における変化と、変化しにくい指標を正確に区別できるかが重要となります。
混同注意
安静時心拍数(持久力トレーニングで減少する)と最大心拍数(ほとんど変化しない)は混同しやすい点です。また、筋線維の代謝能力や横断面積の変化と、筋線維タイプの割合の変化を混同することもよくあります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、心臓のポンプ機能に関する詳細な変化(一回拍出量、最大心拍出量、心拍数)、骨格筋のミトコンドリア量や酵素活性、呼吸器系の換気効率、さらにはホルモン応答の変化など、トレーニング適応の具体的なメカニズムに注目して判断すると良いでしょう。
関連知識
持久力トレーニングによる心血管系の適応(心肥大、一回拍出量増加、血管新生)、筋組織の適応(ミトコンドリア増加、酸化酵素活性向上、毛細血管密度増加)、代謝系の適応(脂肪利用率向上、グリコーゲン温存)など、全身的な生理学的変化を理解することが重要です。